【事業再構築補助金】基礎から2023年度改定予定の内容までを解説!

事業再構築補助金。それは未来社会へつながる取り組みを重点的に支援する制度。2023年度に行われる改定枠、新設枠について詳しく解説!

「事業再構築補助金」という名前は知っていても、制度や補助内容の詳細がわからずお困りの人も多いのではないでしょうか。
事業再構築補助金は、業態の構造転換や再構築にかかる費用の補助を行う制度です。
上手に活用することで、資金的な問題で行えなかった新業態や構造転換への挑戦、厳しい業績の改善などが可能です。

この記事では、事業再構築補助金の概要から申請の流れを、2023年度改定予定の内容とともに詳しく紹介いたします。
事業再構築補助金の活用を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

1.事業再構築補助金の概要

日本経済の構造転換を促すことを目的に始められた事業再構築補助金制度で受けることのできる給付金を「事業再構築補助金」といいます。
業況が厳しい事業者や事業の再生に取り組んでいる中小企業に対し、未来社会へつながる取り組みを重点的に支援する制度です。
公募開始時の社会情勢などを加味した内容を取り入れることで、さまざまな角度からの支援を目指しています。
2023年度には、現在の補助対象企業類型の見直しや新たな類型の新設が検討されています。
参照│経済産業省「事業再構築補助金の概要」

2.【2023年版】事業再構築補助金の対象者と補助対象事業類型

事業再構築補助金を申請するためには、対象者であるか確認したうえで、申請する類型を選ぶ必要があります。
企業の規模や法律に基づいた分類があるので、しっかりと確認しましょう。

2-1.事業再構築補助金の対象者

事業再構築補助金の対象者は、事業規模や従業員数、法律によって3つに分類されます。

・中小企業者
・中小企業等に含まれる中小企業以外の法人
・中堅企業

大企業や中堅企業から出資などを受けている場合「みなし企業」に分類されます。
みなし企業に分類された場合には、対象者の該当区分が変わるため、詳しくは、事業再構築補助金事務局の公式サイト、よくあるご質問「補助対象者について」をご確認ください。

2-2.【2023年版】補助金の対象事業類型

事業再構築補助金を活用して、どのような補助事業を行いたいのかによって、申請する類型が異なります。
2023年度には、類型の見直しや新設が予定されているため、内容を確認して、該当する類型での申請を行いましょう。

2-2-1.【2023年度見直し】物価高騰対策・回復再生応援枠

新型コロナウイルス感染症の流行をはじめとした、社会経済の変化や物価高騰の影響を受ける中、事業の再生に取り組む企業や事業者への支援を行うために見直された類型です。
再生計画などに取り組んでいる企業や事業者も、こちらの枠型が対象になります。
第9回の公募では「緊急対策枠」と「回復・再生応援枠」という別の類型が使用されていましたが、2023年度に「物価高騰対策・回復再生応援枠」というひとつの枠型に統合される予定です。
補助上限額、補助率は事業再構築補助金事務所公式サイトのリーフレットをご確認ください。

2-2-2.【2023年度見直し】グリーン成長枠

グリーン成長枠とは、太陽光発電や次世代熱エネルギーなどグリーン分野での成長や事業再構築に取り組む企業への支援類型のことです。
2023年度からは、第9回公募までの対象要件を引き継いだ「スタンダード」と、要件を緩和した「エントリー」の2つの類型への見直しと変更が行われる予定です。
さらに、上乗せ枠として「卒業促進枠」か「大規模賃金引上促進枠」のどちらかを利用することで、補助上限額か補助率でのインセンティブを受けられることになります。
ただし、補助上限額は、申請する類型によって変わります。
補助上限額、補助率は事業再構築補助金事務所公式サイトのリーフレットをご確認ください。

2-2-3.【2023年度見直し】成長枠

これからの成長が期待される「成長分野」へ向けた事業再構築に取り組む企業や事業者を支援するための類型です。
第9回公募まで行われていた「通常枠」から、必須要件になっていた売上高減少要件が廃止され、補助金額も見直されました。
公募開始時に対象になる業種や業態が指定されますが、指定外の業種や業態であっても、要件を満たすことが証明でき、認められた場合には成長枠での申請が可能です。
グリーン成長枠と同様に、「卒業促進枠」か「大規模賃金引上枠」を上乗せ枠として利用することができます。
補助上限額、補助率は事業再構築補助金事務所公式サイトのリーフレットをご確認ください。

2-2-4.【継続】最低賃金枠

最低賃金枠とは、最低賃金の引上げによる影響を強く受ける企業を支援するための類型のことです。
ほかの枠型と比べると、補助上限額は低めですが、補助率が高めに設定されています。
第9回公募までは、回復・再生応援枠に比べて採択率での加点優遇がありましたが、回復・再生応援枠の見直し統合が決まっているため、2023年度における加算優遇措置の有無は未定です。
補助上限額、補助率は事業再構築補助金事務所公式サイトのリーフレットをご確認ください。

2-2-5.【2023年度新設】産業構造転換枠

国内の市場規模縮小などの影響から、事業再構築や事業転換を強く求められる企業や事業者が対象となる類型です。
こちらの類型では、対象経費に「廃業費」が追加されます。
廃業費を経費に使用した場合、補助上限に最大で2,000万円の上乗せが可能です。
2023年3月上旬より、指定業種と要件を満たす地域の証明についての受付が開始され、公募開始時に、指定業種と申請要件を満たす地域が公表される予定です。
補助上限額と補助率、指定業種についての詳細は事業再構築補助金「令和4年度第二次補正予算案の概要」をご確認ください。

2-2-6.【2023年度新設】サプライチェーン強靭枠

製造から販売、消費までの一連の流れ(サプライチェーン)の強靭化と、地域産業の活性化に対して、意欲的に取り組む企業や事業者を支援するために新設される類型です。
対象になる業種や業態は、公募開始時に公開される予定です。
対象外の業種や業態であっても、要件を満たしていることを条件に、サプライチェーン強靭枠での申請が可能となります。
この類型での申請を行ったうえで、給与支給総額の年率平均を3%以上増加することで、採択時の加点措置を受けられるようになります。
補助上限額と補助率、加点措置の幅については事業再構築補助金「令和4年度第二次補正予算案の概要」をご確認ください。

2-2-7.【2023年度検討中】事業再構築支援コース(仮称)

新型コロナウイルス感染症の流行などによる影響で、一時的に事業縮小を余儀なくされた企業や事業者が、事業の再構築を目的とした人材の育成・確保を円滑に行えるよう支援するために検討されている新しい取り組みです。
令和5年度の予算成立や厚生労働省令の改正が必要になることから、2023年2月時点では、実施は確定していません。

3.事業再構築補助金の対象経費と対象外経費

事業再構築補助金で使用する経費には、補助の対象となるもの、一部対象となるもの、対象とならないものがあります。
補助金を上手に活用するためには、使用する経費が対象にをしっかりと確認することも大切です。

3-1.事業再構築補助金の対象になる経費の例

事業再構築補助金では、申請する類型ごとに、補助の対象となる経費が決められています。
ここでは、多くの類型で対象となる経費を紹介します。

  • 減価償却に関する省令に該当する建物の費用
  • 機械装置・システム構築の購入や導入のための費用(リース料含む)
  • 外部からの技術指導者などに支払う技術導入費
  • 事業に関わるコンサルタントなどの支払う専門家経費
  • 必要機材や資材の運搬・運送にかかる費要
  • クラウドサービスをレンタル利用する費用
  • 契約を凍結して、外部へ業務を委託した場合に発生する外注費
  • 特許権の取得などにかかる知的財産権等関連経費
  • 販売を促進するための広告やそれにかかる経費
  • 補助事業を行うために必要な訓練や受講に関する研修費用

対象になる経費の詳しい情報は「事業再構築補助金事務所公式サイトのよくあるご質問補助対象経費について」をご覧ください

3-2.一部のみ補助金の対象になる経費の例

事業再構築補助金では、一部のみが経費の対象になるものがあります。
代表的な4つの経費を紹介します。

  • 車両購入費は対象外、車両に乗せる設備やその設置にかかる費用は経費の対象
  • 蓄電池設備は、申請時に誓約書を提出することで経費の対象
  • WEB広告にかかる費用は、補助事業実施期間のみ経費の対象
  • 海外現地法人にかかる費用は経費の対象外、国内にある本社が海外現地法人向け商品を購入した場合、経費の対象

3-3.事業再構築補助金の対象外になる経費の例

事業再構築補助金の対象になる経費は、補助事業のみで使用する経費に限られています。
他の事業でも使うことができる経費は、補助金の対象外になるので、注意が必要です。

  • 事務所関連:家賃や水道光熱費などの費用は経費対象外
  • 通信費:電話やインターネットの利用料金は、クラウドサービス費を除き、経費対象外
  • 機材や機器:補助事業以外の多目的で使用できる機材や、機器の導入費用は経費対象外
    (例:事務用パソコンやスマートフォンなどのデジタル複合機機)
  • 資料制作費用:事業計画書などの必要資料、書類の作成・提出にかかる費用は経費の対象外

計上されている経費の大半が対象外の場合は、円滑な補助事業の実施が困難とみなされるため、不採択になる可能性が高くなります
対象外になる経費の情報については、事業再構築補助金事務所公式サイト「補助対象として認められない経費の例」をご覧ください。

4.事業再構築補助金の申請方法と受給までの流れ

事業再構築補助金の受給までには、いくつかの段階があります。
公募開始時にあわてないためにも、大まかな流れを理解しておきましょう。

4-1.申請方法

事業再構築補助金の申請は、電子申請のみの対応となっています。
電子申請に必要な設定は、公募開始前から準備しておくのもおすすめです。
1.GビズIDプライムのアカウント取得
電子申請のため、こちらのアカウント取得が必要になります。
詳しくはGビズID公式サイトの利用者マニュアルをご覧ください。
2.事業計画の策定準備
補助金の必要性や補助事業のテーマなどを明確にすることで、どのような事業計画書を作成していくのか、考えていきます。
参考資料│経済産業省「事業再構築に向けた事業計画書作成ガイドブック
3.認定支援機関に相談
事業計画書は、必ず認定支援機関と相談・作成することが義務付けられています。
内容の精査や必要書類の準備などもあわせて行いましょう。
認定経営革新等支援機関検索システムでは、都道府県から目的に応じた認定支援機関を検索することができます。
4.申請方法
必要添付書類を揃え、電子申請の入力。
添付資料は申請枠ごとに異なるため、詳しくは事業再構築補助金事務所「申請に関する資料/添付資料確認シート」をご覧ください。
※2023年2月現在公開されている資料確認シートは第9回公募までに使用されていたものです。

4-2.申請、採択発表後

申請受付期間が終わると、事業再構築補助金事務所公式サイトで、採択結果が確認できます。
採択状況に応じた流れを確認していきましょう。

4-2-1.採択となった場合

採択となった場合には、経費が適切なものであるかの精査を行うための交付申請が必要です。
提出後、修正などの手続きを行った上で補助金の交付額が決定します。
事業再構築補助金事務所公式サイト「補助事業の手引き/よくある交付申請時の不備」で、必要書類を確認することができます。

4-2-2.不採択となった場合

事業再構築補助金への応募は、1回の公募期間中につき1回までと決められています。
不採択となった場合には、次回以降の公募での再申請は可能です。
ただし、公募内容は回ごとに異なるため、最新情報を事業再構築補助金事務所公式サイトで確認し、事業計画の修正をしてからの再申請がおすすめです。

4-3.事業計画に基づいた事業の実施

交付申請後、Jグランツマイページに「交付決定通知」が届きます。
交付決定通知と同時に発行される資料に記載されている日付から、補助事業を開始できます。
事業計画書に基づいた補助事業を行いましょう。
採択・交付決定後については事業再構築補助金事務所ホームページ「よくあるご質問/採択後の手続きについて」をご覧ください。

4-4.実績報告書の作成と提出

補助事業完了期日もしくは、完了日から30日後には、実績報告書を提出します。
提出のための様式は、電子申請システムからのダウンロードが可能です。
指定された様式へ記入し、証拠書類を添付して提出します。
詳しくは【実績報告書等作成マニュアル】をご覧ください。

4-5.確定通知書の受領と精算払請求書の提出

実績報告書を提出し、事務局によって内容の審査が行われた後、適正であると認められた補助対象経費に対し、補助金額が決定します。
確定通知書と精算払請求書はJグランツから受領が可能です。

4-6.補助金の交付

精算払請求書の提出後、内容に不備がないことなどを確認した後に、補助事業者名義の指定口座へ確定した補助金額が振り込まれます。
補助金が交付された後も、5年間は「事業化状況・知的財産権報告書」と「事業化状況等の実態把握調査票」の提出が義務づけられています。
詳しくは【実績報告書等作成マニュアル】をご覧ください。

2023年度から変わる事業再構築補助金を上手に活用していこう!

事業再構築補助金は、事業の成長や拡大を目指す中小企業の方にとって、未来を切り開く挑戦を応援する制度です。
2023年度からは、第9回公募までの必須要件であった「売上高減少要件」が廃止されることもあり、これまで応募を諦めていた企業や事業者の方も応募・検討しやすい内容への変更が予定されています。
2023年度の改定をきっかけに、事業再構築補助金の活用について検討してみてはいかがでしょうか。

補助金活用支援合同会社では、事業再構築補助金を含む様々な補助金・助成金に対するご相談を随時受け付けております。
どんな小さな疑問でも、気になることや不明点があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。