パートナーシップ構築宣言とは?│実施方法や得られるメリットを紹介!

パートナーシップ構築宣言とは

事業者が取引先との共存共栄を目指す取り組みの1つである、「パートナーシップ構築宣言」。
2024年1月の時点で、全国38,167社がこの宣言を行っています。

では、なぜこれほど多くの企業がパートナーシップ構築宣言を行っているのでしょうか。
今回は、パートナーシップ構築宣言の概要から、宣言することで得られるメリットについてわかりやすく解説します。

1.パートナーシップ構築宣言の概要

パートナーシップ構築宣言は、事業者が取引先との共存共栄を目指すための仕組みのことで、2020年5月に「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」で創設されました。
サプライチェーンの取引先や価値の創造に取り組む事業者が連携し、共存共栄を推進して新しいパートナーシップの形を構築することを発注側企業の代表者名で宣言します。

パートナーシップ構築宣言を行う企業は、下記に該当する取り組みを行う必要があります。

パートナーシップ構築宣言に必要な取り組み
・サプライチェーン全体の共存共栄と、規模・系列などを超えた新しい連携
・親事業者と下請事業者の望ましい取引の慣行を宣言し、ポータルサイトに記載することで各企業の取り組みの見える化を行う

宣言を公表した企業は、パートナーシップ構築宣言の指定ロゴを利用することができるため、自社の取り組みを外部へ周知することもできます。
【参照│パートナーシップ構築宣言ポータルサイト「概要・登録方法」

2.パートナーシップ構築宣言で得られるメリット

多くの企業が、宣言と取り組みの周知活動を行っている「パートナーシップ構築宣言」。
宣言することで、企業は3つのメリットを得ることができます。
ここからは、パートナーシップ構築宣言で得られる3つのメリットについて、それぞれわかりやすく解説します。

2-1.企業が行う取り組みを広く周知することができる

パートナーシップ構築宣言をした企業名と宣言内容は、パートナーシップ構築宣言のポータルサイトで公開されています。
宣言内容は誰でも見ることができるため、自社が「下請け企業との関係性を重んじる企業である」というアピールが可能です。
宣言した企業は指定のロゴマークを利用でき自社ホームページでもアピールできることから、営業戦略の1つとしても活用できます。

2-2.一部の補助金で加点措置を受けられるようになる

政府は、パートナーシップ構築宣言を行った企業に対して補助金の優先採択を検討しています。
すでに、一部の補助金ではパートナーシップ構築宣言を行った企業へ補助金の加点措置が行われています。

補助金名 主な補助対象事業
事業再構築補助金 業態の構造転換や事業の再構築など
ものづくり補助金 革新的な製品や新サービスの開発など
コンテンツ海外展開促進・基盤強化事業費補助金 コンテンツのデジタル化など海外展開に必要となるデジタル技術の支援など
自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金 原子力災害による被害を受けた地域の雇用創出や地域経済の活性化など
住宅・建物需給一体型等省エネルギー投資促進事業費 次世代省エネ建材を用いた住宅の断熱リフォームなど

また、各地方自治体独自で行われている補助金でも、同様に加点措置や優先採択が行われる見込みです。
これからパートナーシップ構築宣言を行い、補助金の活用を検討したい方は、合同会社SCSへぜひお声がけください。

2-3.宣言と同時にSDGsへの取り組みが達成できる

パートナーシップ構築宣言は、宣言と同時に以下5つの「SDGs目標」が達成できます。

・目標3:すべての人に健康と福祉を
・目標8:働き甲斐も経済成長も
・目標9:産業と技術革新の基盤を作ろう
・目標10:人や国の不平等を無くそう
・目標17:パートナーシップで目標を達成しよう
【参考│外務省:JAPAN SDGs Action Platform「SDGsとは?」

SDGsへ取り組んでいる企業であるということは、国際社会全体での共通目標へ積極的に取り組む企業であることの証明になり、企業のイメージアップも期待できます。

3.パートナーシップ構築宣言の実施方法

パートナーシップ構築宣言は、企業の取り組みを広く外部へ周知すると同時に、国際社会の共通目標を達成することができるなど企業にとってメリットの多い仕組みです。
今後は新規取引先を探す場合にも、パートナーシップ構築宣言ポータルサイトの活用が増えていくことが期待されているため、宣言を行うか検討してみてはいかがでしょうか。
ここからは、パートナーシップ構築宣言の実施方法について3つの段階に分けて解説します。

3-1.必要書類の準備

まずは、パートナーシップ構築宣言に必要な書類の準備を行います。

必要書類のひな形は、パートナーシップ構築宣言ポータルサイトよりダウンロード可能です。
記載見本や要領を参考にしながら、「パートナーシップ構築宣言文」の作成を行います。

署名欄は手書き不可となっているため、必ずワードなどのソフトを利用して行いましょう。
そのほか必要書類について、公式サイトでよくある間違いや注意点が公開されているので、確認しながら準備を行いましょう。
【参考│パートナーシップ構築宣言「概要・登録方法」

3-2.登録ページから必要書類をアップロード

必要書類が整ったら公式サイトの「登録ページ」から必要書類のアップロードを行います。
登録の際、必要書類のほかに企業名や法人番号、資本金などの企業情報の入力箇所があるため、それらの情報がわかる資料を用意してから登録を行いましょう。

必須項目の入力、必要書類のアップロードが終わったら「入力内容の確認」を行い、「登録ボタン」をクリックして、登録申請が完了します。

3-3.パートナーシップ構築宣言の公開

必要書類や入力内容に不備がなければ、登録申請を行った3~4日後にポータルサイト上で宣言文が公開されます。
ただし、補助金申請に関連して登録申請が多く集中する時期があり、公開が遅くなる場合があるので早めに登録申請を行うと安心です。
登録申請が多く集中する時期に関する情報は、公式サイトの「お知らせ欄」で確認できます。

宣言内容の変更がある場合には登録ページから「更新」を選択することで新しい宣言内容との入れ替えが可能ですが、変更内容によっては事務局への事前連絡が必要になります。
詳しくは公式サイト「FQA・お問い合わせ」のページに記載がありますので、ご確認ください。
【参考│パートナーシップ構築宣言「FQA・お知らせ」

4.パートナーシップ構築宣言を行うときに押さえておきたいポイント!

パートナーシップ構築宣言は、一部の補助金で加点措置が行われているため「加点措置のために」と申請を行おうとする人もいます。
しかし、加点措置を目的とした申請は「パートナーシップ構築宣言の目的」と異なるため、注意しましょう。

宣言を行う企業は、パートナーシップ構築宣言の目的についての正しい理解が必要です。
なぜパートナーシップ構築宣言が行われているか「目的」を理解し、どうしたらメリットを十分に得られるかを考えることが大切です。
ここからは、パートナーシップ構築宣言を行うときに押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

4-1.パートナーシップ構築宣言の目的を理解すること

パートナーシップ構築宣言は、企業規模にかかわらず「発注者側企業の代表者」のみが宣言を行うことができます
発注者側企業と下請け企業の関係を円滑にすることで、不利益な取引を未然に防ぎ、企業同士の共栄共存を目指すことが目的に実施されているためです。

しかし、パートナーシップ構築宣言自体を知らないという企業も少なくありません。
そこで、宣言を行った企業は「制度の周知活動」にも注力する必要があります。
パートナーシップ構築宣言の目的を理解している企業が、取引先などへの積極的な制度周知活動を行うことで、より効果的な制度になっていくことが期待されています。

4-2.宣言内容は社内へ共有して業務改善を行うこと

パートナーシップ構築宣言の宣言後は、宣言した取り組みをしっかりと実施できるように、社内に宣言内容を共有する必要があります。
そのためには、社内広報などを活用し、パートナーシップ構築宣言の目的を理解できる人材育成を行わなければなりません。

パートナーシップ構築宣言は、企業同士の共栄共存実現に向けて、自社社員の行動に問題がないか、節度のある行動ができているかなどモラルや働き方を見直すきっかけにもなります。
社内へ宣言内容を共有し、課題や問題点を見つけることで業務改善を行い、取引先とのよりよい関係の構築を目指していくことが大切です。

4-3.宣言した取り組みを適正に継続していくこと

パートナーシップ構築宣言は、宣言をしてからがはじまりです。
宣言した取り組みが社内で共有され、実際に行われているかなどのチェックが継続して行われます。

今後は、取引の適正化を進めて行くために「パートナーシップ構築宣言Gメン」の増員が予定されています。
パートナーシップ構築宣言の目的である「共栄共存」を達成するためにも、宣言した取り組みを継続して行くことが大切です。

5.パートナーシップ構築宣言をして企業価値を高めよう!

パートナーシップ構築宣言を行うことで、「下請け企業との関係性を重視している企業」かつ「国際目標の達成に積極的に取り組む企業」であることを公表できます
このような社会的ニーズに高い取り組みを行っているということは、企業価値を高めることにもつながります。

自社の企業価値を高める取り組みを行いながら、企業成長を目指していきたい方には、パートナーシップ構築宣言とあわせて補助金や助成金などの支援制度の活用がおすすめです。
合同会社SCSでは、企業に合った補助金の選定から申請まで一貫したサポートを行っています。
補助金などの支援制度の活用に興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。

補助金・助成金などのご相談はこちらからどうぞ!
お問い合わせ
オンラインコミュニティの参加
補助金・助成金無料診断

監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に合同会社SCSを設立し独立。

経営者の潜在的な要望を引き出し、事業拡大を実現する「コンサルティング型」によって、1年間で100件以上の補助金申請をサポートし、1憶5千万円以上の採択を実現。

最適な補助金の提案から受給まで、完全サポートしている。