企業の育成支援プログラム「J-Startup」とは?【経済産業省推進】

J-Startupとは

短期的に事業価値を高めて成長する「スタートアップ企業」の支援として、2018年6月にスタートした「J-Startup」プログラム。
世界で戦うことができるスタートアップ企業を生み出し、ベンチャー企業の起業から自立までの好循環が繰り返されるシステム(ベンチャーエコシステム)の強化を目的に実施されています。

今回は、スタートアップ企業の育成支援を行う「J-Startup」プログラムについて、制度の概要や支援内容をわかりやすく解説します。

1.J-Startupの概要

J-Startupは2018年6月からスタートした「スタートアップ企業育成プログラム」のことです。

<用語解説>
スタートアップ企業:アメリカ・シリコンバレーで使われ始めた言葉。
革新的なビジネスモデルを考え、新しい価値を市場に提供することで短期的に事業価値を高めて成長する企業や組織のこと

政府目標である「企業価値または時価総額が10億ドル以上となる、未上場ベンチャー企業または上場ベンチャー企業を2023年までに20社創出」を実現するためにJ-Startupは始まりました。
革新的な技術やアイデアで世界に新しい価値を提供し、成功モデルを創出することで、日本のベンチャーエコシステムの強化を目指しています。

<用語解説>
ベンチャーエコシステム:ベンチャー企業の起業から自立までのシステム形成、それを支える人や組織、資金などの企業活動基盤のこと

また、経済産業省ではスタートアップ企業の育成に積極的な自治体と協力し、J-Startupプログラムの地域展開である「J-Startup地域版」を7都道府県で実施しています。
【参考│J-Startup公式サイト

2.J-Startup認定企業になるとどうなる?

J-Startupプログラムでは、大企業やトップベンチャーキャピタリストなどからの推薦を受けた企業を、外部の審査委員が厳正な審査を行い「J-Startup認定企業」として選出しています。
J-Startup認定企業に選出されると、支援コミュニティの構築や政府・民間サポーター企業からの集中支援などを通じて、世界と戦える企業になるための海外展開支援を受けることができます。

詳しい支援内容は「3.J-Startup認定企業が受けられる主な支援策」で紹介しますので、そちらをご覧ください。

3.J-Startup認定企業が受けられる主な支援策

J-Startup認定企業として選出されると、さまざまな育成支援を受けることができます。

ここからは、代表的な7つの支援策を紹介します。
詳しい支援策の情報は、公式サイトの支援策パンフレットをご確認ください。
【J-Startup公式サイト│支援策パンフレット

3-1.広報活動支援

J-Startup広報活動支援では、J-Startupのロゴマーク活用、SNSを利用したプレスリリースの発信サポートなどの支援を受けることができます。
また毎週木曜日に開催される、J-StartupとVenture Café Tokyoが共催するJ-Startup関連イベント「J-Startup Hour」へ参加ができるほか、登壇してPR活動を行うことも可能です。

J-Startup関連イベントでは、J-Startup企業やサポーター企業が参加しているため、自社をPRできるだけでなく企業同士のつながりを得ることができます。
【J-Startup公式サイト│支援策パンフレット
【Venture Café Tokyo│J-Startup Hour

3-2.海外展開支援

J-Startup認定企業は、日本貿易振興機構(ジェトロ)が設置する「グローバル・アクセラレーション・ハブ」を活用した海外展開や展示会への出展支援を受けることができます。

<用語解説>
グローバル・アクセラレーション・ハブ:日本貿易振興機構(ジェトロ)が行う日系スタートアップの海外展開を支援するサービスの1つ。
海外の最新ビジネス情報や資金調達方法などを、現地の事業成長促進団体などから紹介してもらうことができるほか、世界のスタートアップ・エコシステムとの窓口として活用できる。
【貿易振興機構(ジェトロ)│グローバル・アクセラレーション・ハブ

世界各国のスタートアップ企業向けの展示会への出展では、準備段階からのサポート、現地企業や投資家とのマッチングサポートなどの支援が受けられます。
また、J-Startup認定企業は、展示会へ「原則審査不要」で参加できるので、メディア向けPR活動の機会を多く得ることができます。
【J-Startup公式サイト│支援策パンフレット

3-3.国内展開支援

J-Startup認定企業は、国内で行われる展示会の出店費用が一部無料になるほか、商談マッチングなどの支援を受けることができます。
また、資金調達や投資家からの支援がほしいという企業向けに「ピッチイベント」への登壇支援も行われています。

<用語解説>
ピッチイベント:スタートアップ企業が自社のアイデアや製品を短い時間でプレゼンテーションすることで、興味を持った投資家からの支援を得られる資金調達の1つ。
ピッチイベントへの登壇、優勝は企業の信頼獲得にもつながるため、ビジネス成功へのきっかけづくりとしても活用されている。

詳しい支援サービス内容は、公式サイトのパンフレットをご確認ください。
【J-Startup公式サイト│支援策パンフレット

3-4.調達支援

J-Startup認定企業は、政府が行う一般競争入札において、必要な等級を満たしていない場合でも入札が可能となります。

<用語解説>
一般競争入札:官公庁が入札情報を公示、不特定多数の参加者を募り、最も有利な条件を出した入札者と発注契約をする方式のこと。
入札資格があれば参加できるが、企業の資本金や事業経験などで資格の等級が定められており、等級に満たない案件には入札できない。

ただし、入札を行うためには「入札資格」が必要となります。

一般競争入札に関する詳しい情報は、J-Startup公式サイトパンフレットまたは、調達ポータルサイトをご確認ください。
【J-Startup公式サイト│支援策パンフレット
【調達ポータルサイト│全省庁統一資格について

3-5.支援制度の審査時における優遇

J-Startup認定企業は、下記の支援制度の審査時に加点などの優遇措置を受けることができます。

対象制度名称 制度の概要
新価値創造展 全国の中小企業・ベンチャー企業が出展し、出展者同士による新しい価値を生み出すビジネスマッチング支援が受けられる制度
IPAS スタートアップ企業創業期に知財専門家などの知財メンタリングチームによる戦略構築支援が受けられる制度
高度人材ポイント制 高度外国人材の受け入れ促進のために、出入国在留管理上の優遇措置が受けられる制度

また、NEDOが管轄している制度「DTSU(ディープテック・スタートアップ支援事業)」では、一定の優遇措置を受けることができます。

フェーズ 支援対象
STSフェーズ実用化研究開発(前期) 要素技術の研究開発や施策に向けた事業化可能性調査の実施など
PCAフェーズ実用化研究開発(後期) 試作品の開発、主要市場獲得に向けた事業化可能性調査の実施など
DMPフェーズ量産化試作実証 量産化技術の確立・実証にかかわる制作・運用などを通じた量産化実証の実施など

【J-Startup公式サイト│支援策パンフレット

このほかにも「補助金での加点措置」や「J-Startup向けの融資制度」などさまざまな支援制度で優遇が行われています。
それぞれ「4.J-Startup認定企業は補助金申請の加点優遇が受けられる」、「3-6.J-Startup向けの融資制度」の項目で詳しく紹介していますのでご覧ください。

3-6.J-Startup向けの融資制度

J-Startup認定企業は、日本政策金融公庫が実施しているJ-Startup向けの融資制度を利用した資金調達が可能となります。

融資制度名 対象者 詳細情報ページ
スタートアップ支援資金 ・事業計画書を策定している事業の成長を図る方 スタートアップ支援資金
新規開業資金

(J-Startup向け)

・新しく事業を始める方

・事業開始後おおむね7年以外の方

新規開業資金(J-Startup向け)
新事業活動促進資金

(J-Startup向け)

・J-StartupもしくはJ-Startup地域版にて選定された方 新事業活動促進資金(J-Startup向け)

【J-Startup公式サイト│支援策パンフレット

融資限度額や返済期間などの融資制度に関する詳しい情報は、それぞれの詳細情報ページをご確認ください。

3-7.民間サポーター企業からの支援

J-Startup認定企業は、「J-Startup Supporters」として登録されている民間サポーター企業から、経営支援、実証サポート、顧客ネットワークの紹介などの支援が受けられます。
支援内容はサポーター企業によって異なり、J-Startup認定企業向け専用サイト「コンシェルジュ」で詳細情報を見ることができます。

J-Startup認定企業になったら、事務局より専用サイトへの案内メールが送られてくるので、ログインして確認しましょう。
なお、現在民間サポーター企業として登録されている企業については、下記ページで紹介されていますので、あわせてご覧ください。
【J-Startup公式サイト│Supporters

4.J-Startup認定企業は補助金申請の加点優遇が受けられる!

J-Startup認定企業は、下記の補助金申請の審査時に加点優遇を受けられます。

補助金名称 補助金の概要 対象者
成長型中小企業等研究開発支援事業 中小企業などが産学官連携で行う高度なものづくり基盤技術などの研究開発に対する補助金 中小企業者を含む共同体
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金) 中小企業などが取り組む革新的なサービスの開発などにかかる設備投資を支援する補助金 海外展開を見据えた中小企業
J-Partnership製品・サービス開発等支援事業補助金 中堅・中小企業のアフリカなど新興国への進出を支援する補助金 新興国の課題解決・海外展開に取り組む企業

自社にあった補助金をお探しの方、次回以降に補助金の活用をご検討中の方は、合同会社SCSへお気軽にご相談ください。
補助金のプロが補助金に対する疑問やお悩みを解決いたします。
【合同会社SCS│お問い合わせフォーム

5.J-Startup認定企業になるには?

J-Startup認定企業になるためには、トップベンチャーキャピタリスト、アクセラレーター、大企業のイノベーション担当などの推薦委員からの推薦、外部審査委員からの審査を受ける必要があります。

<用語解説>
トップベンチャーキャピタリスト:将来的に高い成長が期待できる新興企業に対する投資を専門に行う会社や投資ファンドに属している投資担当者のこと。
アクセラレーター:スタートアップなどで起業家を支援し、事業成長の促進を行う人材や団体などのこと。

スタートアップ企業として明確な目的があるか、革新的または独創性のあるアイデアを有しているか、成長性がありそうかなどが推薦の基準とされています。

詳しくは下記のページをご覧ください。
【J-Startup公式サイト│J-Startup資料日本語版

6.J-Startupは世界で戦える企業を生み出す育成支援プログラム!

J-Startupは、スタートアップ企業の育成支援を通じて「日本のベンチャーエコシステムの強化」を図ることを目的に実施されています。
J-Startup認定企業に選ばれると、国内外の広報活動・展示会出展支援、支援制度での優遇措置を受けることができるため、スタートアップ企業の方は認定企業を目指した取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。

合同会社SCSでは、支援制度での優遇措置の1つである「補助金」に関するご相談を随時受け付けております。
自社の規模や取り組みにあった補助金を知りたい方、補助金の申請方法に不安がある方はお気軽にお問い合わせください。

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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に合同会社SCSを設立し独立。

経営者の潜在的な要望を引き出し、事業拡大を実現する「コンサルティング型」によって、1年間で100件以上の補助金申請をサポートし、1憶5千万円以上の採択を実現。

最適な補助金の提案から受給まで、完全サポートしている。