【経営革新計画】資金調達や補助金に役立つ制度をわかりやすく解説!

新規事業で経営向上を目指すなら経営革新計画|企業の現状把握や経営の見直しをおこなって資金調達や補助金の申請時に役立てよう!!補助金のプロがわかりやすく解説します。

経営革新計画は、経営の向上を目指している方に、おすすめの制度です。
上手に活用することで、企業の現状把握や目標設定を行えるだけでなく、資金調達や補助金の申請時にも役立てることができます。

この記事では、経営革新計画の承認で得られるメリットや承認後に利用できる支援策について、わかりやすく解説いたします。
これからの企業経営にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

1.経営革新計画とは?

経営革新計画とは、中小企業が「新事業活動」へ取り組み、3年計画で給与支給総額の伸び率が4.5%以上になるなどの「経営の相当程度の向上」を目指すときに活用できる支援制度です。

経営革新計画を作成することで、現状の把握や課題の明確化ができるうえ、経営革新計画書が国や都道府県で承認されると、さまざまな支援を受けることができます。
参照│中小企業庁「経営革新計画進め方ガイドブック2022年度版」

2.経営革新計画承認で得られる5つのメリット

経営革新計画書が国や都道府県で承認されると、企業の発展につながるさまざまなメリットがあります。

2-1.資金調達での優遇措置が受けられる

新事業展開を行う際に頭を悩ませることの多い資金面ですが、経営革新計画が承認されることで信用保証や利率などの優遇措置を受けられます。
詳しくは「5-1.保障や融資の特別優遇」でご紹介するので、参考にしてください。

2-2.補助金申請時に加点優遇がある

補助金制度は、予算額が決められているため、申請した企業すべてに給付されるわけではありません。
補助金の給付を受けるための審査では、加点が多いほど有利になります。

経営革新計画が承認されている企業は、「ものづくり補助金」など一部の補助金で、加点優遇を受けることができます。
補助金の活用を検討している方は、経営革新計画も同時に行うのがおすすめです。

2-3.経営見直しで業績の向上が目指せる

経営革新計画書の作成においては、資金の流れだけでなく、人材や設備が十分に活用されているかなどについて、企業の現状を把握することが大切です。
現状把握と経営の見直しを行い、申請条件の1つである「実現性のある数値目標」を設定することで、業績の向上を目指せます。

2-4.外部からの企業評価を聞ける

経営革新計画作成時には、支援機関窓口や相談センターなどの外部機関から、企業や新事業への評価を聞くことができます。
新たな課題や問題点の発見へつながるので、外部からの評価を参考に、経営革新計画の策定を行いましょう。

2-5.取引先など外部からの信頼確保を目指せる

経営革新計画を活用することで、事業の計画や取り組みなどを取引先などの外部へ簡潔に説明できるようになります。
また、経営革新計画は中小企業等経営強化法という法律にもとづいた制度のため、承認されることで信頼の確保へもつながります。

3.経営革新計画の対象者と対象要件

経営革新計画の承認を受けることで、さまざまなメリットを得ることができますが、どんな企業でも申請できるものではありません。
申請の対象者と対象要件に該当しているかを、確認しましょう。

3-1.申請の対象者

経営革新計画の申請を行えるのは、下記の3つに該当する対象者のみです。

中小企業等経営強化法第2条に規定する中小企業者
直近1年以上の営業実績と、その期間に決算を行い税務署に申告している
登記簿上の本社所在地または個人事業主の住民登録が、申請先の都道府県である

複数の企業で共同申請を行う場合や業種ごとの詳しい対象条件については、
中小企業庁ガイドブック「経営革新の進め方」
をご覧ください。

3-2申請の対象要件

申請を行うためには、決められた要件をいずれも満たしている必要があります。

新事業活動に取り組むための計画であること
経営の相当程度の向上を達成できる実現性の高い計画内容であること

「新事業活動」や「経営の相当程度の向上」についての詳しい情報は、東京都産業労働局「新事業活動とは」または「経営の相当程度の向上とは」をご覧ください。

4.経営革新計画利用がおすすめのケース

経営革新計画を利用するのにおすすめのケースがあります。
自社に該当するものがないか、ぜひチェックしてみてください。

4-1.企業拡大を目指している

新商品の開発や生産、販売などを通して企業拡大を目指しているときには、経営革新計画の利用がおすすめです。
経営革新計画を利用することで、開発から販売までにどのような取り組みが必要かを明確に知ることができます。

4-2.経営の見直し・改善をしたい

経営状態の把握があいまいで、何をどう改善すれば企業成長につながるのかわからないときには、経営革新計画の利用を検討しましょう。
自社のみでは把握しきれない現状や問題点を、外部機関への相談から発見することができます。
経営革新計画を利用した経営の見直しや改善は、社内へ共有していく仕組みを作ることもできるのでおすすめです。

4-3.国や地方自治体の支援を受けたい

経営革新計画の承認を受けることで、国や地方自治体で行われているさまざまな支援や補助を活用できます。
こうした支援を受けながら新事業活動へ取り組みたいと考える方は、経営革新計画の利用がおすすめです。
新事業活動で取り組む内容に合わせた支援や補助を選んで申請しましょう。

5.経営革新計画承認後に利用できる支援策

経営革新計画承認後に、企業が利用できる支援策の例を紹介します。

5-1.保証や融資の特別優遇

経営革新計画の承認後、保証や融資の特別優遇を受けることができます。

信用保証の特例:普通保証などの別枠設定と新事業開拓保証の限度額引き上げ。
日本政策金融公庫の特別利率融資:新事業を行うための運転資金に対して金利の優遇。
(新事業活動が中小企業・国民生活事業どちらに該当するかで金利が異なる)
高度化融資制度:都道府県や中小企業基盤整備機構からの診断・助言を受けて取り組む新事業への貸付利率が無利子になる。
食品等流通合理化促進機構による債務保証:食品製造事業者は、新事業に取り組むときに、食品等流通合理化促進機構からの債務保証を受けることができる

それぞれの保証や融資に関する詳しい情報は、中小企業庁ガイドブック「保証・融資の特別措置」をご覧ください。

5-2.海外展開にともなう資金調達支援

新事業活動の海外展開を考えている方には、こちらの支援制度がおすすめです。

・日本政策金融公庫と日本貿易保険を通じた「現地子会社の資金調達支援
・海外展開のために外国法人を設立した場合の「出資・貸付に要する資金調達支援

このほかにも、海外金融機関からの長期借入時に日本政策金融公庫が信用状を発行する特例など、海外展開にともなうさまざまな資金調達支援を受けることができます。
詳しい情報は、中小企業庁ガイドブック「海外展開に伴う資金調達の支援措置」をご覧ください。

5-3.投資による支援

資金調達の支援以外にも、投資を活用した経営面に対する支援を受けることができます。

起業支援ファンドからの投資:株式や新株予約権付社債の取得などでの資金提供や経営支援を受けられる
中小企業投資育成株式会社からの投資:投資や株式の引き受けを中心に、育成事業としてコンサルティングを受けることができる。

それぞれの投資方法によって、対象者は異なります。
詳しくは中小企業庁ガイドブック「投資を受けるには?」をご覧ください。

5-4.販路開拓の支援

新事業活動で、商品や技術、サービスの開発などを行いたい人や、販路の拡大を考えている人におすすめの支援制度です。

販路開拓コーディネーター事業:企業のマーケティング企画から、想定市場企業へのテストマーケティング活動の支援を受けられる。
新価値創造展:自社で開発した製品や技術などの優れたサービスを紹介し、業務提携などの企業間取引を実現するための中小企業総合展示会へ出展できる。

どちらの支援制度も、対象者となる企業が細かく決められています。
対象者に該当するか、中小企業ガイドブック「販路開拓を行う場合の支援措置」でご確認ください。

5-5.都道府県ごとの支援

経営革新計画の承認を受けることで、都道府県ごとに行われている支援が利用できます。
制度融資や専門家からのフォローアップなどの支援内容は、都道府県によってさまざまです。
申請先都道府県で行われている制度を確認して、利用する支援制度を選択しましょう。
都道府県ごとのお問い合わせ先は、中小企業ガイドブック「お問い合わせ先一覧」でご確認ください。

6.経営革新計画承認までの流れ

経営革新計画の申請から承認までの流れを説明します。
おおまかな流れを理解して、必要なものを準備しましょう。

6-1.都道府県担当部局へ問い合わせる

対象者や対象の要件、経営革新計画の内容相談などを、都道府県ごとの担当部局へ問い合わせましょう。
共同申請の場合や新事業活動の実施主体者によっては、国の地方機関や中小企業庁が窓口になることがあります。
申請先ごとに必要となる書類も異なるので、問い合わせのときに忘れずに確認しましょう。
参考│中小企業庁ガイドブック「お問い合わせ先一覧」

6-2.必要書類の作成

申請には、基本的に以下の4点が必要になります。

経営革新計画申請書 様式第13と別表1~7の正本
・上記申請書の写し
・中小企業者(または組合など)の定款
・直近2期間の事業報告書、貸借対照表、損益計算書などの確定申告書類一式

申請先によって、このほかの書類が必要になることがあります。
また、なかには共通ではなく都道府県独自の様式を採用している場合があるので、問い合わせのときに、あわせて確認しましょう。

6-3.申請書の提出

必要書類をすべて揃え、申請窓口へ提出します。
提出後、経営革新計画内容の修正などが複数回行われているケースが多いので、スケジュールには余裕をもって提出しましょう。

また、提出のときには1~2時間程度の面談があります。
経営革新計画の計画内容や既存事業についての質疑応答となるので、役員または代表者が対応しましょう。

6-4.申請書の審査・承認

都道府県などの申請受付期間での審査後、経営革新計画の承認が行われます。
審査は、月ごとに各都道府県で開催されている審査会で行われ、目標数値の適切であるか、時期や資金調達方法が適切であるかなどが見られます。
申請書の提出から承認までの期間は、およそ1か月前後かかるのが一般的です。

6-5.申請結果の通知

申請結果は審査会の開催翌月に簡易書留で郵送され、承認が確定します。
これは新事業に関する商品やサービス内容についての承認ではなく、経営革新計画で行う新事業活動の内容が中小企業等経営強化法など要件を満たしているという承認です。
新事業活動開始のときには誤解をまねく表現をしないように気をつけましょう。

また、計画の内容に修正点や疑問点がある場合や、内容説明が不十分の場合には保留扱いとなり、再審査の対象になります。

6-6.補助事業実施後に行うこと

経営革新計画にもとづいた補助事業実施後には、実施状況や効果の確認・把握のためにフォローアップ調査が行われます。
フォローアップ調査では、企業が自ら実施状況や効果について評価を行い、報告をします。
補助事業実施期間中には、担当職員の聞き取り調査が行われる場合もあるので、定期的に状況の把握と見直しを行いましょう。

7.経営革新計画の承認を得るためのポイント

経営革新計画の承認を得るためには、押さえておきたいポイントがあります。
申請書類の作成時に、参考にしてください。

7-1.新事業活動の目的を明確にする

なぜ既存事業の展開ではなく、新事業活動への取り組みを検討しているかを明確にすることが重要です。
目的を明確にするためには、まず企業の現状把握と課題点を調査をしましょう。
新事業活動へ取り組むことで、現状の変化や課題点の解決が期待できることを、具体的な数値で表すことで、新事業活動の必要性が伝わりやすくなります。

7-2.実現性のある計画を立てる

実現性のある計画には、企業が新事業活動に対してどの程度の力で取り組めるかが重要なポイントとなります。
人材や技術などの経営資源は足りているか、資金調達方法の策定ができているかなどの企業の状況をしっかりと確認します。
現状で足りていない部分に対して、どうやって補っていくかまで詳しく決定して、計画をたてましょう。

経営革新計画を活用して企業経営の見直しをはかろう!

経営革新計画は、新事業活動を通して、企業の現状把握や経営の見直しを行う制度です。
外部からの評価を受けることもできるので、新たな課題の発見や自社の強みを再確認することもできます。

経営革新計画の承認を受けると、国や都道府県で行われているさまざまな支援策を利用することができるので、新たな業態・分野での事業展開をお考えの人は利用を検討してはいかがでしょうか。
補助金活用支援合同会社では、経営革新計画承認後に利用できる補助金についてもご相談いただけます。
どのような補助金があるのかなど気になる点がありましたら、ぜひご相談ください。

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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。