末永く会社を存続していくためには、後継者の存在が必要不可欠です。
ですが、後継者不足が多くの中小企業が抱える問題の1つとなっています。
また、中小企業の経営者も高齢化が進んでいる背景があり、年々「事業承継」に対する需要は増えてきています。
後継者が見つからなければ廃業せざるを得ない場合もあるため、事業承継は重要な経営課題にもなっているのです。
そんな事業承継を考えている企業に注目していただきたいのが、東京都が令和4年度の募集を開始した「事業承継支援助成金」です。
この記事では、事業承継支援助成金について、わかりやすく解説します。
目次
1. 事業承継支援助成金とは?
事業承継支援助成金とは、事業承継を行う予定のある企業や承継を考えている企業に向けて、事業承継に関する取り組みに必要な経費の一部を助成する制度です。
事業承継だけでなく、経営改善を目的とした取り組みに対しても、その経費の一部を助成します。
助成対象となるのは、都内の中小企業です。
東京都が事業承継支援助成金を支給する目的は、
- 企業の持続的な成長
- 経営改善
- 円滑な事業承継
- 発展に向けた新たな事業展開
などの支援のためです。
それでは、主な要件を見ていきましょう。
2. 事業承継支援助成金の対象事業・経費
事業承継支援助成金の対象事業は、4タイプに分けられます。
申請するには、4タイプいずれかの事業区分に該当する取り組みでなければなりません。
複数の事業区分を選択して申請することはできませんが、同一事業区分内であれば複数の対象経費で申請可能です。
4タイプすべての共通事項として、経費は下記の要件を全て満たす必要があります。
- 助成対象事業として決定を受けた事業を実施するための経費
- 助成対象期間内に、契約、履行および支払いが完了した経費
- 助成対象(使途、単価、規模など)の確認が可能、かつ、本助成事業に係るものとして明確に区分できる経費
※使途、単価、規模に関しては、見積書などで確認します。 - 財産取得となる場合、所有権(ソフトウェアの場合は著作権)が申請者に帰属する経費
上記をふまえ、それぞれのタイプについて見ていきましょう。
2-1. Aタイプ(後継者未定)
Aタイプ(後継者未定)の対象事業は、第三者への事業承継(企業の合併買収や事業提携などのM&Aを含む)に向けた取り組みで、対象経費は、下記の通りです。
- 財務、税務、法務や労務などのデューデリジェンス、企業価値や事業価値など、価値算定のための業務委託経費
※デューデリジェンスとは、譲渡対象企業に対する事前調査のこと - 後継者候補の確保に向けた人材紹介会社のサービス利用経費
- ファイナンシャルアドバイザー(FA)、M&A仲介業者などとの契約締結に必要な経費
2-2. Bタイプ(後継者決定)
Bタイプ(後継者決定)の対象事業は、事業承継(譲渡)に向けた取り組みで、対象経費は下記の通りです。
- 株式譲渡、相続手続きに関する外部専門家への業務委託経費
- 財務、税務、法務や労務などのデューデリジェンス、企業価値や事業価値など価値算定に必要な業務委託経費
※デューデリジェンスとは、譲渡対象企業に対する事前調査のこと - 中核人材(幹部社員)の確保や育成に向けた人材紹介会社などのサービス利用や研修に係る業務委託経費
※中核人材(幹部社員)とは、採用時に課長級以上の社員のこと
2-3. Cタイプ(企業継続支援)
Cタイプ(企業継続支援)の対象事業は、令和3年度の企業継続支援を受けて実施する、事業承継・経営改善などに対する取り組みで、対象経費は下記の通りです。
- 中核人材(幹部社員)の確保や育成に向けた人材紹介会社などのサービス利用や研修に係る業務委託経費
※中核人材(幹部社員)とは、採用時に課長級以上の社員のこと - 社内経営管理システムの構築に向けた外部への業務委託やシステム開発委託経費
- 組織、人事など内部管理体制整備のための業務委託経費
- 新市場開拓に向けた調査会社への市場調査委託経費
- 新市場開拓や新たな販路開拓に向けたサイト・パンフレットなどの業務委託経費
2-4. Dタイプ(譲受支援)
Dタイプ(譲受支援)の対象事業は、取引先の事業または株式の譲受に向けた取り組みです。
ただし、対象となるのは基準日※時点で取引がある取引先の譲受に限られます。
※【基準日】第1回:令和4年4月1日、第2回:令和4年10月1日
対象経費は下記の通りです。
- 財務、税務、法務や労務などのデューデリジェンス、企業価値や事業価値など価値算定に必要な業務委託経費
※デューデリジェンスとは、譲渡対象企業に対する事前調査のこと - 契約書の作成やレビューに係る業務委託経費
- 事業統合(PMI)計画の策定を目的とした業務委託経費
3. 事業承継支援助成金の主な申請要件
事業承継支援助成金を申請するには、都内で事業を2年以上連続して営んでおり、これからご紹介するA~Dの4タイプいずれかに該当する中小企業者である必要があります。
3-1. A(後継者未定)・Bタイプ(後継者決定)
A(後継者未定)・Bタイプ(後継者決定)は、基準日の直近1年間に、下記の支援を受けた中小企業者であることが申請要件です。
- 事業承継・再生支援事業【公社が実施】
- 地域持続化支援事業(拠点事業)【東京商工会議所・町田商工会議所・東京都商工会連合会が実施】
- 地域金融機関による事業承継促進事業【一般社団法人東京都信用金庫協会および一般社団法人東京都信用組合協会】
- 専門家派遣事業【東京信用保証協会】
3-2. Cタイプ(企業継続支援)
Cタイプ(企業継続支援)の申請要件は、令和3年度に公社の企業継続支援を受けた中小企業者であることとなっています。
3-3. Dタイプ(譲受支援)
Dタイプ(譲受支援)の申請要件は、下記2点を満たす中小企業者であることです。
- 基準日において、取引関係のある譲受対象の中小企業が自社の主要事業の維持・発展に必要な企業であること。
- 申請前日までに事業承継や再生支援事業の支援を受けた中小企業者であること。
4. 事業承継支援助成金の助成対象期間
事業承継支援助成金の助成対象期間は、交付決定日から8か月以内です。
第1回の交付決定日は、令和4年10月1日に予定されています。
交付決定日から8か月以内に、「事業承継」や「経営改善」のための事業を実施するようにしましょう。
参照:令和4年度 事業承継・再生支援事業 第1回事業承継支援助成金【募集要項】
5. 事業承継支援助成金の助成限度額・助成率
事業承継支援助成金の助成限度額・助成率は下記の通りです。
●助成限度額:200万円(申請下限額20万円)
●助成率:2/3以内
6. 事業承継支援助成金の申請エントリー期間
令和4年度の申請エントリーは、2回に分けて実施される予定です。
事業承継支援助成金の概要や注意点、申請書の記載事項については、申請書の提出前に個別相談をすることができます。
Dタイプ(譲受支援)の場合のみ、個別相談ではなく現地診断が実施されます。
申請エントリーをするには、まず「ネットクラブ会員サービス」への登録が必要です。
登録後、公社ウェブサイトの申請フォームからエントリーしてください。
第1回
エントリー期間
令和4年6月8日(水)~7月15日(金)17時
申請前相談・現地診断期間
令和4年6月8日(水)~7月22日(金)
申請書類の提出期間
令和4年6月8日(水)~7月29日(金)
申請書類の提出方法は、郵送のみです。
提出日については、エントリー後の個別相談時に調整が行われ決定します。
〒101-0025
東京都千代田区神田佐久間町1-9 5階
(公財)東京都中小企業振興公社
総合支援課事業承継・再生支援事業事務局 助成金担当
申請書類はこちらからダウンロード可能です。
第2回
令和4年11月~12月(予定)
第2回エントリー期間についての詳細は、11月に公社ウェブサイトに掲載が予定されています。
時期が近付いたら、公社ウェブサイトをチェックしてみましょう。
7. 事業承継支援助成金の申請から助成までの流れ
事業承継支援助成金の申請から助成までは、下記1〜7の流れで進みます。
下線部分は、申請企業が実施する項目です。
- 申請エントリー
- 申請前相談・現地診断
- 申請書提出
- 審査
申請書類をもとに審査が行われ、助成対象事業者が決定。 - 交付決定
採択された場合、交付決定通知書が送付される。 - 事業の実施
契約、事業の履行から支出までを行いましょう。 - 実績報告・助成金交付
第1回目のスケジュール日程は、募集要項に記載してありますので、こちらをご参照ください。
8. 大切な会社の資産や理念を円滑に引き継ごう!
事業承継は、後継者の選定から業務の引き継ぎまで、やらなければいけないことがたくさんあります。
大切な会社の資産や理念を円滑に引き継ぐためにも、早め早めに取りかかることが大切です。
日本の社会を支えているのは大企業だけでなく、多くの中小企業であることはいうまでもありません。
その貴重な技術やサービスを継続させていくためにも、「事業承継支援助成金」をうまく活用することをオススメします。
活用したいけれど申請方法がわからないなどのお悩みについては、補助金活用支援合同会社にお任せください。
補助金活用支援合同会社では、プロの視点で申請からサポートいたします。
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