令和6年12月17日に令和6年度補正予算が成立し、厚生労働省が実施していた助成金の継続・拡充、新しい助成金の情報が公開されました。
これにともない、助成金の最新情報が気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、継続・拡充される助成金と新しい助成金の情報について、わかりやすく紹介します。
目次
1.令和6年度補正予算の概要
令和6年度補正予算では「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」として、以下の3つの対応を柱とした予算編成が行われました。
経済あっての財政という考え方のもと、日本経済の再生・財政健全化の両立を図ることを目的に予算が組まれました。
令和6年度補正予算全体に関して、詳しくは下記のページで紹介しています。
【合同会社SCS│【令和6年度補正予算成立】経済対策の内容から省庁ごとの目標を徹底解説!】
2.令和6年度「厚生労働省」補正予算の概要
厚生労働省では、以下の6つの対策を軸とした補正予算の編成が行われました。
・持続的・皇族的賃上げに向けた支援等
・創薬力強化に向けたイノベーションの推進、医薬品等の安定供給確保
・医療・介護DX等の推進
・国際保健・次なる感染症に備えた対応等
・国民の安心・安全の確保
令和6年度補正予算では、主に「医療現場における働き方改革への対応支援」や「省力化促進支援」などが実施されるほか、持続的な賃上げやDXの促進などの支援が行われる予定です。
3.【令和6年度補正予算】実施予定の助成金を6選で紹介!
ここからは、令和6年度補正予算の成立にともない「継続・拡充」「新設」が公表された助成金を、6つピックアップして紹介します。
・キャリアアップ助成金
・雇用調整助成金
・両立支援等助成金
・産業雇用安定助成金
・電子処方箋の活用・普及の促進事業
補助金や助成金の活用について興味のある方・お悩みの方は、合同会社SCSへお気軽にお声がけください。
3-1.【継続】業務改善助成金
業務改善助成金とは、最低賃金の引き上げに向けた環境整備を図るため「生産性向上」につながる設備投資などを支援する助成金のことです。
事業場内最低賃金を各コースに定める金額以上に引き上げることで、設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。
コース名 | 賃金を引き上げる労働者人数 | 助成金上限額 | |
事業場規模30人以上 | 事業場規模30人未満 | ||
30円コース
(30円以上) |
4~6人 | 70万円 | 100万円 |
7人以上 | 100万円 | 120万円 | |
45円コース
(45円以上) |
4~6人 | 100万円 | 140万円 |
7人以上 | 150万円 | 160万円 | |
60円コース
(60円以上) |
4~6人 | 150万円 | 190万円 |
7人以上 | 230万円 | 230万円 | |
90円コース
(90円以上) |
4~6人 | 270万円 | 290万円 |
7人以上 | 450万円 | 450万円 |
【参考│厚生労働省:業務改善助成金公式サイト】
この助成金については、以下のページでも詳しく紹介しています。
【合同会社SCS│業務改善助成金│生産性の向上が目指せる!制度概要から申請方法までを紹介】
3-2.【継続】キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、「有期雇用労働者の正社員化」や「賃金規定の改定」などの労働環境・雇用環境整備に活用できる助成金です。
令和6年度補正予算では、「要件の緩和」「非正規雇用労働者の正社員化促進」などが実施される予定です。
申請枠名 | 助成額 | |
正社員化コース | 【有期雇用労働者】
・中小企業:80万円 ・大企業:60万円 |
【無期雇用労働者】
・中小企業:40万円 ・大企業:30万円 |
賃金規定等改定コース | 【賃金引上げ率3~5%未満】
・中小企業:5万円 ・大企業:3万3,000円 |
【賃金引上げ率5%以上】
・中小企業:6万5,000円 ・大企業:4万3,000円 |
賃金規定等共通化コース | ・中小企業:60万円
・大企業:45万円 |
|
賞与・退職金制度導入コース | 【賞与または退職金制度いずれかを導入】
・中小企業:40万円 ・大企業:30万円 |
【賞与および退職金制度を同時に導入】
・中小企業:56万8,000円 ・大企業:42万6,000円 |
上記の申請枠のほかに、社会保険適用時に活用できる「社会保険適用時処遇改善コース」もあります。
詳しくは、下記のページで紹介していますのでぜひご覧ください。
【合同会社SCS│キャリアアップ助成金で拡充された2つのコースとは?【わかりやすく解説】】
3-3.【継続】雇用調整助成金
雇用調整助成金は、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主の「雇用維持を図るための休業」「教育訓練」などを支援する助成金です。
令和6年度補正予算の成立に伴い、令和7年1月から「令和6年能登半島地震および豪雨」にかかわる新たな特例措置を実施予定です。
令和6年度能登半島
地震豪雨・半島過疎臨時特例 |
||||
対象者 | 支給日数 | 対象労働者 | 対象休業規模 | 助成率 |
災害による経済上の理由で事業活動を縮小し、在籍型出向に取り組む「ハローワーク七尾・輪島管内」の事業主 | 1年300日
※令和7年内に限る |
雇い入れ6か月未満も対象 | ・中小企業
1/40以上 ・大企業 1/30以上 |
・中小企業
4/5 ・大企業 2/3 ※休業・教育訓練について |
【参考│厚生労働省:雇用調整助成金 能登半島 地震豪雨・半島過疎臨時特例の創設について】
3-4.【継続・拡充】両立支援等助成金
両立支援等助成金は、働きながら子育てを行う労働者の「雇用継続」、男性労働者の「育児休暇取得の促進」を目的に実施されている助成金です。
令和6年度補正予算からは、以下の制度拡充が実施される予定です。
予定されている拡充内容 | ||
コース名 | 支給額 | 加算措置/加算額 |
出生時両立支援コース | ・第2種 60万円
※申請前年度を基準とし、男性育休取得率が30%以上上昇し、50%以上となった場合 |
・第2種 15万円
※プラチナくるみん認定事業者が第2種を申請した場合 |
育休中等業務代替支援コース | ・育休中の手当支給
最大140万円 ・育短勤務中の手当支給 最大128万円 |
【参考│厚生労働省:補正予算案の主要施策集】
出生時両立支援コースでは、第2種の申請対象者を「第1種(男性の育児休業取得に関する取り組み)を受給した事業主のうち、男性の育児休業取得率が上昇した事業主」としていましたが、第1種未受給でも申請可能になりました。
3-5.【継続・拡充】産業雇用安定助成金
産業雇用安定助成金では、生産性を向上させる取り組みを「人材確保・育成」の面から効果的に促すための支援が行われています。
令和6年度補正予算からは「災害特例人材確保支援コース」が新設されます。
能登地域の「地震・豪雨の被災地」において、企業の雇用維持や地域の人材確保を両立するために行われる特別な支援
産業雇用安定助成金 災害特例人材確保支援コース | ||
対象者 | 助成率 | 助成上限額 |
受給要件に定める
「出向元事業主」 「出向先事業主」 であること |
中小企業:4/5
中小企業以外:2/3 |
8,635円
※雇用保険の基本手当日額の最高額 |
【参考│厚生労働省:産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)】
3-6.【新設】電子処方箋の活用・普及の促進事業
電子処方箋の活用・普及の促進事業は、都道府県が実施している「電子処方箋の活用・普及」に向けた医療機関などへの導入助成を行う助成金です。
2025年3月31日までに電子処方箋のシステム導入が完了した施設を助成対象としており、「システム導入のタイミング」「病院の規模」によって助成額が異なります。
システム導入のタイミング | 病院の規模 | 助成上限額 |
新規導入 | 病床数200床以上の大規模病院 | 162.2万円 |
大規模病院以外の病院 | 108.6万円 | |
診療所 | 19.4万円 | |
大規模な薬局 | 9.7万円 | |
薬局 | 19.4万円 | |
新機能と同時に導入 | 病床数200床以上の大規模病院 | 200.7万円 |
大規模病院以外の病院 | 135.3万円 | |
診療所 | 27.1万円 | |
大規模な薬局 | 13.8万円 | |
薬局 | 27.7万円 |
4.補助金・助成金のご相談は合同会社SCSへお問い合わせください!
厚生労働省の令和6年度補正予算は「人材確保を目的とした働き方改革・省力化事業」や「賃上げ・DXの推進、社会的弱者への支援」を中心とした予算編成が行われました。
2024年までに実施されていた助成金の多くが継続実施となり、制度内容の見直しや拡充により、これまでよりも幅広く活用できるようになることが期待できます。
補正予算成立を機に、補助金や助成金を活用してみたいと考えている方は、ぜひ合同会社SCSへお問い合わせください。
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