【生活はどう変化する?】令和5年度予算のポイントをわかりやすく解説!

令和5年3月28日に、令和5年度予算が政府案通りに可決しました。
新型コロナウイルス感染症の流行をはじめ、ウクライナ侵略など国際情勢がめまぐるしく変化していくなかで、令和5年度予算はどのように編成されたのでしょうか。
令和5年度予算のポイント5つと歳出ごとに行われる取り組みについて、わかりやすく解説いたします。

1.令和5年度予算5つのポイント

令和5年度予算は、国内外の重要課題への取り組みを中心とした予算編成となっています。
そのなかで、政府が掲げている令和5年度予算のポイントを5つ紹介します。

1-1.安全保障・外交

安全保障・外交面では、日本の安全保障環境の強化や諸外国との関係強化のための予算が計上されています。
令和5年度予算で行われる代表的な取り組みは以下の2つです。

国家安全保障戦略等の策定
5年間で防衛力を抜本的強化するために、43兆円の防衛力整備計画を実施。
力強い外交の展開
G7サミット開催やASEAN友好協力50周年などを見据えた機動的な外交のために、令和4年度補正とあわせて1兆233億円の予算を確保。

防衛関連費や外交関連費について、くわしい情報は財務省公式サイト「令和5年度予算のポイント」でご確認ください。

1-2.こども政策

令和5年4月より、こども基本法が施行されました。
これにともない、令和5年度予算で以下の2つが実施されます。

こども家庭庁の創設
こどもや若者にとって、よりよい社会を作るための政策を進める機関として創立。
子育て家庭への支援などを重点的に行う。
出産育児一時金の引上げ
出産、育児にかかる費用を補助する出産育児一時金の見直しが行われ、42万円から50万円へ引き上げられる。

これまで行われていた妊娠から出産、子育てまでの相談支援や経済的支援は継続実施となります。
こども政策予算についてのくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度予算のポイント」でご確認ください。

1-3.地方・デジタル田園都市国家構想

令和5年度予算では、デジタル化を見据えた取り組みに対する支援が行われます。

地方交付税公金
地方公共団体に対して、公的サービスの格差が生まれないように支払われる交付金。
令和5年度予算では、リーマンショック後最高の18.4兆円を確保。
デジタル田園都市国家構想
自治体のデジタル実装化、デジタルを活用した観光・農林水産業の振興など地方創生に対する取り組みを支援。
くわしい情報はデジタル田園都市国家構想公式サイトをご覧ください。

地方・デジタル田園都市国家構想についての詳しい情報は、財務省公式サイト「令和5年度予算」でご確認ください。

1-4.GX

GX(グリーントランスフォーメーション)とは、脱炭素社会に向けて経済社会システムを変革させる取り組みのことです。
令和5年予算では、GXやカーボンニュートラル目標達成に向けた取り組みが盛り込まれています。

GX経済移行債の発行
カーボンプライシング構想を具現化し、将来的に得られる財源を裏づけとしたGX経済移行債を発行し、民間GX投資の支援を行う。

カーボンプライシングとは
気候変動の主な原因である二酸化炭素に価格をつけ、二酸化炭素を排出した企業などにお金を払ってもらう温暖化対策の仕組みのこと。

2050年カーボンニュートラル達成に向けた取り組み
クリーンエネルギー車の導入、革新的な技術開発などの支援を実施。
令和4年度補正で先行実施分とあわせて1.6兆円規模の支援を行う。

カーボンニュートラルとは
二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの排出量から、森林管理や植林による吸収量を差し引いて、合計を実質ゼロにすることを目標にした取り組みのこと。

GXの予算についてのくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度予算のポイント」をご覧ください。

1-5.メリハリの効いた予算

令和5年度予算では、骨太方針に基づいた歳出改革への取り組みが継続されます。
社会保障関連費では4.100億円の予算増額、社会保障関連費以外では47.417億円の予算増額が行われました。
新規国債発行額は、令和4年度当初の36.9兆円から、35.6兆円へ減額されます。

2.令和4年度との比較

令和5年度予算と令和4年度予算を比較すると、以下のような歳出の増加がありました。

・薬価改定や子育て支援の見直しによる社会保険関係予算の増加
防衛関関連予算の増加
・コロナ対策や物価高騰、ウクライナ情勢経済緊急対策として予備費の増加
・地方公共団体に交付される地方交付税交付金の増加

また、歳入面では税収を過去最大の69兆4400億円、税外収入9兆3182億円を見込んでいます。
歳入と歳出の差額は、公債金(新規国債)の発行をして補われる予定です。
歳入と歳出のくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度予算フレーム」でご確認ください。

3.各歳出ごとの特徴と取り組み

令和5年度予算のなかでも、令和4年度予算と比較して増加した歳出や歳出ごとに行われる取り組みについてご紹介します。
予算がどのようなことに使われる予定なのか見ていきましょう。

3-1.社会保障関連

社会保障とは、生活の安心や安全を守るための仕組みです。
令和5年度予算では、医療・出産育児・最低限の生活保障に対する取り組みが行われます。

・医療機器や医薬品などの薬価価格の改定を実施し、国民負担を軽減
・出産育児一時金の引き上げや相談支援、経済的支援など子育て支援の見直しを実施
・社会情勢をふまえた生活保護基準の見直し

社会保障関連予算についてのくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度社会保障関連予算のポイント」をご確認ください。

3-2.防衛費

私たちの生活する日本を、さまざまな脅威から守るための防衛に使われる予算です。
令和5年度予算より、5年間で緊急的に防衛力を強化するための取り組みが行われます。

・日本に対する脅威の排除や侵攻阻止のため防衛力整備計画の実施
防衛力を安定的に持続するための財源の確保
・沖縄に関する特別行動委員会の最終報告に基づく米軍再編事業の着実な実施
・海上保安能力強化方針に基づく海上保安庁の運用強化予算を大幅拡充

防衛費予算についてのくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度防衛関連予算のポイント」をご確認ください。

3-3.外交

日本の平和と安定を守り抜き、地球規模の課題に対して各国と連携を行うために外交が行われています。
令和5年度予算では、ウクライナ侵略をはじめとした国際情勢の変化に対応するための取り組みが行われます。

・令和4年度第2次補正予算と一体化した政府開発援助(ODA)の活用
・「自由で開かれたインド太平洋」を含めた法の支配に基づく国際秩序の維持と拡大
・ポストコロナへの備えや気候変動問題への対応など地球規模の課題への取り組み
・SNSなどインターネット空間でのモニタリングや分析を活用した情報戦への対応

外交予算のくわしい情報ついては、財務省公式サイト「令和5年度内閣、デジタル、復興、外務・経済協力係関連予算のポイント/外交関連予算のポイント」をご確認ください。

3-4.警察

警察は、日常で起こる事件や事故に対する対処や犯罪を未然に防ぐためのパトロールなどを行っています。
令和5年度予算では、G7広島サミットの実施などを見据えた緊急対策や情報システムの整備への取り組みが実施されます。

・テロ対策や大規模災害などの緊急事態への警戒警備の実施
・警察活動の基盤強化のため警察管理システムの共通基盤集約化の推進

警察関連予算のくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度予算のポイント経済産業、環境、司法・警察係予算」をご確認ください。

3-5.地方財政

地方財政とは、福祉や教育、道路や河川など社会基盤整備を行う地方公共団体の財政のことです。
地方の税収増加にともない、債権発行に対する見直しが行われます。

・税収増加により、臨時財政対策債発行の縮減
臨時財政対策債とは
国が交付している地方交付税の財源不足に対処するために、金額の一部を地方公共団体が借入をする形で不足を補う取り組みのこと。
・地方一般財源を適切に確保するため、交付税特会借入金の償還(返済)
交付税特会借入金とは
地方一般財源不足に対応するために、資金運用部資金を借り入れ、地方交付税として配分する取り組みのこと。

地方財政予算のくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度総務・地方財政、財務係関連予算のポイント」をご確認ください。

3-6.DX、地方創生

令和5年度予算では、デジタル社会実現の推進やデジタルを活用した地方創生への取り組みが行われます。

DX活動(デジタルトランスフォーメーション)の推進

DXとは
ITツールやテクノロジーを活用して、生活を豊かにする取り組みのこと。

・政府共通クラウドサービス移行などデジタル庁の体制拡充
・地域のデジタル化、デジタルを活用し観光・農林水産振興など地方創生への取り組み支援

DX、地域創生予算についてのくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度予算のポイント」をご確認ください。

3-7.復興

被災者・被災地に対して求められる対応をきめ細やかに行うための予算です。
令和5年度予算では、復興・再生に向けた取り組みが重点的に行われます。

・心のケアや帰還・移住の促進など被災者、被災地に対する支援
・創造的復興の中核拠点として福島国際研究教育機構の構築
ALPS処理水の処分へ向けた対策の推進

その他復興関連予算については、財務省公式サイト「令和5年度予算のポイント」をご確認ください。

3-8.GX、エネルギー・環境

地球温暖化や気候変動などから地球を守るために、次世代エネルギーへの転換が求められています。
令和5年度予算では、2050年カーボンニュートラル達成に向けた取り組みが支援されます。

・カーボンプライシングを裏付けとしたGX経済移行債の発行
民間のGX投資を支援する取り組みの創設
・次世代革新炉の研究開発などカーボンニュートラル達成に向けた取り組みの支援

GX、エネルギー・環境関連予算のくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度予算のポイント」をご確認ください。

3-9.科学技術・教育

令和5年度予算では、科学技術発達のための支援や学校における教員の働き方改革に対する取り組みが行われます。

・AIや量子分野を中心とした最重要最先端技術の研究に対する支援を推進
・科学技術発展を目的として基礎研究・若手研究者向け支援の充実
・教科担任制や外部人材の活用を推進し、教員が授業へ集中できる環境作り
・いじめや不登校などを抱える児童の相談体制の整備

科学技術・教育関連予算についてのくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度文教・科学技術予算のポイント」をご確認ください。

3-10.公共事業

道路や河川の整備、教育施設や公園の拡充など国民の生活に役立つ事業のことを公共事業といいます。
令和5年度予算では、デジタルデータを活用した防災・減災への取り組みへ重点的な支援が行われます。

・デジタル技術を活用した防災、減災、強靭化の推進
・老朽化対策や防災・安全交付金の重点配分強化
・汚水汚泥の肥料活用の実証事業など生産性の向上に向けた取り組み
・地域公共交通ネットワークの再構築などポストコロナへの対策

公共事業関連予算のくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度予算のポイント」をご確認ください。

3-11.中小企業対策

令和4年度までも、中小企業対策としてさまざまな補助金や助成金が交付されました。
令和5年度予算では、取引適正化や価格転嫁対策強化を中心とした支援が行われます。

・価格交渉や転嫁などの実態を調査する調査員を増員し、取引適正化の強化を実施
・産学官連携による高度なものづくりやサービスモデルの研究開発に対する費用補助を実施
・中小企業活性化協議会による事業再生計画の策定支援
・後継ぎ支援センターによる事業継承の支援
・商工会、商工会議所による小規模事業者に対する相談支援
・日本政策金融公庫による資金繰りの支援

中小企業対策予算のくわしい情報は、財務省公式サイト「令和5年度予算のポイント経済産業、環境、司法・警察係予算」をご確認ください。

3-12.農林水産

令和5年度予算では、食の安心と安全を守る取り組みのほかに、国内での畑作物の生産向上に向けた取り組みが支援されます。

・食料の安定的な輸入と適切な備蓄のための安全保障を強化
・米の需給安定と水田の畑作化を行い、畑作物の生産を推進
・水田の畑地化推進のための生産性・向上性に向けたインセンティブの導入

その他農林水産関連予算については、財務省公式サイト「令和5年度農林水産関連予算のポイント」をご確認ください。

4.令和5年度予算は「未来を切り開く」ための予算!

令和5年度予算は、日本国民の安心安全を継続して守り、次世代エネルギーの研究開発を行うことで、未来を担うこどもたちへのバトンを繋ぐような「未来を切り開く」ための予算編成となっています。
今回の予算でも、中小企業対策として資金繰りの支援が手厚くされています。
社会情勢の変化に対応するために、補助金や助成金の活用をお考えの方は、ぜひ補助金活用支援合同会社へご相談ください。

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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。