【メタバースとは?】VRとの違いやビジネス活用方法を分かりやすく解説!

ビジネスシーンで注目を集めている「メタバース(仮想空間)」。
名前はよく目にしているけれど、内容がいまいち分からないという人もいるのではないでしょうか。
メタバースは、新しいビジネスの形として将来が期待されている新市場です。
今回は、メタバースとは何か、VRとの違いやビジネス活用方法も合わせて分かりやすく解説していきます。

目次

1.メタバースとは?

IT分野では、「メタバース」「VR」といった言葉を目にする機会も少なくありません。
そこで、まずはメタバースがどういったものかその内容と、VRとの違いについて分かりやすく説明します。

1-1.メタバースとは「三次元仮想空間」のこと

メタバースとは、インターネット上の仮想空間のことです。
アバターと呼ばれるデジタルキャラクターを利用して仮想空間へ入り、空間内を自由に歩き回ったり、アバター同士の交流を楽しむことができます。
メタバースは、世界中の人たちとリアルタイムで遊ぶことができるゲームというイメージが強い傾向でしたが、リモートワークの普及にともない、複数の企業が仮想空間上でミーティングができるサービスの提供を始めるなど、ビジネスシーンでの活用が見られるようになりました。

メタバースには「プラットフォーム」と呼ばれるシステムやサービスを動かす土台があり、プラットフォーム提供企業によって、サービス内容や機能に違いがあります。
そのため、メタバースを活用する目的によって、適切なプラットフォームを選ぶことが大切です。

1-2.メタバースとVRの違い

VRとはバーチャルリアリティ(仮想現実)のことで、VRゴーグルなど専用のデバイスを使って、仮想空間上での出来事をより深くリアルに体験するための技術です。
メタバースでは、アバター同士の交流など複数人で楽しむことが想定されていますが、VRは基本的に1人で楽しむことを想定して作られていることが多く、ゲームや映画などのエンターテイメント分野を中心に活用されています。

2.メタバースが注目されている理由

世界中の人とリアルタイムで遊ぶことができるゲームとして知られていたメタバースがビジネスシーンでも注目され始めている理由には、以下の2つが挙げられます。

2-1.VR技術の普及

VR技術が進歩し、急速に普及が進んだことはメタバースが注目されている理由の1つといえます。
従来のVR技術は、VRコンテンツの少なさや専用デバイスを利用するために専門知識が必要で、デバイスも高額であったため、一部の人たちの娯楽用と考えられていました。
しかし、開発者ツールの整備を行ったことでVRコンテンツの供給が増加し、専門的で高額だった専用デバイスも高性能化・軽量化により安価なものが増え、多くの人が楽しめるコンテンツへと進化しました。
メタバースとVR技術を併用することで、従来のオンラインサービスとは異なる「より現実に近い仮想空間上でのサービス」を提供することも可能となったことで注目を集めています。

2-2.仮想通貨・NFTなど関連技術の普及

仮想通貨・NFTなどIT関連技術が普及したことも、メタバースに注目が集まる理由の1つといえるでしょう。

仮想通貨:ビットコインなどインターネット上でやり取りできる「お金」のこと。
暗号資産とも呼ばれている新しい電子マネーの総称。
NFT:ノンファンジブル・トークンの略で、デジタル資産に価値をつけることができる。
デジタル資産に価値をつけ、希少性を高めることを目的とした唯一無二の暗号資産のこと。

アバター同士の交流や複数人で遊ぶことが中心であったメタバースは、仮想通貨やNFTなど関連技術が普及したことで、現実世界同様にサービスや商品の売買が可能となりました。
こうした技術の発展・普及が進んだことで、メタバースのビジネス活用への注目が高まり、国内外の多くの企業がメタバースへの参入を始めています。

3.メタバースの活用で得られる3つのメリット

現在、日本国内でも多くの企業がメタバース市場への参入を始めています。
ここでは、メタバースを活用したときに企業が得られる3つのメリットについて紹介します。

3-1.新しいビジネス展開が期待できる

メタバースでは、従来のECサイトに近いものを仮想空間上で展開することができます。
遠方にいて取引を行うには時間や経費をかけなければならなかった相手であっても、メタバースを使えば効率的に取引を進めることができます。
また、実店舗で取り扱っている商品やサービスをメタバース上の店舗で再現することで、取引相手に商品情報をより詳しく伝えることが可能です。
また、購入する側にとっても、不良品やサイズ不適合などのリスクを軽減する効果も期待できます。

3-2.コミュニケーション能力向上を目指せる

メタバースでは、いつでも世界中の人たちとリアルタイムに交流ができ、翻訳機能やアバターの感情表現ツールを使うことで、より現実世界に近いリアルなコミュニケーションを取ることができます
世界中の人たちと仮想空間上で交流を行うことで、自己表現力・発信力の向上やコミュニケーション能力の向上を目指すことも可能です。

3-3.物理的制約に縛られない

メタバースは、インターネット上の仮想空間であるため、現実世界ではできない体験ができます
病気やハンディキャップがある人でも、仮想空間内ではほかのユーザー同様に自由に動きまわり、コミュニケーションを取ることが可能です。
また、仮想空間内では感染症などの感染リスクなしに人が集まることができるため、メタバース市場が拡大していけば、コロナ禍で経験した緊急事態宣言下のような状況でも、さまざまなイベントの開催が期待できます。

4.メタバースのビジネスシーンでの活用方法

メタバースの、ビジネスシーンでのおすすめ活用方法を3つ紹介します。
それぞれの方法は、単独ではなく組み合わせて活用することもできるので、自社に合ったメタバース活用方法を選ぶ際の参考にご覧ください。

4-1.バーチャルショップ

メタバース上で店舗を開設し、売買を行う機能を「バーチャルショップ」といいます。
バーチャルショップでは、店舗内を自由に歩き回り、店舗スタッフアバターからの接客を受けたり、商品情報を詳しく調べることができたりと、現実店舗に近い感覚で商品購入ができます
また、現実世界の「不動産屋」のようなショップも存在し、メタバース上の土地取引が行えるほか、購入した土地をほかの人に貸し出すことで、家賃収入を得ることも可能です。
従来のECサイトを仮想空間上で展開することで、より現実に近いショップ運営が可能です。

4-2.バーチャルオフィス

バーチャルオフィス」は、メタバース上にオフィスを構築し、アバターで出社し勤務することができます
バーチャルオフィスでは、住んでいる場所などに関係なく出社可能となるので、全国から優秀な人材を確保する手段の1つとしてもおすすめです。
現実世界のオフィス同様に、同僚と同じ仮想空間上で作業を行うことができるので、スムーズなコミュニケーションを取りながら業務に取り組むことができます

4-3.バーチャルイベント

仮想空間上で行われるイベントを、「バーチャルイベント」と呼びます。
バーチャルイベントにはアバターを用いて参加し、周囲の状況を見たり、ほかの人と感想を話したりできるため、従来のオンラインイベントよりも現実に近い感覚でイベントを楽しむことが可能です。
エンターテイメント分野での活用が中心でしたが、リモートワークの普及にともない、企業のオンラインセミナーの開催などビジネス分野での活用も注目されています。

5.メタバースの活用での注意点

メタバースを活用することで企業が得られるメリットも多くありますが、気をつけなければならないこともあります。
メタバース市場が「新興市場」であること、自由な空間であっても「守るべき決まり」があることをしっかりと理解して、活用を検討しましょう。

5-1.投資的な一面があることを理解する

大手企業の参入をきっかけに盛り上がりを見せているメタバース市場ですが、まだ成長中の新興市場であることを忘れてはいけません。
メタバースは、IT化の進行とともにこれからの未来を期待されている新興市場のため、活用することで売上や業況がすぐに回復するなどの即効性はまだ期待できません
また、メタバースの企業導入には専用機器の導入や専門的スキルを持った人材の確保が必要になるため、初期費用が多くかかるだけでなく、導入・運用までに時間がかかります
こういった面から、メタバース市場への参入は「投資的な一面がある」ともいわれています。
企業での導入を検討する場合には、費用面を補う1つの手段として補助金の活用を検討するのもおすすめです。

5-2.著作権や法令を正しく理解する必要がある

メタバースを活用する場合には、「著作権」と関連する「法令」を正しく理解する必要があります。

著作権:写真・イラスト・書籍・音楽などの著作物を保護するための決まり

法令:立法機関である国会が制定する法律と国の行政機関が制定する命令の総称

メタバースを導入するなら、関連法令に合わせて社内規定を見直さなければならない場合もあるでしょう。
メタバース上で新しいビジネスを始める前には、思わぬリスクを避けるためにも著作権・法令に対する理解を深めておくことがおすすめです。

6.メタバースの始め方

これからメタバースを始めてみたいと思っていても、必要なものや手順が分からない方も多くいます。
ここからは、企業がメタバースを活用する場合を例に、必要なものと手順を簡単に説明します。

6-1.ビジネス内容を決定する

メタバース上でどのような商品・サービスの提供を行い、ビジネスを始めるのか「ビジネス内容」を詳細に決定します。
仮想空間上で有利なビジネス展開を狙うなら、「仮想空間上でできること」と「自社で行いたいこと」を明確にすることがおすすめです。
「できること」と「行いたいこと」を合わせ、現実世界とのリンクを深められるビジネス内容を見つけましょう。

6-2.既存のプラットフォームへ登録する

メタバースを初めて利用する企業が一から仮想空間の構築を行うと、膨大な費用や時間が必要になる場合があります。
そういった場合には、既存のプラットフォームへの登録がおすすめです。
すでに構築されている世界への参入という形になるため、一から構築する場合と比べた場合、必要経費や時間を抑えることができます。
既存のプラットフォームにはそれぞれ特徴があり、内部通貨を利用した売買ができたり、運用中ECサイトと連携できたりするものもあるため、ビジネス内容に合ったプラットフォームを選択しましょう

6-3.社内環境の整備と人材の確保を行う

メタバースを維持・運用していくためには、専用の機材や専門技術を持つ人材が必要になります。
メタバース上で行うビジネス内容によって機材の内容や人材の持つ技術が異なるため、状況に合わせた準備が大切になります。
社内で専門技術を持つ人材の確保が難しい場合には、専門技術を持つ人材を外部から派遣してもらうのもおすすめです。
また、機材の導入にかかる費用を軽減したい場合には、補助金や助成金の活用もおすすめです。

6-4.法人口座を開設する

メタバース上で売買取引を行うためには、各プラットフォームごとに決められた「仮想通貨」が必要になります。
仮想通貨は、仮想通貨取引所で法人口座を開設・入金することで利用が可能になりますが、プラットフォームによっては「国内仮想通貨取引所」と「国外仮想通貨取引所」の両方への登録が必要になることがあります。
登録したプラットフォームの仮想通貨情報を確認して、それに合った仮想通貨用法人口座の開設しましょう。

6-5.メタバース空間の構築

既存のプラットフォームでは、あらゆるターゲット層に合わせた環境が整備されています。
たとえば、バーチャルイベントに特化したプラットフォーム、アバターを使った交流に特化したプラットフォーム、バーチャルオフィスなど企業に特化したプラットフォームなどです。
ビジネス内容に合わせて環境や機能の取捨選択を行い、適切な環境でサービスや製品をユーザーへ提供できるようにしましょう。

6-6.メタバース空間の改善・アップデート

メタバース空間の構築を終え運用が始まってからも、継続してやらなければならない大切なことがあります。
メタバースは今後の成長が期待されている新市場のため、登録しているプラットフォーム自体で、新しい機能の搭載(アップデート)や変更(メンテナンス)が繰り返される可能性があるためです。

プラットフォームのアップデートやメンテナンスが行われた場合には企業側も対応が必要になることがあるため、こまめにプラットフォームからの情報発信をチェックするとよいでしょう。
メタバース空間上でユーザーとやり取りを行うことで、運用中の仮想空間における課題を洗い出せることも多いです。
洗い出した課題を都度解決し常に新しいものをユーザーへ届けられるようにすると、よりメタバースを効果的に活用できるようになるでしょう。

7.メタバース導入で使える補助金

メタバース導入を検討する場合に、問題の1つとして挙げられる「経費」ですが、補助金を活用することで負担を軽減できます。
メタバース導入に使えるおすすめの補助金を紹介します。

7-1.IT導入補助金

IT導入補助金は、ITツールなどデジタル技術の導入を行うときに活用できる補助金です。
メタバース導入の場合には、以下の2つの条件に該当する必要があります。

・補助金の補助対象者に該当すること
・登録しているプラットフォームが「IT導入補助金」の対象となっていること

この補助金の詳しい情報は、「IT導入補助金2023公式サイト」でご確認ください。

7-2.事業再構築補助金

事業再構築補助金は、業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む企業を支援する補助金です。
先進的なデジタル技術を活用した新しい取り組みに対して補助金が給付されます。
この補助金の詳しい情報は「事業再構築補助金公式サイト」でご確認ください。

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「【事業再構築補助金】基礎から2023年度改定予定の内容までを解説!」

7-3.ものづくり補助金

ものづくり補助金は、新製品やサービス開発などの生産性向上に向けた設備を導入する場合に活用できる補助金です。
創業間もない企業や個人事業主など幅広い業種が補助金の補助対象者となっているため、申請しやすい補助金です。
この補助金の詳しい情報は「ものづくり補助金公式サイト」でご確認ください。

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「《2023年度》ものづくり補助金の拡充部分・採択率アップのコツを簡単解説!」

7-4.地域新成長産業創出促進事業費補助金

地域新成長産業創出促進事業費補助金は、地域企業のDX化を推進することで生産性の向上を目指す補助金です。
この補助金では、地域の特性や強みとデジタル技術をあわせた新しいビジネスモデルの創出を目指す取り組みに対して補助金が給付されます。
詳しい情報は「地域新成長産業創出促進事業費補助金公式サイト」をご確認ください。

IT分野の補助金も補助金活用支援合同会社へご相談ください!

メタバースは、IT分野のなかでも今後の成長が期待されている新興市場です。
日本国内では、企業だけでなく地方自治体でも導入・活用しているところもあります。
新しいビジネスチャンスを模索している企業の方は、活用を検討してみるのもいいでしょう。

補助金活用支援合同会社では、メタバースなどのIT分野で使える補助金についてもご相談を受け付けています。
企業状況や行いたいビジネス内容に合わせた補助金をご提案いたしますので、ぜひ一度お声かけください。

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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。