補助金の「公募要領」には、審査時に見られる点をまとめた「審査項目」と、条件を満たすことで審査時に加点が行われる「加点項目」について書かれているページがあります。
補助金の採択率アップを目指すのであれば、「審査項目」と「加点項目」をしっかりと押さえることが重要です。
今回は「ものづくり補助金」の加点項目についてわかりやすく解説します。
目次
1.ものづくり補助金の概要
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、通称「ものづくり補助金」は、中小企業や小規模事業者などが制度改革などに対応するために行う取り組みを支援する補助金です。
主に、革新的なサービスの開発や試作品の開発、生産プロセス改善を目的とした設備投資などを補助の対象としています。
【ものづくり補助事業公式サイト│ものづくり補助金総合サイト】
2.ものづくり補助金の必須要件
ものづくり補助金の申請方法は、「GビズIDプライムアカウント」による電子申請のみのため、全申請枠型(全申請類型)でGビズIDプライムアカウントの取得が必須要件となっています。
【GビズID│公式サイト】
また、デジタル枠とグリーン枠では別途必須要件が定められており、要件を満たしていない場合には補助金申請の対象外となります。
ここからはデジタル枠とグリーン枠の必須要件についてわかりやすく解説します。
2-1.ものづくり補助金デジタル枠の必須要件
デジタル枠に申請する場合には、下記のすべての要件に該当する必要があります。
①DXに関する革新的な製品またはサービスの開発
②デジタル技術を駆使した生産プロセスやサービス提供方法の改善
・経済産業省が公開する「DX推進指標」を活用し、DX推進に向けた課題を共有するなどの自己診断を実施し、独立行政法人情報処理推進機構へ提出すること
・応募申請時点で、独立行政法人情報処理推進機構が行う「セキュリティアクション」にて1つ星または2つ星いずれかを自己宣言していること
【参照元│ものづくり補助金 公募要領】
セキュリティアクションは、ものづくり補助金以外の補助金でも要件として求められることがあります。
詳しくは公式サイトをご確認ください。
【独立行政法人情報処理推進機構│セキュリティ対策自己宣言】
2-2.ものづくり補助金グリーン枠の必須要件
グリーン枠へ申請を行う場合には、下記の要件すべてに該当する必要があります。
①温室効果ガスの排出削減に関する革新的な製品やサービスの開発
②炭素生産性向上を伴うプロセスやサービス提供方法の改善
・3~5年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること
・エントリー類型について、公募要領に定める要件のいずれかを満たすこと
・スタンダード類型について、公募要領に定める要件を満たすこと
・アドバンス類型について、公募要領に定める要件を満たすこと
【参照元│ものづくり補助金 公募要領】
エントリー類型、スタンダード類型、アドバンス類型について定める要件の詳しい情報は、公募要領でご確認ください。
【ものづくり補助金総合サイト│ものづくり補助金 公募要領】
3.ものづくり補助金の審査項目
ものづくり補助金では、次の7点が採択時の審査項目として定められています。
・公募要領「5.補助対象事業の申請要件、申請枠及び補助率等」を満たしているか
<技術面>
・新製品や新サービスが革新的な開発となっているか
<事業化面>
・補助事業実施のための社内外の体制や状況から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか
<政策面>
・適切なマーケティング、独自性の高い製品やサービスの開発、厳格な品質管理などによる差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか
<炭素生産性向上の取り組みなどの妥当性>※グリーン枠
・炭素生産性を向上させるための課題が明確になっており、温室効果ガスの排出削減などに対して有効な投資となっているか
<グローバル市場開拓の取り組みなどの妥当性>※グローバル市場開拓枠
・海外展開などに必要な実施体制や計画が明記されているか
<大幅な賃上げに取り組む事業計画の妥当性>※大幅な賃上げによる補助率上限の引上特例
・大幅な賃上げの取り組み内容が具体的に示されており、その記載内容や算出根拠が妥当なものとなっているか
【参照元│ものづくり補助金 公募要領】
詳しい審査内容については、公募要領でご確認ください。
【ものづくり補助金総合サイト│ものづくり補助金 公募要領】
4.ものづくり補助金の加点項目
ものづくり補助金の加点項目には、大きく分けて以下5つの加点項目があります。
・成長性加点
・政策加点
・災害等加点
・賃上げ加点
・女性活躍等の推進の取り組み加点
ここからは、それぞれの加点項目について詳しく解説します。
加点項目についての疑問や質問のある方は、ぜひ一度当社へご相談ください。
4-1.成長性加点
成長性加点では、有効な期間の「経営革新計画」承認を取得した事業者に対して加点が行われます。
経営革新計画については、下記の記事でも詳しく解説しているのであわせてご覧ください。
【補助金活用支援合同会社│【経営革新計画】資金調達や補助金に役立つ支援制度をわかりやすく解説!】
4-2.政策加点
政策加点では、企業が行う取り組みに対して加点が行われています。
政策加点の対象となる取り組みは、ほかの補助金申請のときにも加点対象となるものが多くなっています。
補助金の活用を検討している方は、早めの準備がおすすめです。
4-2-1.創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)への加点
会社成立年月(開業日)または、代表取締役の就任日が「公募開始より5年前の日から応募締切日まで」の企業が対象の加点項目です。
個人事業主や組合などの「第二創業」に対する加点はありませんが、個人事業主が営む事業を承継した場合には「承継者の創業」として申請することができます。
詳しくは公募要領でご確認ください。
【ものづくり補助金総合サイト│ものづくり補助金 公募要領】
4-2-2.「パートナーシップ構築宣言」を行っている事業者への加点
応募締切日前日の時点で「パートナーシップ構築宣言」を行っている事業者が対象の加点項目です。
ほかの補助金でも加点項目として扱われることがあるので、補助金活用を検討している方はあらかじめ登録しておくことをおすすめします。
4-2-3.取引先の事業者がグリーンに係るパートナーシップ構築宣言をしている事業者への加点
取引先の事業者が、グリーンにかかわるパートナーシップ構築宣言を行っている事業者が対象の加点項目です。
グリーンにかかわるパートナーシップ構築宣言では、グリーン化に向けた経営革新への取り組みが支援されています。
詳しい情報は、公募要領でご確認ください。
【ものづくり補助金総合サイト│ものづくり補助金 公募要領】
4-2-4.「再生事業者」への加点
ものづくり補助金で指定されている「再生事業者」が対象の加点項目です。
以下に該当する事業者を「再生事業者」と定義しています。
・中小企業活性協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等からの支援を受け、応募申請時において以下のいずれかに該当していること
①再生計画等を策定中の者
②再生計画等を策定済みかつ応募締切日からさかのぼって3年以内に再生計画などが成立等した者
【引用元:ものづくり補助金 公募要領 別紙4「再生事業者」の定義について】
詳しくは、公式サイトの公募要領ページの下部にある参考情報をダウンロードしてご確認ください。
【ものづくり補助金│公式サイト「公募要領」ページ】
4-2-5.デジタル技術の活用およびDX推進の取り組み状況に対する加点
「デジタル枠」へ申請する事業者が対象の加点項目で、以下のような取り組みを行っている場合に加点が行われます。
・経営ビジョンやビジネスモデルを実現するための戦略を公表
・戦略を推進するための体制や組織を示し、公表
・「DX推進指標」の自己診断フォーマットの定量指標における「人材欄」(または「ITシステム構築の取り組み状況」)をすべて記載
・申請時点において「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用している
取り組みの内容に関する詳しい情報は、公募要領でご確認ください。
【ものづくり補助金総合サイト│ものづくり補助金 公募要領】
4-2-6.「令和4年度に健康経営優良法人」に認定された事業者への加点
令和4年度に「健康経営優良法人」に認定された事業者が対象の加点項目です。
健康経営優良法人とは、地域の健康課題に即した取り組みや健康増進につながる取り組みをもとに、健康経営を実施している企業を称する制度のことです。
制度に関する詳しい情報は、公式サイトでご確認ください。
【健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト】
4-2-7.「技術情報管理認証制度」の認証を取得している事業者への加点
経済産業省が実施する「技術情報管理認証制度」の認証を取得している事業者が対象の加点項目です。
情報管理認証制度とは、事業者や研究機関の情報を守るために、企業の情報セキュリティ対策を国の認証を受けた機関が、審査・認証する制度のことです。
制度に関する詳しい情報は、公式サイトでご確認ください。
【経済産業省│技術情報管理認証制度(トップページ)】
4-2-8.J-Startup、J-Startup地域版に認定された事業者への加点
J-StartupならびにJ-Startup地域版に認定された事業が対象の加点項目です。
J-Startupは、世界で戦うことができるスタートアップ企業の育成支援プログラムのことです。
地域版では、スタートアップやエコシステムの構築に積極的な自治体と連携した支援が行われています。
プログラムに関する詳しい情報は、公式サイトでご確認ください。
【J-Startup│公式サイト】
【J-Startup 地域版│公式サイト】
4-2-9.「新規輸出1万者支援プログラム」に登録した事業者に対する加点
日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施する「新規輸出1万者支援プログラム」に登録した事業者が対象の加点項目です。
このプログラムでは、海外との取引経験がない企業や新しい輸出に積極的な企業へのサポートが行われています。
詳しい情報は、公式サイトをご覧ください。
【日本貿易振興機構│新規輸出1万者支援プログラム】
4-3.災害等加点
災害等加点では、有効な期間の「事業継続力強化計画」の認定を取得した事業者への加点が行われます。
事業継続力強化計画の認定を受けた場合、認定ロゴマークが使用できるようになります。
詳しくはお住まいの地域の「経済産業局」までお問い合わせください。
4-4.賃上げ加点等
賃上げ加点等では、事業化計画期間の給与支給総額と事業場内最低賃金を、公募要領に定める通りにする計画を策定し、事務局へ誓約書を提出することで加点が行われます。
また、被用者保険の適用拡大対象となる中小企業が、制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合にも賃上げ加点等での加点対象です。
詳しくは公募要領でご確認ください。
【ものづくり補助金総合サイト│ものづくり補助金 公募要領】
4-5.女性活躍等の推進の取り組み加点
女性活躍等の推進の取り組み加点では、「くるみん・えるぼし認定」を受けている企業に対する加点が行われます。
また、従業員が100名以下で、女性の活躍推進企業データベースまたは、両立支援のひろばに一般事業主行動計画を公表している企業もこの加点の対象となります。
詳しくは公募要領でご確認ください。
【ものづくり補助金総合サイト│ものづくり補助金 公募要領】
5.補助金の採択率アップを目指すなら「加点項目」が重要!
補助金は、「審査項目」や「加点項目」を意識することで、採択率アップにつなげることができます。
公募要領をしっかりと確認し、必須要件や審査項目を押さえた補助金申請を行いましょう。
より採択率の高い補助金申請を行いたい方は、プロへの相談もおすすめです。
補助金活用支援合同会社では、補助金の選定から必要書類作成のサポート、申請までを一貫してお手伝いいたします。
補助金の活用に少しでもご興味がある方は、ぜひ一度当社へご連絡ください。
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