2017年7月に「健康増進法」の一部を改正した「受動喫煙防止法」が成立し、学校や病院などの敷地内、飲食店やオフィスなどの屋内喫煙が原則禁止となりました。
これを受け、飲食店をはじめとした企業には、受動喫煙防止法に対応するために「全面禁煙化」または「喫煙ブース」の設置が求められています。
喫煙ブースを設置して、受動喫煙を防止し「お互いが過ごしやすい環境」を作ることで売上アップを見込める場合もあるでしょう。
今回は、「喫煙ブース」や「喫煙室」の設置に活用できる補助金と助成金を紹介します。
目次
1.喫煙ブース設置に活用できる助成金2選!
「受動喫煙防止法」に対応する企業を支援するために、厚生労働省が実施する助成金を紹介します。
・生衛業受動喫煙防止対策助成金
1-1.受動喫煙防止対策助成金(令和6年度)
受動喫煙防止を目的とした、施設設備の整備を支援するための助成金です。
事業場内の受動喫煙対策を推進することを目的として実施しています。
助成対象業種 | ・小売業
・サービス業 ・卸売業 ・その他要件に定める業種 |
助成対象となる取り組み | ・喫煙専用室(喫煙ブース)の設置・改修
・指定たばこ専用喫煙室の設置・改修 |
助成率・助成上限額 | ・飲食店 2/3
・飲食店以外 1/2 ・上限額:100万円 |
助成対象経費 | ・機械装置等費
・設備購入費 ・改修費 ・原材料費 ・資材費 ・工事費 |
複数の事業場を保有する企業であっても、交付要項に定める「中小企業」に該当する場合には、個々の事業場ごとに申請ができます。
また、事業場内だけでなく宿泊施設や飲食店の「顧客専用喫煙室」の設置にも活用できるので、分煙化を検討している方にもおすすめの助成金です。
1-2.生衛業受動喫煙防止対策助成金
生活衛生関係営業の事業主が、受動喫煙防止のための施設整備に利用できる助成金です。
この助成金の申請には「生活衛生関係営業を営んでいる」ことを、保健所から認可を受けている必要があります。
助成対象者 | 以下のすべてに該当
・労働者災害補償保険の適用外である事業主 ・健康増進法に規定する「既存特定飲食提供施設」の事業主 ・受動喫煙防止措置を講じた区域以外を禁煙とする事業主 |
助成対象となる取り組み | ・喫煙専用室の設置・改修
・脱煙機能付きの喫煙ブースの設置・改修 ・屋外喫煙所の設置・改修 |
助成率・助成上限額 | ・助成率:2/3
・助成上限額:100万円 |
助成対象経費 | ・設備装置等費
・雑役務費 ・設備購入費 ・改修費 ・工事費 |
【参考│生衛業受動喫煙防止対策助成金公式サイト】
助成金の交付は、1事業場につき1回までですが、同一事業場内の複数箇所に措置を行う場合には、まとめて1件として申請可能です。
2.喫煙ブース設置に活用できる補助金2選!
都道府県が独自に実施している「喫煙ブース設置に活用できる補助金」を2選で紹介します。
・【大阪府】大阪府受動喫煙防止対策補助金(令和6年度)
2-1.【東京都】新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業
東京都が実施する、受動喫煙防止にかかわる取り組みを支援する補助金です。
都内にある中小飲食業者の安定的な集客につなげることを目的に実施しています。
補助対象者 | ・飲食業
・サービス業 ・宿泊業 |
補助対象となる事業 | ・喫煙室の設置
・指定たばこ専用喫煙室の設置 ・外国人旅行者の受入れに向けた「宿泊・飲食施設の分煙環境整備補助事業」を通じて取得した分煙設備の撤去 |
補助率・補助上限額 | ・2/3
・400万円 ※事業により変動あり |
補助対象経費 | ・機械装置等費
・設備処分費 ・原材料費 ・資材費 ・工事費 |
【参考│新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業公式サイト】
この補助金では、補助対象となる事業への補助金の給付だけでなく、「完全禁煙化するか・分煙化するか」などの悩みについて、派遣される専門家からアドバイスを受けることができます。
2-2.【大阪府】大阪府受動喫煙防止対策補助金(令和6年度)
「大阪府受動喫煙防止条例」による、規制対象となる飲食店を対象とした補助金です。
2025年4月に「大阪府受動喫煙防止条例」の全面施行を予定しているため、大阪府の公式サイトでも「受動喫煙防止対策」のページが作成されるなど、対応について大々的に周知しています。
府条例への対応に取り組む飲食店やサービス業の方は、大阪府受動喫煙防止対策補助金の活用を検討してはいかがでしょうか。
補助対象者 | ・飲食業
・サービス業 |
補助対象となる事業 | ・喫煙専用室および指定たばこ専用喫煙室の設置・改修
・屋外喫煙所の設置・改修 ・全面禁煙化事業 |
補助率・補助上限額 | ・3/4
・300万円 ※全面禁煙化事業は100万円 |
補助対象経費 | ・機械装置等費
・改修費 ・人件費 ・原材料費 ・資材費 ・工事費 |
【参考│大阪府受動喫煙防止対策補助金(令和6年度)公式サイト】
なお、府条例に違反した場合には、「指導・助言」だけでなく、「勧告・公表」が行われるほか、5万円以下の罰金が科される可能性があります。
3.喫煙ブース設置に補助金を活用するときの注意点
喫煙ブース設置に補助金を活用するときには、以下の点に気を付ける必要があります。
・高額な材料費(原材料費・資材費)は補助金額の減額査定の対象となること
このほか補助金を活用するときの注意点についてはこちらをご確認ください。
【合同会社SCS│【プロから学ぶ】補助金の基礎知識│制度概要・注意点・申請方法を解説!】
4.喫煙ブース設置の補助金申請の流れ
喫煙ブース設置の補助金では、補助金の種類によって「交付決定後の現状報告」や「都道府県の立ち入り検査・測定」を求められる場合があります。
補助金申請の大まかな流れについては、以下のページをご覧ください。
【合同会社SCS│【プロから学ぶ】補助金の基礎知識│制度概要・注意点・申請方法を解説!】
なお、「助成金」の申請の場合には、審査がなく「支給要件」を満たしていれば支給されます。
詳しくは助成金の公式サイトまたは、厚生労働省公式サイトをご覧ください。
5.喫煙ブースの設置には補助金や助成金の活用がおすすめです!
喫煙ブースを設置することで、受動喫煙防止法や条例に対応する企業であることや、従業員の健康について考え、取り組みを行う企業であることを外部にアピールすることが可能です。
喫煙ブースの設置には費用がかかりますが、補助金や助成金を活用して、企業の信頼性向上につながる取り組みを検討してはいかがでしょうか。
合同会社SCSでは、喫煙ブースの設置に活用できる補助金のほか、企業が抱える経営課題の解決に役立つ補助金のご提案をしています。
補助金活用に興味のある方はぜひ一度お問い合わせください。
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