《2023年度》助成金の最新情報まとめ|新設枠や拡充部分を簡単解説!

【2023年度|助成金まとめ】人材開発支援助成金、キャリアアップ助成金、両立支援等助成金、業務改善助成金、働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)、産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)|新設枠や拡充部分など簡単解説!

働き方が多様化してきた今、助成金を活用し、労働環境の整備や雇用対策に力を入れたいとお考えの事業主も多いのではないでしょうか。
2023年度は、国内情勢も鑑み、従業員の自発的なスキルアップ促進や子育て支援・介護支援に対して、各助成金の拡充が図られています。

本記事では、企業内の制度をより充実したものにするために活用できる6つの助成金について、2023年度の新設枠や拡充部分を中心にわかりやすく解説していきます。

1.人材開発支援助成金【自発的なスキルアップを積極的に支援】

人材開発支援助成金は、従業員の職業訓練開発を実施した企業を対象に、訓練の費用を一部助成します。
従業員が専門知識や技能を身に付けるための自発的なスキルアップを、積極的にサポートする制度です。

事業展開等リスキリング支援コースを新設

2022年12月2日から新たに「事業展開等リスキリング支援コース」を創設し、新規事業展開や業務のDX化、脱炭素によるクリーン化などに必要な人材育成にともなう訓練費用の一部を高助成率で支援します。

助成率、助成額については下記の通りです。

助成率・助成限度額

  • 経費助成率:75%(大企業:60%)
  • 1人1時間あたりの賃金助成額:960円(大企業:480円)
  • 1事業所1年度あたりの助成限度額:1億円

受講者1人あたりの経費助成限度額

  • 10時間以上100時間未満:30万円(大企業:20万円)
  • 100時間以上200時間未満:40万円(大企業:25万円)
  • 200時間以上:50万円(大企業:30万円)

そのほかにも、2023年度は以下のコースで拡充が行われます。

人への投資促進コース

従業員の自律的・主体的な学びや学び直しを支援するため、助成額や助成率の引き上げを行います。

共通要件
助成限度額を1,500万円から2,500万円に引き上げ

定額制訓練
助成率を45%(大企業:30%)から60%(大企業:45%)に引き上げ

自発的職業能力開発訓練
経費助成率を30%から45%に引き上げるとともに、1事業所が1年度(4月1日から翌年3月31日まで)に受給可能な助成限度額を200万円から300万円に引き上げ

高度デジタル人材訓練の支給対象訓練の追加

参照:人材開発支援助成金|厚生労働省

2.キャリアアップ助成金【大切な従業員への投資】

キャリアアップ助成金は、企業内での非正規社員のキャリアアップ促進を目的とし、正社員化や処遇改善を行った事業主に対して助成金を支給する制度です。

2022年12月2日に改正が行われ、正社員化コースと賃金規定等改定コースの助成額が拡充されました。

正社員化コース

人材開発支援助成金を同時に活用し、人材開発支援助成金の自発的職業能力開発訓練、定額制訓練を修了した後に正社員化すると、訓練加算として最大で11万円が上乗せされます。

訓練の対象コースは、次の通りです。

  • 事業展開等リスキリング支援コース【新設】
  • 特別育成訓練コース
  • 人への投資促進コース
  • 特定訓練コース

有期雇用の社員を正社員化した場合の加算額は、中小企業・大企業ともに9万5,000円から11万円に引き上げられます。
無期雇用の社員を正社員化した場合の引き上げ加算額は、4万7,500円から5万5,000円です。

訓練加算額の引き上げを受けた合計助成額は、それぞれ下記の金額に拡充されます。

有期から正規に転換させた場合
57万円(大企業:42万7,500円)から68万円(大企業:53万7,500円)に引き上げ

無期から正規に転換させた場合
28万5,000円(大企業:21万3,750円)から34万円(大企業:26万8,750円)に引き上げ

賃金規定等改定コース

支給要件である賃金引上率が、2%以上から3%以上に見直されたほか、5%以上の賃金引き上げを行う場合の助成額は大幅に拡充されました。
この見直しにともない、「生産性要件」を満たした場合であっても、助成額は上乗せされなくなりました。

改正後の助成額は、次の通りです。

  • 3%以上5%未満:4万2,750~4万6,250円から5万円(大企業:3万3,000円)に引き上げ
  • 5%以上:5万2,250~5万5,750円から6万5,000円(大企業:4万3,000円)に引き上げ

参照:キャリアアップ助成金|厚生労働省

3.両立支援等助成金【男性の育児休暇も促進】

「仕事」と「育児や介護」などの家庭生活が両立できるよう、休暇を取りやすい職場環境づくりに積極的に取り組んだ結果、実際に休暇を取得した従業員が職場復帰を果たした事業主を支援するのが、両立支援等助成金です。
従業員が安心して働けるよう雇用の安定を図ることを目的としています。

2023年度に行われる拡充は、以下の通りです。

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

  • 育児休業などに関する情報を公表した場合の加算:2万円を支給

介護離職防止支援コース

業務代替支援加算
介護休業取得者の代替要員として、派遣社員を含む新規雇用または代替従業員への手当支給を行い、かつ、休業取得者を原職などに復帰させた場合に、下記の金額が支給されます。

  • 新規雇用:20万円を支給
  • 手当支給など:5万円を支給

個別周知・環境整備加算
介護を申し出た従業員に対する個別周知および仕事と介護を両立しやすい職場環境整備を行った場合に、15万円が支給されます。

育児休業等支援コース

  • 育児休業などに関する情報を公表した場合の加算:2万円を支給
  • 新型コロナウイルス感染症対応特例:1人あたり10万円を支給【 ※10人まで(上限100万円)】

参照:両立支援等助成金|厚生労働省(資料:令和5年度予算概算要求について)

4.業務改善助成金【賃金アップで生産性向上】

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内最低賃金の引き上げを図るための制度です。
設備投資や人材育成を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成します。

業務改善助成金では、次のような拡充を行います。

通常コース

助成上限額の引き上げ
事業場規模30人未満の事業者について補助上限額を引き上げ

助成対象経費の拡大
特例事業者の助成対象経費を関連費用も新たに助成対象とするよう拡充

《主な関連費用》

  • 広告宣伝費
  • 汎用事務機器
  • 事務室の拡大
  • 机・椅子の増設

対象事業場の拡大
助成対象を事業場規模100人以下とする要件を廃止

申請期限の延長
申請期限を2023年3月31日まで延長

参照:業務改善助成金|厚生労働省

5.働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)【新設|建設業や医師などの業務時間見直し】

働き方改革推進支援助成金は、労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業の事業主を支援する制度です。
2023年度には、時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務である建設業や医師などの労働時間短縮を支援するため、「適用猶予業種等対応コース」が新設されます。

中小企業には時間外労働の上限規制が適用されており、違反した場合には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

ただし、建設業や医師においては、業種の特性上、これまでは時間外労働における上限基準は適用除外とされ、5年間の猶予期間が設けられていました。
建設業は人手が不足しているうえに短納期な案件が多く、医師の場合は急患などの対応にあたるため診療時間外や休日にも対応しなければならない実状があるためです。

しかし、2024年4月からは上記の業種でも労働時間の上限規制を遵守しながら働くことが求められます。
そこで、「適用猶予業種等対応コース」を新設し、業種ごとに成果目標を設け、建設業界で働く人々や医師の長時間労働削減を支援します。

助成対象経費や助成率は、以下の通りです。

助成対象経費

  • 就業規則などの作成・変更費用
  • 業務研修を含む研修費用
  • 外部専門家によるコンサルティング費用
  • 労務管理用機器等の導入・更新費用
  • 労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新費用
  • 人材確保等のための費用

労働時間短縮や生産性向上に向けた取り組みに必要な経費が補助対象となります。

助成率

  • 実施主体が都道府県労働局の場合:助成率3/4
  • 事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器などの経費が30万円を超える場合:助成率4/5

成果目標と上限額については、各業種で異なるため、詳しくは厚生労働省が配布しているリーフレットをご覧ください。

参照:労働時間等の設定の改善|厚生労働省

6.産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)【新設|在籍したままスキルアップ】

産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)が2022年12月2日に創設されました。

在籍型出向を実施することで従業員のスキルアップを図り、復帰後は出向前と比較して賃金を5%以上上昇させた出向元の事業主に対して、出向中に負担した賃金の一部を助成します。

在籍型出向とは、従業員の籍を出向元である自社に置いたまま、出向先である他社の業務に従事させる仕組みのことです。
在籍型出向の魅力は、他社での実践経験により自社にない新たなスキルの習得が期待できる点にあります。

助成率や上限額については、以下をご覧ください。

助成率

  • 中小企業:2/3
  • 中小企業以外:1/2

助成額
以下のいずれか低い額に助成率をかけた額(最長1年まで)

  • 出向している従業員の出向中の賃金のうち出向元が負担する額
  • 出向している従業員の出向前の賃金の1/2の額

※出向中の従業員に対する賃金は、出向前より高い額を支払う必要があります。

上限額

  • 1人1日あたり:8,355円(1事業所1年度あたり1,000万円まで)

※2022年8月1日時点での雇用保険の基本手当日額の最高額。金額は毎年8月に改正されるためご注意ください。

支給対象期間・支給対象人数

  • 最長1年間・最大5人

参照:産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)|厚生労働省

7.2023年も補助金活用支援合同会社が御社の助成金活用をバックアップ!

スキルアップなど自身のキャリアに対して積極的になれる制度設備や支援策を実施することは、従業員のモチベーションアップ、ひいては生産性向上につながります。

長時間労働の短縮、育児休暇や介護休暇の取得はもちろん、休暇明けの復職の確約など、従業員が安心して働ける環境づくりは、これからもっと必要性を増してくるでしょう。

補助金活用支援合同会社では、御社の課題を解決すべく助成金活用について全力でバックアップいたします。
少しでもお悩みを抱えている方のお力になりたい、補助金活用支援合同会社はそう考えています。
ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。