エステサロンの開業には、店舗の確保だけでなく、専用機器の購入や人材確保などさまざまな面で資金が必要です。
なにかと物入りなエステサロン開業時には、補助金や助成金を活用するのがおすすめ。
補助金や助成金を活用することにより、自己資金の出費を抑えての開業が可能になります。
今回は「エステサロンの開業」に活用できる補助金・助成金をプロが紹介します。
目次
1.エステサロンの開業に活用できる補助金・助成金の基礎知識
補助金・助成金を活用するためには「基礎知識」を頭に入れておくことが大切です。
受給するためには、以下の3つの基礎知識を押さえておきましょう。
・必須要件を満たしていること
・手続きは必ず期間内に完了すること
・審査や調査には積極的に協力すること
必須要件や申請期間は補助金・助成金ごとに異なり、公募が開始される際に「申請スケジュール」が公開されます。
最新の情報をいつでも取得できるように、「支援制度検索サイト」や「公式サイト」をチェックするようにしましょう。
2.補助金と助成金はどう違う?
補助金と助成金はどちらも公的な資金を財源として実施されている支援制度ですが、「実施機関」「目的」「給付額の規模」「採択審査」「公募期間」の5つに違いがあります。
補助金と助成金の違い | |||||
支援制度 | 主な実施機関 | 目的 | 給付額の規模 | 採択審査 | 公募期間 |
補助金 | ・経済産業省
・中小企業庁 ・地方自治体 など |
・新規事業支援
・地域振興 など公益につながる事業促進 |
数百万~数億円 | あり | 短い |
助成金 | ・厚生労働省 | ・雇用や労働環境などの改善 | 数十万~数百万円 | なし | 長い |
補助金は「事業を通じた政策促進」、助成金は「労働者ための環境整備」を支援する制度がベースです。
どちらの支援制度を活用するかは、自社で取り組む補助事業の目的に応じて選択しましょう。
3.エステサロンの開業に補助金・助成金を活用するときの注意点
エステサロンの開業に補助金・助成金を活用する際には、気を付けたい2つの注意点があります。
注意点②補助金・助成金の給付は「原則後払い」
ルールを守り、注意点に気を付けて使うことが「補助金・助成金の効果的な活用」につながります。
ここからは、それぞれの注意点について詳しく紹介します。
3-1.注意点①補助金・助成金は適正に使用すること
補助金・助成金は、公的な財源で予算編成が行われており、その予算金額内で実施されています。
そのため、受給要件や申請要件を満たし、それぞれの実施目的に沿った利用が大前提です。
・給付金の私的利用
・報告が義務付けられている「内容変更」「期間延長」の報告漏れ
・「事業報告」や「事業化状況報告」の未提出
・財産処分の制限など公募要領に定められる制限に違反した
上記のような違反が確認された場合には、懲役もしくは罰金またはその両方の罰則が科される可能性があります。
3-2.注意点②補助金・助成金の給付は「原則後払い」
補助金・助成金の給付は、補助事業を実施した後に給付金額が確定されるため「原則後払い」です。
制度内容や補助事業の内容により、おおよそ採択日から1年程度で支払われるケースが多くなっています。
そのため、補助事業の実施に必要な資金は、一度自社で全額負担しなければなりません。
これをふまえ、「事前に資金を用意しておく」か「融資」や「借入」などでの資金調達が必要です。
4.エステサロンの開業にかかる資金の目安は?
エステサロンの開業にかかる資金の目安は「開業スタイル」によって異なります。
・自宅サロン:20万~30万円
・マンションサロン:150万~200万円
・テナントサロン:300万~600万円
上記の資金にプラスして「内外装工事」や「消耗品・機材購入」「広告費」、従業員を雇う場合には「人件費」もかかります。
さらに、開業資金だけでなく「開業後の運転資金」も用意しなければならず、エステサロンをオープンするためには多くの資金が必要です。
補助金・助成金を活用することで、開業にかかる資金の自己負担額を軽減することにつながります。
5.エステサロンの開業に使える補助金4選!
ここからは「エステサロンの開業に使える補助金」を紹介します。
・【全国】IT導入補助金
・【東京都】港区「創業・スタートアップ支援事業補助金」
・【新潟県】村上市「創業応援事業」
ここで紹介する以外にも、日本全国ではさまざまな「エステサロンの開業に使える補助金」が実施されています。
自社の所在地域で実施されている補助金が知りたい方は、ぜひ合同会社SCSへご相談ください。
5-1.【全国】小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、全国の「商工会」「商工会議所」が実施している小規模事業者向けの補助金です。
インボイス制度や働き方改革への対応などに取り組む企業を支援し、生産性の向上・持続的発展を目的に行われています。
対象者 | 補助率・補助上限額 | 主な補助対象経費 | |
小規模事業者 | 2/3以内 | 50万円 | ・機械装置費
・広告費 ・ウェブサイト関連費 ・展示会出展等費 ・旅費 ・開発費 ・資料購入費 ・雑役務費 ・借料 ・設備処理費 ・委託・外注費 |
【参考│小規模事業者持続化補助金公式サイト「商工会」「商工会議所」】
セルフエステマシンの購入費も対象経費として取り扱うことができるのが、小規模事業者持続化補助金の特徴です。
2024年10月現在、予算額達成のため公募は休止していて、来年度の予算編成次第で「再開」または「終了」が予定されています。
5-2.【全国】IT導入補助金
独立行政法人「中小企業基盤機構」が実施する「ITツールの導入による生産性向上・業務効率化」を目的とした補助金です。
申請枠名 | 補助対象者 | 補助率・補助上限額 | 補助対象経費 | |
通常枠 | ・中小企業
・小規模事業者 |
1/2以内 | ・5万円以上150万円未満
・150万円以上450万円以下 |
・ソフトウェア購入費
・クラウド利用料 ・機能拡張 ・データ連携ツール ・セキュリティ対策ツール ・役務費 |
インボイス枠
(インボイス対応類型) |
・中小企業
・小規模事業者 |
・中小企業:3/4以内
・小規模:4/5 ・その他:2/3 |
企業規模により異なる
・50万円以下 ・50万円以下 ・50万円超~350万円以下 |
・インボイス対応ソフトウェア導入費
・機能拡張などのオプション ・役務費 ・ハードウェア購入費 |
インボイス枠
(電子取引類型) |
・中小企業
・小規模事業者 |
・中小企業・小規模:2/3以内
・その他:1/2以内 |
下限なし~350万円以下 | ・インボイス制度に対応した受発注ソフトのクラウド利用料 |
セキュリティ対策推進枠 | ・中小企業
・小規模事業者 |
1/2以内 | 5万円以上100万円以下 | ・セキュリティ対策ツール導入費用およびサービス利用料 |
複数社連携IT導入枠 | ・商工団体
・地域振興に取り組む団体 ・複数の中小企業・小規模事業者によるコンソーシアム |
※グループ構成員人数によって変動 | ・基盤導入費
・消費動向等分析経費 ・事務費 ・専門家費 |
【参考│IT導入補助金2024公式サイト】
電子システムの導入や公式サイトの作成費などを経費として扱うことができ、エステサロンの開業時だけでなく、その後の運営にも活用できるITツールの導入で活用が可能です。
5-3.【東京都】港区「創業・スタートアップ支援事業補助金」
東京都港区では、開業当初の経営が不安定な時期を支え、事業成長を後押しする「創業・スタートアップ支援事業補助金」を行っています。
対象者 | 補助率・補助上限額 | 主な補助対象経費 | |
・港区内で創業して2年未満の創業者
・港区内に事務所がある |
2/3 | 250万円 | ・賃借料
・設備費 ・広報費 ・ホームページ作成費 |
【参考│【東京都】港区「創業・スタートアップ支援事業補助金」公式サイト】
この補助金では、資金的な支援だけでなく「商工相談員による創業計画書作成支援」を受けることができます。
相談は「面談形式」で3回程度行われ、自社にあった創業計画書の作成が可能です。
5-4.【新潟県】村上市「創業応援事業」
「創業応援事業」は、 新潟県村上市内への創業支援を行うことで、市内産業の活性化を図る補助金です。
対象者 | 補助率・補助上限額 | 主な補助対象経費 | |
市内に事務所を設置して創業する個人または会社 | 1/2
※市内に本店のある事業者に発注した経費は2/3以内 |
50万円 | ・施設改修費
・設備購入費 ・借上料 ・委託費 ・広告費 など |
この補助金では「重点分野」として「空き家・空き店舗を使った店舗の増設」「U・Iターンによる創業」で補助上限額の加算が行われます。
6.エステサロンの開業や運営で使える助成金4選!
エステサロンの開業やその後の運営に活用できる助成金4選を紹介します。
・人材開発支援助成金
・両立支援等助成金
・【東京都】働き方改革推進支援助成金
なお、助成金は「従業員の雇用・労働環境整備」を目的として実施されているため、事業主1人で運営する「1人エステ」では利用できません。
6-1.キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、企業内でのキャリアアップ促進、従業員の意欲や能力の向上を通じた「事業生産性の向上」を目的に実施されている助成金です。
支援コース名 | 対象者 | 助成金額※中小企業例 |
正社員化コース | 以下のすべてに該当
・雇用保険適用事業所の事業主 ・キャリアアップ管理者をおいている事業主 ・キャリアアップ計画の受給認定を受けた事業主 |
・有期雇用者:80万円
・無期雇用者:40万円 |
賃金規定等改定コース | 賃金引上げ率
・3%以上5%未満:5万円 ・5%以上:6万5千円 |
|
賃金規定等共通コース | 60万円 | |
賞与・退職金制度導入コース | ・賞与、退職金いずれかを導入:40万円
・賞与、退職金同時導入:56万8千円 |
|
社会保険適用時処遇改善コース | ・手当等支給:40万円
・労働時間延長:30万円 |
労働環境を改善することで「人材の定着」「従業員の能力向上」につなげることが期待できる助成金です。
キャリアアップ助成金については以下の記事でも紹介しています。
【合同会社SCS│キャリアアップ助成金で拡充された2つのコースとは?【わかりやすく解説】】
6-2.人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、雇用する従業員に専門的な知識や技能を習得させるための訓練費を助成する支援制度です。
支援コース名 | 対象者 | 助成金額 |
人材育成支援コース | ・事業主
・事業主団体 など |
・賃金助成:760円(1時間あたり)
・経費助成率:45%~70.% ※補助事業により異なる |
教育訓練休暇等付与コース | ・事業主 | ・経費助成:30万円
※賃金要件を満たす場合:36万円 |
人への投資促進コース | ・事業主 | ・賃金助成:760~960円(1時間あたり)
※補助事業により異なる ・経費助成率:45%~75% ※補助事業により異なる |
事業展開等リスキリング支援コース | ・事業主 | ・賃金助成:960円(1時間あたり)
・経費助成率:75% |
【参考│人材開発支援助成金公式サイト・人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内】
雇用環境の管理や改善を行うことで、「離職率低下への取り組み」「事業化制度の整備への取り組み」など、さまざまな「労働環境整備」に活用できる助成金です。
6-3.両立支援等助成金
両立支援等助成金は、家庭と仕事の両立支援を行うことで「誰もが働きやすい社会づくり」を目的に実施されている助成金です。
支援コース名 | 対象者 | 助成金額 |
出産時両立支援コース | 中小企業者 | 1人目:20万円
2人目・3人目:10万円 |
介護離職防止支援コース | ・休業取得:30万円
・職場復帰時:30万円 ・介護両立支援制度:30万円 |
|
育児休業等支援コース | ・育休取得時:30万円
・職場復帰時:30万円 |
|
育児休業等業務代替支援コース | 補助事業により異なる | |
柔軟な働き方選択制度等支援コース | 導入した制度に数により以下の通り
・制度2つ導入:20万円 ・制度3つ以上導入:25万円 |
|
不妊治療両立支援コース | ・環境整備、休暇取得:30万円
・長期休暇の加算:30万円 |
【参考│事業主の方へ給付金のご案内・両立支援等助成金「支給申請の手引き」】
従業員が働きやすい職場環境を作ることで「人材の定着」に期待できる助成金です。
以下のページでも詳しく紹介しています。
【合同会社SCS│両立支援等助成金とは?概要から申請方法までを徹底解説!】
6-4.【東京都】働き方改革推進支援助成金
東京都が行う「働き方改革推進支援助成金」は、生産性の向上を目指しながら労働時間の縮減などに取り組む事業主を支援する助成金です。
支援コース名 | 対象者 | 助成金額 |
業種別課題対応コース | 支給要領に定める要件をすべて満たす中小企業事業主 | 以下いずれか低い額
・成果目標1から6の上限額および賃金加算額の合計 ・対象経費の合計額×補助率3/4 |
労働時間短縮・年休促進支援コース | 以下のいずれか低い額
・成果目標1から3の上限額および賃金加算額の合計 ・対象経費の合計額×補助率3/4 |
|
勤務間インターバル導入コース | ・対象経費の合計額×補助率3/4 | |
団体推進コース | ・事業主団体
・共同事業主 |
以下いずれか低い額
・対象経費の合計額 ・総事業費から収入額を控除した額 ・上限額500万円 |
【参考│厚生労働省:労働時間等の設定の改善】
政府の進める「働き方改革」へ積極的に取り組む企業を支援する助成金で、働き方改革のために自社が不足している部分への対応や休暇取得のしやすい環境作りに活用できる助成金です。
エステサロンにおける美容機器や痩身機器、光脱毛機器の購入については別途注意事項が定められているので、申請前に確認しましょう。
7.エステサロンの開業に使える補助金・助成金の主な申請の流れ
補助金・助成金は、それぞれで申請方法が異なります。
ここからは、主な申請の流れを支援制度別にわかりやすく紹介します。
7-1.エステサロンの開業に使える補助金の主な申請の流れ
補助金の申請は、主に「郵送」または、電子申請申請システムを利用した「オンライン申請」で行います。
郵送の場合には、消印日が指定されていることがあるため、公式サイトの情報をしっかり確認しましょう。
1.事業計画や申請に必要な書類の準備
2.公募期間内に郵送またはオンライン申請
3.採択審査
4.採択結果通知
5.交付申請
6.交付決定
7.補助事業の実施
8.中間報告※補助金によって異なる
9.事業完了
10.事業実績などの報告
11.補助金額の決定・受給
12.事業化状況の定期報告
補助金によっては、上記の流れと異なるスケジュールで公募が行われることがあります。
申請前に「公式サイト」で公開されているスケジュールを確認し、どんな流れで申請を行えばよいか確認しておきましょう。
7-2.エステサロンの開業に使える助成金の主な申請の流れ
助成金の申請は「郵送」「持参」または、電子申請システムを利用した「オンライン申請」で行います。
持参の場合には、事前予約が必要な場合もあるので、助成金の公式サイトまたは支給要件を確認しましょう。
1.申請する助成金を選定
2.実施計画(補助事業)の策定
3.実施計画届を労働局長へ提出し、認定を受ける
4.実施計画に基づく事業の実施
5.助成金の申請
6.助成金の支給
助成金には採択審査がないため、実施計画届の認定を受けてすぐに補助事業を開始できます。
また、厚生労働省の公式サイトでは、申請に役立つ資料や役立つマニュアルが公開されているので、こちらもあわせて活用しましょう。
8.エステサロンの開業に使える補助金・助成金の探し方
補助金・助成金は、各省庁や地方自治体の公式サイトで最新情報が確認できるほか、「所在地」「利用目的」などを絞って探すことができる「検索サイト」で探すことができます。
サイト名 | サイト概要 |
J-Net21 | 中小企業向けの経営課題解決をサポートする情報ポータルサイト
・補助金などの支援情報 ・イベント、セミナーの開催情報 ・起業や創業に役立つマニュアル などさまざまな情報の入手先として役立つ |
補助金ポータル | 国から発表される補助金・助成金の情報を企業へ届けるためのサイト
・補助金情報検索 ・補助金・助成金に役立つコラム ・専門家マッチング などのサービスを利用できる |
スマート補助金 | 累計掲載数が日本最大級の補助金・助成金のポータルサイト
・補助金、助成金検索 ・専門家への依頼 ・セルフ補助金受給診断 などを利用でき、販売戦略の検討サポートを受けられる |
助成金なう | 各省庁や地方自治体、財団法人が実施する助成金情報が掲載されているサイト
・助成金検索 のほか、有料会員限定サービスとして専門家への相談やセミナー動画などの役立つサービスを受けられる |
また、自社にあった補助金・助成金が知りたい方や、上手な活用術が知りたい方は、プロに相談するのもおすすめです。
専門家名 | 専門家概要 |
社会保険労務士 | 社会保険や労務の専門家
雇用や労働環境の改善に活用できる助成金の代理申請ができる士業 |
商工会・商工会議所 | 経営改善や地域活性を支援する団体
地域に根差した活動をメインに行っており、補助金申請だけでなく経営相談も可能 |
中小企業診断士 | 経済産業省が認定したプロの経営コンサルタント
幅広い知識と経験を生かした事業計画書を作成する専門家として申請相談が可能 |
補助金コンサルタント | 補助金申請のプロ
補助金受給に関する助言や資料作成などのサポートを得意とする |
合同会社SCSでも、補助金のプロである「補助金コンサルタント」が、補助金活用に関する相談を受け付けています。
補助金の活用を検討しているなら、ぜひ当社へお問い合わせください。
9.エステサロンの開業に補助金・助成金を活用するなら合同会社SCSにお任せ!
エステサロンの開業には、一般的に20万〜600万円ほどの開業資金が必要となります。
まとまった資金が必要になる開業時こそ、店舗の賃料や機器の購入費、ITツールの導入など「補助金・助成金」で賄える部分は、支援制度を積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
合同会社SCSでは、開業時だけでなく、開業後の資金調達や企業の成長に役立つ支援制度の提案が可能です。
支援制度の選定から補助事業完了後の事業化状況報告までを一貫してサポートしておりますので、はじめて申請する方にも安心して事業に取り組んでいただけます。
補助金や助成金などの支援制度を活用するなら、合同会社SCSへぜひご連絡ください。
補助金・助成金などのご相談はこちらからどうぞ!
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