【2022年度】起業時に使える助成金・補助金10選|特徴・メリット&注意点も!

起業時に使える助成金・補助金10選|特徴やメリット、 注意点もわかりやすく解説!

起業においてまず必要になるのが、会社設立のための費用開業・運転資金などの元手となるお金です。
自己資金が少ないと、売上を安定させるまでの資金繰りが厳しくなってしまうなど、常に不安と隣り合わせの状態が続いてしまう可能性もあります。
こうした起業時に強力なサポートの1つとなるのが、国や地方自治体による「助成金」や「補助金」の活用です。

この記事では、自己資金が少なく不安を抱えている方に向けて、起業時に利用可能な助成金や補助金について、解説していきます。

1.まずは助成金について知ろう

そもそも「助成金」や「補助金」とは、どういったものなのでしょうか。
まずは、助成金と補助金の役割やそれぞれの違いなどについて、解説します。

起業時に役立つ助成金や補助金の知識を、一緒に学んでいきましょう。

1-1. 助成金とは?

助成金は、法人や個人事業主を支援するため、国や地方自治体から支給されるお金のこと。
金融機関などから資金を借り入れる融資とは異なり、原則として返済の必要がないことがメリットです。
一定の要件を満たせば、ある程度のまとまった額の助成を無償で受けられることから、起業や開業などには有効な財源となります。
そのため、非常に人気が高いことが特徴です。

1-2. 助成金と補助金の違いとは?

助成金と補助金では、受給までのハードルの高さが違います。
まず、助成金と補助金の受給までの流れを見てみましょう。

助成金の受給までの流れ

  1. 実施計画の作成
  2. 申請
  3. 計画の実施
  4. 支給申請
  5. 助成金の支給(受給)

補助金の受給までの流れ

  1. 事業計画書の作成
  2. 申請
  3. 審査
  4. 採択・交付決定
  5. 事業実施
  6. 実績報告
  7. 確定検査・補助額の確定
  8. 請求
  9. 補助金の交付(受給)

上記の流れでもわかる通り、補助金の多くは審査があり、さらに条件を満たさないと採択されません。
支給条件も、補助金によってそれぞれ細かく設定されています。
それに比べ、助成金は下記の要件を満たしたうえで申請すれば、基本的に誰でも受給できます。

助成金を受給するための要件

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 支給のために必要な書類提出や実施調査などの審査に協力すること
  • 申請期間内に申請すること

そして、交付する目的や機関も助成金と補助金とでは異なります。

助成金

  • 目的:雇用や労働環境の改善への支援
  • 機関:厚生労働省や地方自治体

補助金

  • 目的:産業の育成や施策の推進など研究開発型の支援
  • 機関:経済産業省や地方自治体

また、交付される金額にも違いがあり、助成金は数十万円ほどに留まるものが多いのに対し、補助金では数百万〜数億円にのぼるものもあります。

ただし、原則として支払い完了後に入金されるという点は、助成金も補助金も同じです。

1-3. 助成金と給付金の違いとは?

給付金は、病気や被災などに対する国や地方自治体からの支援金です。
助成金や補助金のように、受給のために計画書を作成したり審査を受けたりする必要はなく、受給要件を満たしていれば、給付金ごとに決められている一定額が申請者または対象者全員に給付されます。
また、助成金と補助金は企業を対象とした支給が多いのに対し、給付金は個人を対象としたものが多くある点も特徴です。

2. 起業時に助成金や補助金を利用するメリット

起業するときに、助成金や補助金を申請するメリットを3つご紹介します。

2-1. 原則返済不要な資金である

助成金や補助金を利用する最大のメリットは、原則返済不要な資金であるということです。
なぜ返済しなくてよいのかというと、助成金は企業と従業員が負担している雇用保険料の一部から拠出されているものや国税・地方税が原資になっているものが多いからです。
資金繰りが大変になりがちな創業時に返済不要な資金を使えるというのは、とても強力な安心材料となるのではないでしょうか。

2-2. 第三者に相談できる

審査がある補助金の場合、フォローアップとして認定支援機関や金融機関などの第三者から事業計画の共同策定や事業化に関する意見をもらうことができます。
第三者からの客観的な意見を取り入れることで視野が広がり、より良い事業への発展へとつながるケースも少なくありません。

2-3. 融資を受けやすくなる

事業計画が認められ助成金や補助金を受給できるということは、国や地方自治体からあなたの事業計画が認められたという証となり、金融機関などからの信用を得やすくなります
金融機関などからの信用を得やすくなれば、以後融資が必要になった際に申請が通りやすくなることがメリットです。

3. 起業・開業時のおすすめ助成金・補助金10選

起業・開業時におすすめの助成金や補助金を、10選でご紹介します。

①キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、アルバイトやパートなどの有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者などといった非正規雇用労働者のキャリアアップを促進するための助成金です。

キャリアアップ助成金の助成上限額はコースによって異なります。
また、施策によっても支給額が細かく設定されているため、申請の際は募集要項をよく確認するようにしましょう。

  • 正社員化コース:1人あたり57万円(大企業 42万7,500円)
  • 障害者正社員化コース:1人あたり90万~120万円(大企業 67万5,000~90万円)
  • 賃金規定等改定コース:1人あたり28万5,000円(大企業 21万3,750円)
  • 賃金規定等共通化コース:57万円(大企業 42万7,500円)
  • 賞与・退職金制度導入コース:1事業所あたり:38万円(大企業 28万5,000円)
  • 短時間労働者労働時間延長コース:1人あたり:22万5,000円(大企業 16万9,000円)

参照:厚生労働省 キャリアアップ助成金

②人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、事業所内で職業能力における開発計画を立て、計画に沿って従業員に職業訓練を実施する事業主へ支給される助成金です。

対象コースは、下記8種類です。

  • 特定訓練コース
  • 一般訓練コース
  • 教育訓練休暇等付与コース
  • 特別育成訓練コース
  • 建設労働者認定訓練コース
  • 建設労働者技能実習コース
  • 障害者職業能力開発コース
  • 人への投資促進コース

主なコースの上限助成額は、下記の通りです。

  • 特定訓練コース:50万円(大企業 20万円)
  • 一般訓練コース:20万円

令和4年10月1日から制度が見直され、一部要件の変更や提出書類の簡略化や省略が行われました。

参照:厚生労働省 人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇等付与コース、特別育成訓練コース、人への投資促進コース)

③人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金は、従業員にとって魅力ある職場づくりを促進するための助成金です。
従業員が「働きたい」と思える雇用環境を積極的に創り出すことで、人材の確保や定着につなげることを目的としています。
具体的には、介護事業における介護福祉機器の導入や、若者および女性にとって働きやすい職場環境の導入などです。
これらの取り組みに対して、助成金が支給されます。

令和4年4月1日以降、新規受付を休止しているコースもあり、令和4年10月時点での対象コースは下記7種類です。
コースによって達成目標が定められており、目標達成によって支給される助成額や助成率が異なります。

  • 介護福祉機器助成コース:上限額 150万円
  • 中小企業団体助成コース:上限額 600~1,000万円(団体の規模に応じる)
  • 建設キャリアアップシステム等普及促進コース:助成率 2/3(中小建設事業主団体以外1/2)
  • 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野):助成率 2/3(中小建設事業主団体以外1/2)
  • 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野):助成率 2/3
  • 外国人労働者就労環境整備助成コース:上限額 57万円(助成率1/2)
  • テレワークコース:1企業あたり30%

施策により助成率が異なるコースや生産性向上などによる追加支給額がある場合もあります。

参照:厚生労働省 人材確保等支援助成金のご案内

④両立支援等助成金

両立支援等助成金は、従業員が働きながら育児や介護などを両立できるような制度を導入することで支給される助成金です。
女性だけでなく男性の育休も応援しており、育児や介護などで従業員が離職することがないような取り組みが求められます。

対象コースは、下記5種類です。

  • 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
  • 育児休業等支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 不妊治療両立支援コース
  • 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース

主なコースの上限助成額は、下記の通りです。

  • 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金):60万円
  • 育児休業等支援コース:47万5,000円
  • 介護離職防止支援コース:28万5,000円
  • 不妊治療両立支援コース:28万5,000円

参照:厚生労働省 事業主の方への給付金のご案内(両立支援等助成金)

⑤ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が実施する革新的な「サービス開発」「試作品の開発」「設備投資」などを支援する補助金です。

補助上限額は種類によって異なります。

  • 一般型:2,000万円(補助率:中小企業:1/2、小規模事業者:2/3)
  • グローバル展開型:3,000万円(補助率:中小企業:1/2、小規模事業者:2/3)
  • ビジネスモデル構築型:1億円(補助率10/10)

参照:ものづくり補助金総合サイト

⑥IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者、個人事業者が生産性向上に資するITツールを導入するうえで係る経費の一部を支援する補助金です。
日本ではまだあまり進んでいないデジタルフォーメーション(DX)を推進し、企業がPOSレジシステムや予約・顧客管理システムなどのITツールを積極的に導入することを目的としています。

補助上限額は対象となる枠によって異なります。

  • 通常枠:450万円(補助率1/2)
  • セキュリティ対策推進枠:100万円(補助率1/2)
  • デジタル化基盤導入類型:350万円(補助率3/4または2/3)

参照:IT導入補助金公式サイト

⑦小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、従業員が20名以下の小規模事業者を対象とした補助金です。
経営計画に従って実施する販路開拓や生産性向上などの取り組みに対して、最大200万円の補助金(補助率2/3)が受けられます。

参照:小規模事業者持続化補助金公式サイト

⑧事業再構築補助金

事業再構築補助金は、「新分野の事業を始める」「業種転換をおこなう」など事業再構築に意欲を持つ事業者を支援する補助金です。
ほかの補助金と比べて受給できる金額が大きく、グリーン成長枠では補助上限額が1.5億円にもなるなど、規模の大きなチャレンジもできます。

各枠の補助上限額は、下記の通りです。

  • 通常枠:8,000万円
  • 大規模賃金引上枠:1億円
  • 回復・再生応援枠:1,500万円
  • 最低賃金枠:1,500万円
  • グリーン成長枠:1.5億円
  • 緊急対策枠:4,000万円

補助率は企業規模や補助額によって異なるため、注意が必要です。

参照:事業再構築補助金公式サイト

⑨(東京都)創業助成事業

創業助成事業は、東京都で創業5年未満の方または都内で創業の予定をしている方が応募対象です。

助成対象経費は、賃借料や広告費、器具備品購入費、人件費など創業初期に必要となる資金で、助成限度額は300万円(助成率2/3以内)で下限額が100万円となっています。

創業助成事業では、助成対象期間終了後も東京都中小企業振興公社における継続的な支援や細やかなサポートを受けることができます。

参照:東京都産業労働局 東京都創業NET 創業助成金(東京都中小企業振興公社)

⑩(大阪府)大阪起業家グローイングアップ事業

大阪起業家グローイングアップ事業とは、大阪経済の持続的な成長を実現するため、大阪府内で起業したり新事業を展開しようとする事業家を支援する制度です。
事前に推薦機関による選抜と1次審査があり、1次審査を通過するとプレゼンテーションを経て優勝者と準優勝者が決まります。

優勝者には100万円(補助率1/2)、準優勝者には50万円(補助率1/2)が支給されます。

参照:大阪府公式サイト 大阪起業家グローイングアップ事業

4. 起業時に助成金や補助金を利用する際の注意点

助成金や補助金は、起業や開業時の資金をサポートする手段として、とても有効です。
しかし、利用する際には注意点もあるため、ここで確認しておきましょう。

4-1. 倍率が高い場合は申請が通らないこともある

人気が高い補助金では申請数も多く、競争倍率が高くなります。
この競争を勝ち抜いて審査に通るためには、しっかりとした事業計画書を作成することがとても大切です。
事業計画書には、起業に込める熱い想いを存分に盛り込むようにしましょう。

助成金の場合は、正式な受給かどうかが労働局によって厳しくチェックされます。
不正受給が発覚したり申請書類に不備があったりした場合は助成金を受給できなくなるため、申請の際は十分に注意しましょう。

4-2. 原則として支払い完了後に入金される

助成金、補助金ともに原則として「後払い」となっていて、審査を通過したからといってすぐに入金されるわけではありません。
そのため、自己資金ゼロで、創業時に必要な資金すべてを助成金や補助金だけでまかなうことはできなくなっています。
自己資金だけでは足りない場合には、助成金や補助金と融資をあわせて活用することも、念頭に置いておきましょう。

4-3. 提出書類の準備に時間と労力がかかる

助成金や補助金の申請には、事業計画書をはじめとして、たくさんの提出書類を準備する必要があります。
無事に審査を通過しても、補助対象経費となる支出にかかる証拠書類などを作成し提出しなければいけません。
書類作成に慣れていない場合、ましてや起業・開業時で色々なことを同時並行で行わなければいけない時には、この提出書類の準備は思いのほか時間と労力がかかってしまいます。

このようなケースでは、専門機関に相談し作成を手伝ってもらうことも1つの方法として検討しましょう。

補助金活用支援合同会社でも、申請書類作成についてのご相談を承っております。
ぜひお気軽にご連絡ください。

4-4. 起業のための資金すべてをまかなえるわけではない

助成金や補助金は、あくまでも「足りない分を補う」制度です。

起業に際しても、助成金や補助金だけに頼るのではなく、ある程度の自己資金の準備は必要です。
また、助成金や補助金は「原則として後払いである」という項目でも説明した通り、申請すればすぐに入金されるわけではありません。
起業や開業を考えている場合は、計画的に余裕のある資金準備をしておきましょう。

5. 起業時の補助金・助成金活用に悩んだら「補助金活用支援合同会社」にご相談を!

助成金、補助金にはたくさんの種類があります。
自社の事業にはどのような助成金や補助金が活用できるのか、それぞれの内容をじっくりと精査してみましょう。

自社の事業で活用できそうな助成金や補助金を見つけたら、各支援機関などへの相談を通じ、一度チェックしてみることをおすすめします。

「どれが自社に合っているのかわからない」「どれを活用すべきかわからない」などといった場合は、補助金活用支援合同会社にご相談ください。
いつでもあなたをサポートいたしますので、助成金や補助金を上手に活用して、起業時に良いスタートを切りましょう!

補助金・助成金などのご相談はこちらからどうぞ!
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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。