事業の拡大や新事業への転換を考えたときに、資金面で頭を悩ませる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、資金調達の方法と融資審査で見られるポイントをわかりやすく紹介いたします。
資金調達方法でお悩みの人は、ぜひご活用ください。
1.資金調達が必要な時に確認すること
資金調達が必要になる場面はさまざまです。
どのような理由で、どの程度の資金が必要かをしっかりと把握することで、資金調達をスムーズに行うことができます。
まずは、資金調達が必要な時に確認することを、順番に1つずつ確認していきましょう。
1-1.なぜ資金が必要か理由を確認する
資金調達の前には、資金がなぜ必要なのか、理由を明確にしましょう。
おおまかな理由や曖昧な資金の使用方法を考えていると、最適な資金調達方法を選ぶことが難しくなります。
どのような理由でいつまでにどの程度の資金が必要になるかを、事業計画書や経営計画書を作成して、具体的な理由と金額を把握しましょう。
1-2.資金調達方法を確認する
資金調達方法には、大きく分けて4つの方法があります。
・融資を受ける
・資本を増やす
・資産を売却する
・補助金などの制度を活用する
資金調達の目的や金額をベースに、自社にとって最適な資金調達方法を選ぶことが大切です。
くわしい資金調達方法については「2.主な資金調達方法12選」をご覧ください。
1-3.借入・返済期間を確認する
融資を受けるときには、借入が長期的なものか短期的なものかを事前にチェックしておくことが大切です。
・短期的な借入:返済期日が1年以内であることを条件に金利が低く設定されている
・長期的な借入:返済期日が1年以上になり金利は高めの設定だが、大きな金額を借りることができる
金利が低く設定されているという理由で、減価償却費の対象となるような大きな金額を借入てしまうと、1年以内の返済が難しくなってしまいます。
資金調達の時には、借入・返済期間を自社にあったものにするために、返済計画書を作成するのがおすすめです。
返済計画書については「3-3.返済計画書の内容」もあわせてご覧ください。
2.主な資金調達方法12選!
資金調達方法として、主に利用されている12の方法を紹介します。
自社にあった資金調達方法をお探しの方は、参考にしてください。
2-1.日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫は、2008年に設立された政府系金融機関の1つです。
企業規模や事業内容によって、融資の相談窓口が3つに分けられています。
・個人企業や小規模企業を担当する国民生活事業
・中小企業を担当する中小企業事業
・農林漁業などの加工流通部門を担当する農林水産事業
それぞれの事業ごとに資金に対する支援方法や利用できる融資方法が異なります。
詳しくは「日本政策金融公庫公式サイト/融資のご案内」をご覧ください。
2-2.信用金庫からの融資
信用金庫とは、地域住民を会員とした協同組織からなる金融機関のことです。
地域の発展を優先する金融機関であることから、個人事業主用の窓口を設置しているため、企業の運転資金について相談がしやすくなっています。
ただし、融資対象を「地域住民または地域内で事業を行う企業」としているため、従業員が300人以上になる規模の企業や地域外企業は利用できません。
融資内容は、それぞれの地域ごとに異なるため、企業所在地の地域にある信用金庫へご確認ください。
2-3.銀行からの融資
資金調達を考えたときに、最初にイメージしやすいのが銀行からの融資、という方も少なくありません。
他金融機関からの融資よりも金利が低く設定されていることが多いですが、その分融資を受けるための審査が厳しく設定されています。
審査を通ることができれば大きな金額を借入することができるので、設備投資などの長期的な資金調達を目的とした利用が一般的です。
2-4.地方自治体からの融資
地方自治体と金融機関、信用保証協会が連携して提供している融資制度を「制度融資」といいます。
制度融資では、信用保証協会からの信用保証や自治体からの信用保証料の補助など、利用者の金利負担を軽減した融資が取り扱われています。
制度や融資の内容は、各自治体によって違いがあるので、本社所在地の自治体に確認しましょう。
2-5.クラウドファンディングの活用
クラウドファンディングとは、商品や事業のPRをインターネット上で行い、企業や一般の人に支援者となってもらい、資金を集めるための仕組みのこと。
クラウドファンディングを活用した資金調達方法には、大きく分けて5つの種類があります。
・購入型:商品やサービスを返礼品として設定し、支援者はその返礼品を購入する感覚で資金支援を行う方法
・寄付型:PRしている商品やサービスに対して、支援者が寄付のような形で資金提供を行う方法
・融資型:クラウドファンディング事業者が投資家からの小口資金を集めて、企業へ投資を行う方法で、金融商品と同じ扱いのため法律による規制が行われる
・株式型:株式会社が行う資金調達方法で、非公開株を個人投資家へ公開・提供することで資金調達を行う
・ファンド型:クラウドファンディング事業者を仲介として、特定事業に対して個人投資家から出資を募る方法で、事業者は第二種金融商品取引業の登録が必要
PRしたい商品や事業の内容にあったクラウドファンディング活用方法を選択しましょう。
2-6.資本性劣後ローンの活用
資本性劣後ローンとは、通常債務となる借入金を自己資本として扱うローンのことで、一般の債権よりも支払い順位が低いことが特徴です。
日本政策金融金庫など、政府系金融機関が実施しています。
通常融資を受けた場合には、毎月分割で返済を行うことが多いですが、資本性劣後ローンの場合には、貸付期間内に利息だけを支払い、期間終了後に元金の一括返済を行います。
貸付期間内に資金にゆとりができても、元金返済をすることは認められていません。
企業のスタート時や事業再生に際して利用されることが多い資金調達方法です。
2-7.補助金や助成金の活用
新事業への取り組みや事業拡大を目的とした資金調達を考えている人におすすめです。
補助金や助成金を活用することで、事業にかかる経費の一部について補助を受けることができます。
ただし補助金については、基本的に事業実施後に給付となっているため、一時的に自社で経費負担をしなければならないので注意が必要です。
補助金と助成金にはさまざまな種類があるため、事業内容にあったものを選択しましょう。
2023年度の補助金・助成金に関する情報として当サイトの「《2023年度》補助金の最新情報まとめ│新設枠や変更点をプロが解説!」と「《2023年度》助成金の最新情報まとめ│新設枠や拡充部分を簡単解説!」もあわせてご覧ください。
2-8.POファイナンスの活用.
POファイナンスとは、Tranzax株式会社が提供する、受注した段階で発生する債権を担保とする融資のことです。
POファイナンスを活用するためには、Tranzax株式会社のシステムを使って受発注契約の電子記録債権化を行う必要があります。
電子債権記録機関の記録原簿に電子記録することで譲渡することができる。
受注した業務が完了する前に資金を調達することができるため、ほかの資金調達方法と比べて早い段階で資金を得ることができます。
また、一部の補助金や助成金はPOファイナンスの担保として活用することができるため、給付までのつなぎ融資として利用することも可能です。
ただし、受注額が100万円未満の場合や発注側が電子記録債権不対応の場合には利用することができません。
詳しくは中小企業庁「POファイナンスサービスのご案内」をご覧ください。
2-9.共済や保険を活用
共済や保険を活用した資金調達方法には、解約金の利用または契約者への貸付制度の利用があります。
中小機構が実施している「小規模企業共済」や「中小企業倒産防止共済」では、自身にかけている保険金を担保にして借入を行うこともできます。
共済や保険を活用するなら、現在契約している共済や保険に「契約者貸付制度」があり、利用できる条件を満たしているかについての確認が必要です。
2-10.リース会社へ資産を売却
設備や機器をリース会社へ売却して資金調達する方法もあります。
売却した設備や機器を、リース会社から賃貸することで事業を継続しつつ、一時的にまとまった資金を得ることができます。
ただし売却後は賃料をリース会社へ支払う形になるので、長期的な視点で企業状況を確認してから売却の検討を行いましょう。
2-11.固定資産を売却
事業の継続に影響のない固定資産を売却することで、資金調達を行います。
代表的なものとしては、保養所やゴルフ会員権などがあげられます。
固定資産の売却で資産調達をする場合には、税金が関係するため税理士などへの相談が必要です。
2-12.各種認定の活用
特定創業支援等事業や経営革新計画などの認定制度を活用することで、金利優遇や保証限度枠の拡大などの措置を受けることができます。
認定制度は、国が主体となって行っているものから地方自治体独自のものまで幅広くあるので、自社に合う制度を探すことが大切です。
ただし、認定制度を受けただけでは資金調達をすることはできないので注意が必要です。
認定制度はあくまでも、資金調達の融資審査時に優遇措置を受けることができるものとして覚えておきましょう。
3.融資審査を受けるときに見られるポイント
金融機関から融資を受けるときには、以下の2つのポイントを意識して、審査に臨みましょう。
3-1.企業の信用情報
企業の信用情報とは、売上高や利益水準、負債額や担保資産などの財務データのことをいいます。
また、現状の信用情報に問題がなくても、損益計算書や貸借対照表を見て、利益を出せていないと判断されてしまうと融資を受けられない場合もあるので注意が必要です。
企業の信用情報をより力強いものとするために、認定制度の1つである「経営革新計画」を利用するのも1つの手段です。
3-2.事業計画書の内容
資金調達を行うときには、なぜ資金が必要になるかを具体的に示すことができる事業計画書が必要になります。
だいたいこのくらいかかるなどの曖昧な計画書ではなく、目標を達成するためにかかる期間や資金を細かく数値化し、根拠を説明できる計画書の作成を目指しましょう。
事業内容によっては試用を行い、そのデータをもとにした計画書を作成すると説得力が増し、金融機関などの第三者へ融資の必要性を訴えやすくなります。
3-3.返済計画書の内容
金融機関が融資を行うかどうかの判断において重要なポイントになるのが、「返済能力」です。
そのため、現在の財務状況から判断した返済計画以外に、万が一のトラブルやリスクを想定した返済計画書の策定が大切になります。
業種や業態ごとに発生しうるリスクを計画の中に含めて、実現性の高い返済計画書を作成しましょう。
企業規模や目的にあった資金調達方法を選ぼう!
資金調達方法は、企業規模や目的にあった方法を選択することで、リスクをできるだけ抑えた資金調達が可能になります。
資金が必要な理由を企業の業況に照らし合わせて、適切な資金調達方法を選びましょう。
補助金活用支援合同会社では、資金調達に役立つ補助金や認定制度のご相談を随時受け付けております。
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