キャリアアップ助成金で拡充された2つのコースとは?【わかりやすく解説】

キャリアアップ助成金で拡充された2つのコース

キャリアアップ助成金は、労働環境の改善や雇用条件の見直しを行いたいときに利用できる補助金の1つです。
2023年10月・11月に、「正社員化コース」の拡充と「社会保険適用時処遇改善コース」の新設が行われました。
今回は、拡充・新設された2つのコースについてわかりやすく紹介します。

1.キャリアアップ助成金の概要

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者の企業内キャリアアップを目指し、正社員化や処遇改善の取り組みを行う企業を支援する制度のことです。

<用語解説>
有期雇用労働者:事業主との間で期間を定めた労働契約を締結している非正規労働者のこと。
一定期間で雇用再契約のあるパートタイム労働者や派遣労働者、契約社員などが該当する。

キャリアアップ助成金は「厚生労働省」が管轄しているため、申請は厚生労働省の出先機関である労働局やハローワークで行います。
キャリアアップ助成金については、下記のページでも詳しく解説しています。
【合同会社SCS│【2023年度】キャリアアップ助成金の変更点を解説│申請のポイント5つも紹介

2.キャリアアップ助成金で拡充された2つのコース

キャリアアップ助成金は、2023年11月に「正社員コースの拡充」と「社会保険適用時処遇改善コースの新設」が行われました。
ここからは、それぞれの内容について詳しく紹介します。

2-1.正社員化コース

正社員化コースでは、有期雇用労働者などを正規雇用労働者(正社員)に転換した場合に助成金が支給されます。
2023年11月に行われた改訂では、助成金(1人あたり)の見直しや対象となる有期雇用労働者の条件緩和などの拡充が行われました。

2-1-1.【拡充】助成金(1人あたり)の見直し

現行「6か月」の支給対象期間が「12か月」に拡充されました。
これにともない、「6か月」あたりの助成額の見直しも行われました。

企業規模 現行 拡充後
中小企業 57万円 80万円(40万円+40万円)
大企業 42.75万円 60万円(30万円+30万円)

※上記金額は、有期雇用労働者の正社員転換の場合の助成額
※無期雇用労働者の正社員転換は上記助成額の半額

中小企業者がキャリアアップ助成金を利用する際、現行では1期(6か月)で57万円が助成されていましたが、拡充以降は2期(12か月)で80万円(1期あたり40万円)の助成に変更されました。
1人目の正規社員転換時には、加算措置も行われるので、上記金額よりも多い助成を受けることができます。

2-1-2.【拡充】対象となる有期雇用労働者の要件緩和

対象となる有期労働者の雇用期間要件が、現行の「6か月以上3年以内」から「6か月以上」に緩和されました。
ただし、有期雇用労働者の雇用期間が通算5年を超えた場合には、無期労働者と同様の扱いとなるため、助成額は半額となります。

2-1-3.【拡充】多様な正社員制度規定に関する加算措置

勤務地を限定した正社員や短時間勤務の正社員など、さまざまな働き方に対応する「多様な正社員制度」を新たに規定する際に行われていた加算措置が増額されます。

企業規模 現行 拡充後
中小企業 9.5万円 40万円
大企業 7.125万円 30万円

無期雇用労働者から正規社員への転換制度を新たに規定した場合にも、同額の加算が行われ、1事業所あたり1回のみ適用できます。

2-1-4.【新設】正社員転換制度の規定に関する加算措置

新たに正社員転換制度の導入に取り組む事業主に対する助成額の加算措置が新設されました。
この加算措置は1事業所あたり1回のみ適用されます。

企業規模 新設された加算措置の金額
中小企業 20万円
大企業 15万円

※無期雇用労働者から正規社員への転換制度を新たに規定した場合にも同額を加算

中小企業者がキャリアアップ助成金を利用し、有期雇用労働者を正社員へ転換した場合、1人目の転換時には、正社員コースの助成金80万円と加算措置の40万円の合計120万円が助成されます。

2-2.社会保険適用時処遇改善コース

社会保険適用時処遇改善コースは、年収の壁への対策として2023年10月から新設されたコースです。
労働者の収入を増加させる取り組みを行う企業に助成金が支給されます。
どのような取り組みを行い労働者の収入を増加させるかによって、申請するメニューが決められています。

2-2-1.手当等支給メニュー

手当等支給メニューは、社会保険適用時に「社会保険適用促進手当」などの支給を行うことで、労働者の負担軽減と収入増加に取り組む企業が利用できるメニューです。

<用語解説>
社会保険適用促進手当:短時間労働者などへの社会保険適用を促進するために、事業者が労働者へ支給する手当のこと。
事業所内のバランスを考慮して、同じ条件で働く労働者にも同水準の手当を特例支給する場合にも同様の取り扱いが可能。

手当等支給メニューを利用することで、労働者は社会保険適用後もこれまで通りの給与を得ることができます。
助成要件や助成金額については公式サイトでご確認ください。
【厚生労働省│キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

2-2-2.労働時間延長メニュー

労働時間延長メニューでは、所定労働時間の延長により社会保険を適用させる場合に、事業者に助成金が支給されます。

<用語解説>
所定労働時間:契約で定められている労働時間のこと。
始業から終業までの休憩時間を除いた時間。

労働時間延長メニューの対象となる取り組みは下記の通りです。

週所定労働時間の延長 賃金の増額
4時間以上

3時間以上4時間未満 5%以上
2時間以上3時間未満 10%以上
1時間以上2時間未満 15%以上

上記の取り組みを6か月間継続した後の2か月以内が、メニューへの申請時期です。
キャリアアップ助成金公式サイトで、労働時間延長メニューの適用ケースごとの利用イメージが公開されていますので、そちらもあわせてご覧ください。
【厚生労働省│キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)

2-2-3.併用メニュー

キャリアアップ助成金の対象期間の1年目に「手当等支給メニュー」の取り組みを行い、2年目に「労働時間延長メニュー」の取り組みを行った場合、併用メニューが利用できます。
1年目と2年目で利用するメニューが異なるため、どちらの助成要件も満たす必要があるので、公式サイトやリーフレットでしっかりと確認しましょう。

3.キャリアアップ助成金の魅力

キャリアアップ助成金は、労働環境の改善や雇用条件の見直しができる以外にもさまざまな魅力があります。
ここからは、キャリアアップ助成金の魅力について紹介します。

3-1.魅力①要件を満たせば助成金が支給される

キャリアアップ助成金では、受給要件を満たしていれば助成金が支給されます。
助成金は原則返済不要の資金なので、職場環境の改善や労働者の処遇改善などさまざまな取り組みに活用可能です。

3-2.魅力②従業員満足度の高い魅力的な職場作りを推進できる

キャリアアップ助成金には、拡充されたものも含め、以下6つのコースがあります。

コース名称 主な支援内容
正社員化コース 有期雇用労働者の正社員化にかかわる取り組みを支援
障がい者正社員化コース 障がいのある有期雇用労働者の正社員化にかかわる取り組みを支援
賃金規定等改定コース 有期雇用労働者の基本給を定める賃金規定を、3%以上増額改定する取り組みを支援
賃金規定等共通化コース 有期雇用労働者と正規雇用労働者の共通賃金規定を、導入・適用する取り組みを支援
賞与・退職金制度導入コース 有期雇用労働者を対象に賞与・退職金制度を導入する取り組みを支援
社会保険適用時処遇改善コース 短時間労働者などが社会保険の適用対象となった時に、手当等を支給することで労働者の金銭的負担を軽減する取り組みを支援

企業規模や自社の抱える課題に合わせた取り組みを行うことで、魅力的な職場作りの促進や組織力の強化が期待できます。
働きやすい職場環境を整えることで、従業員の定着や満足度向上につなげることも可能です。

3-3.魅力③企業のイメージアップが期待できる

要件を満たして審査に通過したということは、厚生労働省に「雇用や人材育成に貢献している企業」だと認められた証といえます。
自社の状況に合った働き方改革を推進している企業として、イメージアップや社会的信頼の獲得が期待できます。

3-4.魅力④優秀な人材の確保につなげられる

キャリアアップ助成金は、労働者の職業訓練や資格取得などのキャリア形成支援にも活用することができます
すでに雇用している人材のキャリア形成を支援することで、企業内で優秀な人材を育成することが可能です。
助成金を利用して安定した雇用環境を作ることは、優秀な人材の確保につなげられるでしょう。

4.キャリアアップ助成金を申請する際の注意点

補助金や助成金を活用するときには、デメリットや注意点についてもしっかり理解することが大切です。
ここからは、キャリアアップ助成金を申請する際の注意点についてわかりやすく解説します。

4-1.注意点①キャリアアップ計画を確実に実施する必要がある

キャリアアップ助成金を利用する場合には、キャリアアップ計画の作成・認定を得る必要があります。
認定を受けたキャリアアップ計画は、確実に実施しなければなりません。

<用語解説>
キャリアアップ計画:キャリアアップ助成金を利用する際に、必要になる「対象となる労働者」・「目標」・「取り組み内容」に関する計画。
立案から実施・評価までの期間は3年以上5年以下と決められている。

キャリアアップ計画は認定を受けるまでに時間がかかることがあるので、取り組みを行いたい日よりも早い段階で作成・提出を行いましょう。
また、取り組みを行うなかで改善点が見つかり、キャリアアップ計画の内容を変更したい場合には、「キャリアアップ計画変更届」の提出を求められます。

4-2.注意点②受給までにおよそ1年かかる

キャリアアップ助成金を受給するためには、多くの手順を踏む必要があり、支給申請まででも半年以上の時間がかかります

キャリアアップ助成金のおおまかな手順
1.キャリアアップ管理者の選定
2.労働者代表の意見を反映したキャリアアップ計画の作成
3.キャリアアップ計画に基づく取り組みの実施
4.6か月の賃金支払い
5.支給申請
6.審査
7.受給

また、審査にも数か月ほど時間がかかるため、実際に受給するまでにおよそ1年かかります。
労働環境を改善するための資金がすぐに欲しい場合や、自社努力だけで取り組みを行うための資金調達が難しい場合には、ほかの資金調達方法の利用も検討しましょう。

4-3.注意点③申請時点で発覚したミスはあとから修正できない

キャリアアップ助成金では、キャリアアップ計画に基づいた取り組みを実施し、6か月の賃金支払いを行ったあとに支給申請を行います。
そのため、申請時にミスが発覚したとしても、さかのぼって修正することはできません
また、過去にキャリアアップ助成金の不正受給が多く発覚したこともあり、審査も厳しくなってきています。
ミスがあると助成金の支給が認められないこともあるので、社会保険労務士などの専門家に相談しながら進めて行くのがおすすめです。

4-4.注意点④労働基準法など労働関係法令の遵守が求められる

キャリアアップ助成金を利用する場合、取り組みの内容によっては、小規模事業者であっても就労規則の作成を求められることがあります。
就業規則を作成するためには、労働基準法をはじめとした労働関係法令を正しく理解し、遵守しなければなりません。
また、支給申請日の前日から過去1年間で労働関係法令で違反した企業は、助成金の申請・受給が認められていないので注意しましょう。

5.キャリアアップ助成金の相談は【合同会社SCS】におまかせ!

キャリアアップ助成金は、労働環境や雇用条件の見直しを行いたい企業が活用していきたい助成金の1つです。
助成金を利用すると、企業イメージの向上や優秀な人材の確保が期待できます。
魅力的な職場作りを目指しているのであれば、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

今回紹介したキャリアアップ助成金のほかにも、企業成長に役立てられる補助金は数多く存在します。
合同会社SCSでは、補助金コンサルタントが企業にあった補助金の選定から申請までを一貫してサポートしています。
補助金の活用に興味のある方は、お気軽に合同会社SCSへお声がけください。

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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に合同会社SCSを設立し独立。

経営者の潜在的な要望を引き出し、事業拡大を実現する「コンサルティング型」によって、1年間で100件以上の補助金申請をサポートし、1憶5千万円以上の採択を実現。

最適な補助金の提案から受給まで、完全サポートしている。