【2024年度版】IT導入補助金の基礎から最新情報までを徹底解説!

2024年度 IT導入補助金とは

ITツールの導入により、企業の抱える経営問題の解決に向けた取り組みを支援する「IT導入補助金」。

2023年10月からは、インボイス制度に対応したシステムの導入も支援対象となり、企業のデジタル化へ向けた取り組みを幅広く支援しています。
2024年の公募分からは、支援枠の見直し・変更、補助対象ツールの変更などが行われました。

この記事では、2024年度のIT導入補助金について、2023年度との違いや最新情報をプロが徹底解説します。

1.IT導入補助金の概要

IT導入補助金は、生産性の向上を目的とした業務の効率化やDX推進に向けたITツールの導入を支援する補助金です。
企業が抱える経営課題を解決するためのITツール導入にかかる経費の一部が、補助金として給付されます。
【IT導入補助金2024│公式サイト

自社の課題解決に必要なITツールがわからない方は、独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が実施する「みらデジ経営チェック」を併用することで、課題解決に最適なITツールを知ることができます。
みらデジ経営チェックは、IT導入補助金の申請枠の一部で「加点項目」として扱われているので、IT導入補助金の活用を検討している方はチェックしてみてください。
【中小企業基盤機構│みらデジポータルサイト

2.【2024年度】IT導入補助金の主な変更点

IT導入補助金は、2024年2月6日に公開された公募要領から、申請枠の見直し・変更やITツールの見直しなどが実施されました。
ここからは、どのような変更が行われたのかを徹底解説します。

2-1.申請枠の見直し・変更

2024年からは、デジタル化基盤導入枠が廃止され、インボイス枠が新設されています。
これにともない「EC機能を持つソフトウェア」が補助対象ツールから削除されました。

通常枠では「A類型」「B類型」という名称が廃止されましたが、これまでと同様に補助額の区分はわかれているため、名称のみの廃止となっています。
2024年からの新しい申請枠については「3.IT導入補助金の対象者と申請枠」で詳しく解説しておりますので、そちらをご覧ください。

2-2.ツールの登録要項が変更

ツールの登録要項については、以下のように変更されました。

・ECサイト制作の特例記載の削除
・業務用プロセス「決済」より「ECサイト用カート」の削除

また、役務の価格についても「導入するソフトウェアの価格に対して著しく高額な場合は補助対象外となること」が明記されました。

2-3.公募要領の一部が変更

公募要領の「加点項目」「減点項目」も、一部変更されました。
加点項目では、「一般事業主行動計画の公表」が、「えるぼし認定」または「くるみん認定」の認定を受けている企業への加点措置へ変更。

減点項目では、過去の賃上げ目標が未達成の場合、18か月間「中小企業庁が管轄するすべての補助金」の申請時に、減点措置対象となることが明記されました。

3.【2024年度版】IT導入補助金の対象者と申請枠

どのような補助事業を実施するかによって導入するITツールはさまざまなため、取り組みの内容によって申請枠と対象者が異なります。

3-1.【見直し】通常枠

通常枠は、生産性向上を目的とした「プロセスの改善・効率化」に取り組む方法として、ITツールを導入する企業に対して導入費用の一部を給付する申請枠です。

補助対象者 生産活動に取り組む中小企業・小規模事業者等
補助金額 機能要件:1プロセス以上 機能要件:4プロセス以上
5~150万円未満 150~450万円以下
補助率 1/2以内

2024年からは「A類型」「B類型」という名称が廃止されましたが、ITツールのプロセス数に応じて補助金額が区分されていることから、基本的な考え方は2023年までと同様です。
【IT導入補助金2024│通常枠公募要領

3-2.【新設】インボイス枠(インボイス対応類型)

企業間取引のデジタル化を強力に推進するために、通常枠よりも補助率を引き上げ、インボイス制度に対応する企業を優先的に支援する支援枠です。
2023年まで実施されていた「デジタル化基盤導入枠」と比較すると、小規模事業者への補助率が増加しました。

補助対象者 生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等
補助金額 ITツール PC・タブレットなど レジ・券売機
下限なし~350万円 下限なし~10万円 下限なし~20万円
補助率 ITツール PC・タブレットなど レジ・券売機
3/4以内

※小規模事業者4/5

2/3以内 1/2以内

補助金下限が撤廃されたことで、安価なITツールの導入も可能となり、幅広い補助事業へ対応できるようになりました。
【IT導入補助金2024│インボイス枠(インボイス対応類型)公募要領

3-3.【新設】インボイス枠(電子取引類型)

インボイス枠(電子取引類型)では、取引関係における発注側企業がインボイス対応ITツールを導入し、受注側企業へ無償で供与するときのITツール導入費の一部が補助されます。

補助対象者 ・労働生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者

・公募要領に定めるその他の事業者等

補助金額 下限なし~350万円
補助率 中小企業・小規模事業者等:2/3以内

その他の事業者等:1/2以内

従来のIT導入補助金では「デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)」として実施されており、補助率は一律「3/4以内」でした。
2024年からは名称が「インボイス枠(電子取引類型)」となり、補助率も企業規模によって変更されました。
【IT導入補助金2024│インボイス枠(電子取引類型)公募要領

3-4.【継続】セキュリティ対策推進枠

サイバー攻撃が引き起こす「供給制約」や「価格沸騰」などのリスクを回避するためのITツール導入を支援する枠です。
2023年度から継続して実施されています。

補助対象者 中小企業・小規模事業者
補助金額 5~100万円
補助率 1/2以内

補助対象者や補助金額について変更はありませんが、加点項目の一部で小規模事業者等が対象外となる内容が削除されました。
詳しくは以下のページをご確認ください。
【IT導入補助金2024│セキュリティ対策推進枠公募要領

3-5.【継続】複数社連携IT導入枠

業務上つながりのある「サプライチェーン」や「商業集積地」での一斉デジタル化やDX推進を行うことで、地域全体のデジタル化やDXの実現に向けた取り組みを支援する枠です。
補助金額は、経費区分により異なります。

補助対象者 サプライチェーンや商業集積地からなる複数企業
補助金額 ①インボイス対応類型の対象経費 ②左記以外の経費 ③事務費・専門家費
インボイス対応類型と同額 上限50万円×グループ構成員数 以下のいずれか低い額

・(①+②)×10%に補助率を乗じた額

・200万円

補助率 インボイス対応類型の対象経費 左記以外の経費 事務費・専門家費
インボイス対応類型と同率 2/3以内 2/3以内

2023年から継続して実施されている申請枠ですが、「申請要件」「補助率・補助金額」の内容が一部追加されました。
詳しい内容は公募要領1ページに記載されていますので、ご確認ください。
【IT導入補助金2024│複数社連携IT導入枠公募要領

4.IT導入補助金の対象経費

IT導入補助金では、補助事業の内容ごとに導入するITツールに違いがあるため、補助対象経費も申請枠ごとに異なります。
ここからは、申請枠ごとに主な対象経費を解説します。

4-1.通常枠の対象経費

通常枠では、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用が補助対象経費となります。

主な対象経費

ソフトウェア ソフトウェアの購入費
オプション 拡張機能
データ連携ツール
セキュリティ
役務 導入コンサルティング
導入設定・マニュアル作成・導入研修
保守サポート

月額や年額で使用料が定められているソフトウェア製品については、最大2年分の使用料が補助対象です。
また、保守費用についてもソフトウェアの利用範囲内であれば、最大2年分の費用を対象経費として扱うことができます。
【IT導入補助金2024│通常枠公募要領

4-2.インボイス枠(インボイス対応類型)の対象経費

あらかじめ事務局に登録されたソフトウェアやオプション、役務の導入費が補助対象経費となります。

主な対象経費

ソフトウェア ソフトウェアの購入費
オプション 機能拡張
データ連携ツール
セキュリティ
役務 導入コンサルティング
導入設定・マニュアル作成・導入研修
保守サポート
ハードウェア PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機
POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機

補助対象経費となるソフトウェアの導入に合わせて、ハードウェアを導入する場合にも経費として扱うことができます。
【IT導入補助金2024│インボイス枠(インボイス対応類型)公募要領

4-3.インボイス枠(電子取引類型)の対象経費

事務局にあらかじめ登録されているソフトウェアの購入費が補助対象経費です。
インボイス枠(電子取引類型)で購入する製品は「インボイスに対応した受発注ソフト」に限られています。

主な対象経費
ソフトウェア購入費、クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)、ハードウェア関連費、導入関連費

また、月額や年額で使用料金が定められているサブスクリプション製品については、最大2年分の費用が補助対象です。
【IT導入補助金2024│インボイス枠(電子取引類型)公募要領

4-4.セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠では、独立行政法人「情報処理推進機構」が実施する「サイバーセキュリティお助け隊」のサービス利用料最大2年分が補助対象経費です。

主な対象経費
サービス利用料(最大2年分)
【サイバーセキュリティお助け隊】
ITツールの導入やデジタル化により、リスクの高まるサイバー攻撃に対応するための「監視」「駆けつけ支援」「保証」がワンパッケージになったセキュリティ対策のこと

なお、補助対象経費として扱われるものは、IT導入支援事業者が提供している事前登録されたサービスに限られます。

詳しくは、サイバーセキュリティお助け隊公式サイトをご確認ください。
【情報処理推進機構│サイバーセキュリティお助け隊公式サイト
【IT導入補助金2024│サイバーセキュリティ対策推進枠公募要領

4-5.複数社連携IT導入枠の対象経費

複数社で連携して補助事業を実施する「複数社連携IT導入枠」の補助対象経費はほかの申請枠と大きく異なり、経費区分ごとに「基盤導入経費」「消費動向等分析経費」「そのほかの経費」の3つに分類されています。

それぞれの区分ごとの主な補助対象経費は下記の通りです。

主な対象経費

基盤導入経費 インボイス対応類型の補助対象経費と同様

・会計、受発注、決済の機能をもつソフトウェアとそのオプション、役務・上記を使用するために必要なハードウェア

(PC・タブレット・プリンター・スキャナーなど)

消費動向等分析経費 基盤導入経費以外の経費

・消費動向分析システムや経営分析システムなどのソフトウェア

・AIカメラやビーコンなどのハードウェア

そのほかの経費 ・代表事業者が補助事業グループをまとめるために必要な経費

(人件費、消耗品費、会議費、資料購入費など)

・外部専門家による導入、活用支援にかかる費用

詳しくは公募要領をご確認ください。
【IT導入補助金2024│複数社連携IT導入枠公募要領

5.IT導入補助金の申請から受給までの流れ

ここからは「複数社連携IT導入枠」以外の申請枠で共通の申請方法について解説します。

複数社連携IT導入枠の活用を検討されている方は、下記のページをご覧ください。
【IT導入補助金2024│交付申請の手引き「複数社連携IT導入枠」

【申請から受給までの流れ】
1.GビズIDプライムアカウントの取得
2.セキュリティアクション宣言「一つ星」または「二つ星」の宣言
3.みらデジ経営チェックの実施
4.IT導入支援事業者・ITツールの選定
5.交付申請に必要な書類や入力情報の準備
6.申請パイページの解説
7.交付申請・SMS認証
8.採択審査
9.採択・交付決定

「3.みらデジ経営チェックの実施」は、セキュリティ対策推進枠、インボイス枠の申請において加点措置の対象です。
自社の抱える経営課題を明確にし、効果的なITツールの導入をしたい方や補助金を有利に進めたい方は活用してみてはいかがでしょうか。
【中小企業基盤機構│みらデジポータルサイト

6.IT導入補助金はデジタル化を目指す企業におすすめの補助金!

ITツールを導入することで、企業が抱える経営課題の解決を支援するIT導入補助金。
上手に活用することで、生産性の向上や業務効率化を目指すことが可能です。
2024年からは申請枠が新しくなり、より幅広いITツールの導入、企業のデジタル化推進が期待されます。

合同会社SCSでは、IT導入補助金をはじめとしたさまざまな支援制度についての相談を受け付けています
これからの企業成長のために、補助金の活用を検討している方はぜひ一度お声がけください。

補助金・助成金などのご相談はこちらからどうぞ!
お問い合わせ
補助金・助成金無料診断
友だち追加

監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に合同会社SCSを設立し独立。

経営者の潜在的な要望を引き出し、事業拡大を実現する「コンサルティング型」によって、1年間で100件以上の補助金申請をサポートし、1憶5千万円以上の採択を実現。

最適な補助金の提案から受給まで、完全サポートしている。