インボイス制度の対応におすすめの補助金4選!受給要件も紹介

見落としていませんか?経営者の方必見!インボイス制度に対応おすすめ補助金4選

2023年10月1日からインボイス制度が開始されるにあたり、準備を進めている事業者の方も少なくないでしょう。
インボイス制度では請求書や領収書に記載すべき項目が変わるため、これまでの会計ソフトやレジでは対応できない場合があります。
新しいソフトを導入するにしてもコスト面などで企業負担が増えることから、導入が思うように進まないケースも多いのではないでしょうか。

そんな時、補助金の活用はとても有効な手段となります。
この記事では、インボイス制度の対応におすすめしたい4つの補助金について、申請要件なども含めご紹介します。

1.インボイス制度についてのおさらい

インボイス制度とは、一定の条件を満たす請求書や領収書などの「適格請求書(インボイス)」のやり取りを通じて、消費税の仕入税額控除を受けるための制度です。
目的は、消費税を正確に把握すること。
2019年10月に消費税が10%に引き上げられ、複数税率となったことが背景です。

インボイスの交付を行うためには、税務署長への登録申請を経て「適格請求書発行事業者」になる必要があります。
適格請求書発行事業者への登録が完了すると、インボイスへの記載が必須となっている「登録番号」が付与されます。
登録番号を記載したうえで、適用税率や消費税額を正確に明記することが、インボイスの必須要件です。
記載要件を満たしていないものはインボイスと認められず、仕入税額控除も受けることができません。

インボイス制度の開始日である2023年10月1日からインボイスを発行するためには、原則2023年3月31日までに「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録申請をする必要があります。
申請はPCやスマホから簡単に行えるため、開始日からインボイスを発行したい方は、計画的に登録申請を進めましょう。

2.インボイス制度に対応するために必要なもの

適格請求書発行事業者への登録申請を進めるかたわら、インボイス制度に対応するために必要な以下のものを導入する準備も進めていきましょう。

2-1.会計ソフト

インボイス制度に対応するために必要となるのは、インボイスに適した請求書や領収書などのフォーマットを作成できる「会計ソフト」です。
これからの時代、あらゆる点において電子化が進んでいくことは否めません。
そのため、紙ではなく電子インボイスに対応できる会計ソフトを導入するとよいでしょう。

会計ソフトを使い請求書や領収書などを電子データにすることで、以下のようなメリットも得られます。

  • ヒューマンエラーなどによるミスの削減
  • 会計業務の効率化・DX化
  • 在宅でも請求書の発行から送付までを行える

会計ソフトには、「クラウド型」と「インストール型」の2種類があります。
各会計ソフトは、費用や取引頻度、内容、現在利用している金融機関やアプリケーションとの連携ができるかなどで違いがあるため、導入前にしっかり調査しておくことが大切です。

会計ソフト導入に活用できる補助金としておすすめなのが「IT導入補助金」です。
IT導入補助金の補助上限額や申請要件については、【①IT導入補助金】の項目で解説しているので、そちらをご覧ください。

2-2.レジ

小売業や飲食店、サービス業など「不特定多数の人に対して販売やサービスを行う取引」では、レジで発行するレシートや領収書を「簡易インボイス」として適用できます。
簡易インボイスとは、記載項目が簡易的になったインボイスのことです。

軽減税率が適用される商品やサービスの場合、インボイスに税区分の記載が必要となるため、簡易インボイスの適用が認められています。
簡易インボイスを交付したい事業者は、記載項目を満たすレシートが発行できる、インボイス対応のレジを用意しましょう。

会計ソフト同様、導入費用として「IT導入補助金」を活用することができるので【①IT導入補助金】も合わせてご確認ください。

3.インボイス制度対応におすすめの補助金4選

インボイス制度スタートに向けて、下記で悩まされている事業者の方は多いのではないでしょうか。

  • IT投資
  • 設備投資
  • 現場のDX化推進
  • 事業承継
  • 被用者保険の適用拡大
  • 賃上げの交渉
  • 材料費の高騰

政府は、インボイス制度導入に際して負担が大きくなりがちな中小企業や小規模事業者を支援・救済することを目的に、各種補助金制度の拡充などを行っています。

ここからは、インボイス制度対応におすすめな補助金を4つご紹介します。

①IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を支援する補助金です。
IT導入補助金の中の「デジタル基盤導入類型枠」は、会計ソフトや決済ソフト、POSレジ・券売機など、インボイス制度を見据えたデジタル化推進におけるITツールの導入に対し、5〜350万円までの支給が受けられる補助金です。

審査の際は、インボイスに対応し生産性向上にもつながるツールが導入されているかどうかがポイントとなります。

補助額や申請要件などは、以下の通りです。

補助対象経費区分
ソフトウェア購入費
導入関連費
ハードウェア購入費

補助下限額・上限額
ソフトウェア購入費・導入関連費:5~350万円以下
クラウド利用料:最大2年分
PC・タブレットなど:下限なし~10万円
レジ・券売機など:下限なし~20万円

補助率
ITツール:2/3~3/4以内
PC・タブレットなど:1/2以内
レジ・券売機など:1/2以内

申請要件

  • 交付申請時点において日本国内で事業を行っている中小企業、小規模事業者などであること
  • 交付申請の直近月において、事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であること

ほかにも細かい要件が設定されているため、詳しくはこちらをご覧ください。

申請方法
まず、自社の課題に合わせ、IT導入支援事業者と導入するITツールの選定をします。
ITツールの選定後は、申請時に必要となる「gBizIDプライムアカウント」の取得、「SECURITY ACTION」の取り組みに同意することが求められます。
申請フローについては、中小企業・小規模事業者とITベンダー・サービス事業者では、手続きの内容が異なるため、IT導入補助金の公式サイトでご確認ください。

②小規模事業者持続化補助金

地域の雇用を支えている小規模事業者などが地道に行う販路開拓や業務効率化を支援し、その経費の一部を補助することが、小規模事業者持続化補助金の目的です。
小規模事業者持続化補助金では、令和4年度補正予算でインボイス対応に特化した「インボイス特例」が設けられました

インボイス特例の対象経費や補助額などについては、以下の通りです。

補助対象経費区分
機械装置等費
広報費
ウェブサイト関連費
オンラインによる開催も含む展示会などの出展費
委託・外注費

補助下限額・上限額
50~200万円(インボイス特例:免税事業者からインボイス発行事業者に転換する場合は+50万円)

補助率
2/3(赤字事業者の場合は3/4)

申請要件
下記に該当する法人、個人事業、特定非営利活動法人であること

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数が5人以下
  • 宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数が20人以下
  • 製造業その他:常時使用する従業員の数が20人以下

申請方法
申請には、補助金申請システムである「Jグランツ」を利用します。
その際、「gBizIDプライムアカウント」も必要となり、アカウント発行までに1〜2週間かかることもあるため、早めに取得しておきましょう。
詳しくは小規模事業者持続化補助金の公式サイトをご覧ください。

③ものづくり補助金

ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス補助金)は、中小企業・小規模事業者などが取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援している補助金です。
2022年度に新設された「デジタル枠」では、クラウドサービスの利用料や専用ソフトウェアの購入・構築費が補助対象となっています。

デジタル枠に関する補助額などは、下記の通りです。

補助対象経費区分
機械装置・システム構築費
運搬費
技術導入費
知的財産権等関連経費
外注費
専門家経費
クラウドサービス利用費
原材料費

補助下限額・上限額
750~1,250万円(従業員規模によって額が異なります。)

補助率
2/3以内

申請要件
ものづくり補助金における共通の応募要件以外にも、デジタル枠では下記2項目が必須要件となっています。

  • DX推進指標の活用
  • 「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を行っていること

共通要件については、こちらをご覧ください。

申請方法
ものづくり補助金の応募申請は、インターネットを利用した「電子申請」で、「gBizIDプライムアカウント」の取得が必要です。

参照:ものづくり補助金総合サイト

④事業承継・引継ぎ補助金

インボイス制度の導入にともない、後継者がおらず事業を続けることが難しくなる場合や、経営を引き継いだうえでインボイス制度を見据えた経営革新に対する取り組みを行いたい場合には、事業継承・引継ぎ補助金の受給が可能です。
仲介やFA手数料に関する申請を行いたい場合は、M&A支援機関登録制度に登録されている必要があります。

対象となるのは主に中小企業で、補助額などは次の通りです。

補助対象経費区分
人件費
店舗等借入費
設備費
原材料費
産業財産権等関連経費
謝金
旅費
宿泊費
マーケティング調査費
広報費
会場借料費
外注費
委託費

補助下限額・上限額
150~600万円(一定の賃上げをする事業者の場合:200万円上乗せされ800万円)

補助率
1/2~2/3

申請方法
補助金申請システムである「Jグランツ」を利用しての電子申請となります。
ほかの補助金同様、Jグランツを利用するにはあらかじめ「gBizIDプライムアカウント」の取得が必要となるため、申請をスムーズに進めるためにも、アカウントの取得は早めに済ませておきましょう。

参照:事業承継・引継ぎ補助金ポータルサイト

4.補助金を受給する場合の注意点

自社の生産性を向上させるための資金確保として、補助金はとても有効ですが、受給する際には注意すべきこともあります。

申請が受理されず予定していた経営戦略が頓挫するような事態にならないためにも、これからご紹介する3点には特に注意しましょう。

申請期限の確認

各補助金には、それぞれ申請期限が設けられており、期限を過ぎてしまうと次の回まで申請ができなくなります。
申請期限を事前に確認し、トラブルが起きても締切に間に合うよう、余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。

用途や必要機器の明確化

インボイス制度に対応するために必要な機器やシステムは何か、導入するには資金がいくら必要なのかを明確にすることは欠かせません。
そのうえで、自社にとって最適な補助金はどれかを確認しましょう。

補助金活用支援合同会社では、自社で申請できる補助金情報を簡単に検索できるシステム「情報の泉」をご用意しています。
補助金のセレクトに迷った際は、ぜひご活用ください。
また、個別相談も随時受付ておりますので、お気軽にご相談ください。

補助金は後払い制

補助金は原則後払い制で、補助事業終了後に、精算・支払いを受けるのが通常の流れです。
そのため、補助金を資金繰りのあてにすることはできません。
補助金を申請する前に自己資金がどのくらいあるのか、銀行などから融資を受けることはできないかなどを、前もって確認しておきましょう。

5.インボイス制度対応には補助金を上手に活用しよう!

インボイス制度に対応するためには、多くのコストがかかります。
インボイス対応した請求書やレシートなどが発行できる、会計ソフトやレジを新規で導入したり、社内の環境を整えたりする必要があるためです。
これらのコストには、今回ご紹介した4つの補助金を上手く活用してみてはいかがでしょうか。

補助金活用支援合同会社では、貴社が受給できる補助金のご相談から書類作成、申請までを、補助金のプロが丁寧にサポートいたします。
インボイス制度に活用できる補助金のことでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。