正しいDXの進め方とは?中小企業における課題や進め方のポイントを詳しく解説

DXを進める企業が増えてきたきっかけの1つは、全世界を震撼させた新型コロナウイルスの流行です。
さらに、「2025年の崖」の期限が近づいていることも、DXが注目を集める一因となっています。

しかしながら、「DXを進めたいが何から始めたらいいのかわからない」「膨大な費用をかけてまでDXを進めるべきなのか?」という疑問や悩みを抱えている中小企業も多いのではないでしょうか。

今回は、DXの進め方をはじめ、起こりうる課題や進め方のポイントを詳しく解説します。

1.そもそもDXとは?

【Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)】の略称がDXです。
「日々進化を遂げているデジタル技術を用いて、ビジネスはもちろんのこと私たちのライフスタイルをより快適に変化させる」というコンセプトがあります。

近年のすさまじいIT技術の進化によって、私たちの周りは便利なもので溢れ、より生活しやすくなってきました。
たとえば、お金の振込や振替、引き出しは銀行の窓口もしくはATMでしか扱うことができませんでした。
それが現在はオンライン上で振込、引き出しなどを行うことができるネットバンキングが導入され、コンビニエンスストアに設置されているATMでは24時間好きな時にお金を引き出すことができるようになりました。
チケットの購入も、オンラインシステムを導入したことで手軽かつ効率よく検索や購入できるようになっています。

多くの企業や団体だけでなく、経済産業省も、さらに快適に暮らせる日本を目指そうと、DX推進に注力しています。

2.DXが必要とされているのはなぜ?

DXは今に始まったことではないものの、近年では急速な推進が求められています。
その背景には新型コロナの感染が拡大したことでオンライン需要が高まったことがあり、この問題は、日本のみならず海外にも大きな影響を与えました。

ここでは、DX化が今まで以上に必要とされる理由について解説します。

2-1.国外ではDX化が加速しているから

世界がニューノーマルな時代になりつつある今、日本はDXに取り組む企業が3割以下と大幅に遅れていて、経済産業省もこれについて警鐘を鳴らしています。
新型コロナ感染拡大の影響で生活が一変したことによりDXに取り組む企業は増えてきているものの、海外に比べるとまだまだ十分な推進が測れていないため、早急なDX化が求められています。

2-2.2025年の崖に直面するリスクがあるから

「2025年の崖」と呼ばれる課題が目の前に迫っていることも、DX推進が必要とされる理由の1つです。

2025年の崖とは、企業が古いシステムを使い続けてDX化が進まなかった場合、2025年以降、既存の基幹システムのサポートが相次いで終了し経済的損失を受ける企業が多数出る可能性がある、という問題のことをいいます。

このままでは大きなリスクを抱えたまま2025年を迎えることになるため、早い段階でDX化に着手する必要があるのです。

2-3.新たなビジネス形態が求められているから

日本は、部門ごとで独立させたシステムを構築させている企業が多くあります。
部門ごとに独立させたシステムは複雑にカスタマイズされている傾向があり、これを扱うためには相応の技術を持つ人材を確保しなくてはならないうえに、維持するためには大きなコストがかかっているのが現状です。

そこで、DXでシステムを再構築し新たなビジネス形態で運営することが勧められています。
システムの自動化などにより運営に必要な人数を減らすほか、人件費などのコスト削減が期待されています。

また、新しい技術を使ったサービスや商品がどんどんと出てくるため、これにキャッチアップし、さらには新しいものを生み出して会社としての収益を維持していく必要があるため、DX化は多くの企業で必要とされているのです。

3.DX化を進めるうえでかかる費用は大きな課題

日本の企業は既存のシステムを維持するための管理費が高くなりがちなため、DX化を進めたくても既存システムを維持することに時間や費用がとられ、新たなシステムの導入が遅れているのが現状です。

2025年には続々と既存システムのサポートが終了してしまうことは理解していても、新しいシステムの構築にかける時間や費用が捻出できない企業も多いことから、DX化を進めるにあたっては、費用を確保することも大きな課題となっています。

4.DX化を進めるメリット

人材の確保や既存システムの保守、費用の面など多くの課題が残るものの、DX化を進めることには下記のような大きなメリットがあります。

・各企業の競争力の向上
・生産性のアップ
・働き方改革の具現化
・新たなビジネス創り
・BCP対応

AIを使ってデータを有効活用したり、決まった形式で行える業務は自動化し工数を削減したりすれば生産性がアップします。

また、DX化は新たなビジネスモデルを創出するきっかけにもなります。
DX化で算出されたデータを用いれば、今社会で求められていることや必要とされていることを的確に捉えることができるようになるでしょう。

新しいシステムを取り入れることで、在宅での業務も今以上に実現可能となり働き方改革の具現化にもつながるなど、DX化を進めることには大きなメリットがあります。

5.DXの進め方

DX化には時間と費用がかかるため、しっかりと計画を立てて1つずつ進めていくことが大切です。
DX促進で失敗しないために、ここで基本の進め方を見ていきましょう。

5-1.STEP:1 目的の設定

DX推進には、明確な目的の設定が必要不可欠です。
どのようなシステムを導入しなくてはいけないのか、システムをどう使うのか、それは目指すべき目的によって異なるためです。

目的設定のためには、業界における自社の立ち位置や置かれている状況などを把握する必要があります。
DX化の成功事例も参考資料として研究しつつ自社ならでは目的を設定することで、DX化を効果的に進めていくことができます。

5-2.STEP:2 企業全体で共有

DX推進には、企業全体で計画と目的を共有する必要があります。
実際に作業にあたる社員がDX推進に意欲的になっていても、経営層の理解が十分でなければ、DX化が遅れてしまう可能性もゼロではないためです。
まずは自社で話し合いを重ねて方向性と計画を固め、経営層と社員でDX化に対する認識を共有しましょう。

5-3.STEP:3 組織の構築と環境の整備

DX化実現のためには、組織の構築と環境の整備もしっかり行う必要があります。
DX化すると、必要となる役割や作業内容が変わるため、組織そのものを再構築しなければならないケースも出てきます。
また、DX化を実現するためには専用の機材を導入するなどの環境整備も欠かせません。

組織の構築や環境の整備には、時間も手間もかかります。
短期戦ではなく、中長期的な視点からDX推進を図る必要があるため、専門家を交えながら1つずつ着実に進めていくことが大切です。

5-4.STEP:4 定期的な効果の測定と計画の見直しを繰り返す

DX化においては、最初から想定していた成果が得られるケースは多くありません。
DX技術は即効性のあるもの、時間の経過とともに効果が現れるものがあるためです。
しっかりとした成果を得るためには、定期的な効果の測定と計画の見直しを繰り返すことが大切です。

6.DX化を成功させるポイント

DX化は、誰でも簡単に成功できるものではありません。
ここからは、DX化を成功へ導くポイントについて解説していきます。

6-1.DX化推進による課題を洗い出す

DX化推進による課題を洗い出す作業は、時間をかけしっかりと行うようにしましょう。

費用や技術の面もさることながら、どの部門からDX化を進めていくのか、そこから想定されるトラブルや問題などを、現場の社員と経営層で意思疎通を図り進めていくことが大切です。

6-2.人材の確保と育成を進める

DX推進のための人材確保は、必須ポイントです。
DX化には、最新のデジタル技術やITに精通した人材を登用しなくてはなりません。
知識が乏しい人材ばかりの状態では、失敗する可能性が高くなってしまうため注意が必要です。
社内で適任者が見つからない場合は、外部から人材を確保することも視野に入れて動くと良いでしょう。

また、DXに精通した人材を登用している間に、社員の教育も並行して進めていく必要があります。
これから必要になる知識や技術を多くの社員に身につけてもらうことで、DX化実現後の運用もスムーズになります。
いくつかの部門で並行してDX化を進めていくのであれば、部門の垣根を越えて知識や技術を身につけていくことも大切です。

6-3.試験的にDX化が図れる部門で運用する

一気に会社全体をDX化するのではなく、段階的に運用していくことも重要なポイントです。
DX化の過程でトラブルが発生するリスクをふまえ、影響を受ける範囲が小さな部門から運用を始めるのがいいでしょう。
影響を受ける範囲が小さな部門なら、万が一損失を被るようなトラブルが発生してもリスクを最小限に抑えられるためです。
少しずつ運用を始めて課題を解決していくことで、大きなリスクを抱えることなくスムーズにDX化を実現しやすくなります。

7.DX推進ガイドラインの確認も重要!

経済産業省のDX推進の度合いや段階を示した「DX推進ガイドライン」も、DX推進において欠かせない資料の1つです。
DX推進をするにあたり、どのように考えたらよいか、組織作りの方法や人材の育成方法などが細かく解説されています。
DX推進で成功を収めた企業の事例なども紹介されているため、ぜひ目を通しておきましょう。
中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き

8.DX化を進めやすいものとは?

たとえば、電話業務やメール業務などはDX化が進めやすい分野です。
自動音声による応答システムや会話の内容に応じて自動で電話を転送するシステムなどは多くの企業で実用化されているため、DX化の第一歩としては踏み出しやすいのではないでしょうか。
また、数名程度の担当者で導入から定着までを行える小さな分野から進めると、DX化はスムーズに進みます。

9.DX化に利用できる補助金

DX推進をするにあたり大きな課題になりやすいのが資金面ですが、補助金を活用すると自社の費用負担を軽減できる可能性があります。

・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
・ものづくり補助金
・事業再構築補助金
・地方自治体の補助金・助成金
・キャリアアップ助成金
・副業・兼業支援補助金

上記は、DX推進にあたって活用できる可能性がある補助金です。
補助金ごとに補助金額や補助率が異なるほか、申請するにはそれぞれで規定されている条件を満たしていなければなりません。
補助金の対象となる経費の範囲もそれぞれで異なるため、どの補助金が自社の取り組みに最適なのかを見極める必要があります。

補助金については、「【デジタル変革をスムーズに】プロ直伝!DXに使える補助金+αを簡単解説!」もご覧ください。

10.補助金を活用しながらDX化を進めよう!

既存のシステムに依存している日本において、2025年の崖は大きな課題とされています。
DX化を進めたくても資金繰りなどの問題がクリアできず、なかなか進められないという企業もたくさんあるでしょう。

資金面については、補助金を活用する方法も検討してみてはいかがでしょうか。
補助金を受けられば、DX化にかかる費用を大幅に抑えられる可能性があります。

補助金活用支援合同会社では、補助金に関するさまざまな相談を受け付けています。
DX化に関わるさまざまな補助金の情報もご提供していますので、ぜひご活用ください。

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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。