【令和4年度】キャリアアップ助成金|各種コースや申請方法を徹底解説

キャリアアップ助成金を活用しましょう!わかりやすく解説!
2022年度の公募は終了しました。

「限られた資金の中では、優秀な人材を確保することが難しい」「採用活動が思うように進まない」など、人材採用の壁が思いのほか高いこともあるでしょう。
そんなお悩みを抱える企業にオススメなのが「キャリアアップ助成金」です。
国から支給される助成金や補助金は、返済義務がないことが魅力。
キャリアアップ助成金をうまく活用することで、採用コストや教育コストを抑えることができます。

この記事では、「キャリアアップ助成金ってどんなもの?」「どうやって活用すればいいの?」「支給額はどのくらい?」など、キャリアアップ助成金についてもっと詳しく知りたいけれど、どのように調べればいいのかわからないという方に向けて、キャリアアップ助成金とはどういうものなのか、支給額や対象者、対象企業、申請するにはどうしたらいいのかなどについて、わかりやすく解説します。

1. キャリアアップ助成金とは?

キャリアアップ助成金とは、企業内において非正規雇用労働者のキャリアアップを促進させるために設けられている制度です。
非正規雇用労働者とは、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者など、いわゆる正社員以外の労働者を指します。

キャリアアップ助成金は、労働者の職務上の地位や賃金をはじめとする処遇の改善、雇用の安定を推進するためのものです。
人材不足の企業にとっては、自社の人材育成を強力に推進できます。
また、非正規雇用労働者の「この会社でさらにキャリアアップを図りたい!」というニーズにも応えることができ、双方にメリットがあるのが特徴です。
ただし、キャリアアップ助成金の特性上、雇用する際には、正規雇用ではなくパートタイマーやアルバイトなどの有期契約からスタートしないと受給対象とならない点に注意が必要です。

上記をふまえた上で、優秀な人材確保、従業員満足度の向上、事業の生産性向上など、会社の活性化をめざしましょう。

2. キャリアアップ助成金の7つのコース

キャリアアップ助成金の支給額は、対象となるコースや会社の規模などによって異なり、一律ではありません。
なお、中小企業の方が大企業よりも多く支給されるのが特徴です。
具体的な中小企業の範囲は、こちらをご参照ください。

キャリアアップ助成金は、令和4年4月1日に制度の改定が行われ、下記7つのコースとなりました。

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  • 短時間労働者労働時間延長コース

それぞれのコースについて、詳しく見ていきましょう。

2-1. 正社員化コース

正社員化コースでは、就業規則などに規定した制度に基づいて、有期契約労働者等を正社員(正規雇用労働者等)に転換または正社員として直接雇用した場合に助成金が支給されます。

正社員化コースには、昨年度まであった要件が一部廃止されるなど、令和4年4月以降からの変更点がいくつかあります。

  1. 有期雇用労働者から無期雇用労働者への転換の助成を廃止
    ⇒有期→無期への転換で1人あたり285,000円が支給されていましたが、廃止されました
  2. 正社員定義の変更(令和4年10月1日以降の正社員転換に適用)
    ⇒【「賞与または退職金制度」かつ「昇給」のある正社員】への転換が必要となりました。
  3. 非正規雇用労働者定義の変更(令和4年10月1日以降の正社員転換に適用)
    ⇒【「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」が適用されている非正規雇用労働者の正社員転換】が必要となりました。
    具体的には、正社員の場合は「月給」、有期雇用労働者の場合は「時給」など、就業規則に明確な違いがわかるような形での定義・記載が必要となります。

支給額

正社員化コースの支給額は、下記の通りです。

【中小企業】
①有期→正規  1人あたり570,000円<720,000円>
②無期→正規  1人あたり285,000円<360,000円>

【大企業】
①有期→正規  1人あたり427,500円<540,000円>
②無期→正規  1人あたり213,750円<270,000円>

※<>は生産性の向上が認められる場合の支給額

1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は、上記①、②を合わせて20人までです。

加算措置

正社員化コースの加算措置はいくつかあるため、詳しくはこちらをご参照いただくか、補助金活用支援合同会社へご相談ください。

2-2. 障害者正社員化コース

障害者正社員化コースでは、障害のある有期雇用労働者の職場定着を図るために下記いずれかに該当する措置を継続的に行った場合に助成金が支給されます。

  • 有期雇用労働者を正社員(多様な正社員(※)を含む)または無期雇用労働者に転換
  • 無期雇用労働者を正社員に転換

※多様な正社員とは、職務、勤務地、労働時間を限定した正社員のことです。

障害者正社員化コースも正社員化コースと同様、令和4年10月1日以降に正社員転換を行う場合は、下記の通り支給要件が変更されます。

  1. 正社員定義の変更
    ⇒【「賞与または退職金制度」かつ「昇給」のある正社員】への転換が必要となりました。
  2. 非正規雇用労働者定義の変更
    ⇒【「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」が適用されている非正規雇用労働者の正社員転換】が必要となりました。

対象となる労働者

障害者正社員化コースの対象となる労働者は、下記の通りです。

  • 申請事業主に雇用される労働者
  • 転換を行った時点で次のいずれかに該当する労働者
    1. 身体障害者
    2. 知的障害者
    3. 精神障害者
    4. 発達障害者
    5. 難病患者
    6. 高次脳機能障害と診断された者
  • 就労継続支援A型事業における利用者でない

など

他にも対象となる要件がありますので、こちらをご参照ください。

支給額

※()は各支給対象期における支給額
【中小企業】
●重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者
①有期→正規  1人あたり1,200,000円(600,000円×2期)
②有期→無期  1人あたり600,000円(300,000円×2期)
③無期→正規  1人あたり600,000円(300,000円×2期)

●重度以外の身体障害者、重度以外の知的障害者、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された者
①有期→正規  1人あたり900,000円(450,000円×2期)
②有期→無期  1人あたり450,000円(225,000円×2期)
③無期→正規  1人あたり450,000円(225,000円×2期)

【大企業】
●重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者
①有期→正規  1人あたり900,000円(450,000円×2期)
②有期→無期  1人あたり450,000円(225,000円×2期)
③無期→正規  1人あたり450,000円(225,000円×2期)

●重度以外の身体障害者、重度以外の知的障害者、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された者
①有期→正規  1人あたり675,000円(335,000万円×2期 ※第2期支給額は340,000円)
②有期→無期  1人あたり330,000円(165,000円×2期)
③無期→正規  1人あたり330,000円(165,000円×2期)

障害者正社員化コースの支給対象期間は、1年間です。
支給対象期間1年間のうち、最初の6か月を第1期、次の6か月を第2期とし、2回に分けて支給されます。
例えば、有期雇用労働者を正社員に転換した場合は、下記のような支給方法になります。
●600,000円×2期=1,200,000円

2-3. 賃金規定等改定コース

賃金規定等改定コースでは、すべてまたは一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定などを2%以上増額改定し、昇給させた場合に助成金が支給されます。

支給額

賃金規定等改定コースでは、対象労働者数により支給額が異なります。

【中小企業】
①1~5人  1人あたり32,000円<40,000円>
②6人以上  1人あたり28,500円<36,000円>

【大企業】
①1~5人  1人あたり21,000円<26,250円>
②6人以上  1人あたり19,000円<24,000円>

※<>は生産性の向上が認められる場合の支給額

申請人数は1年度1事業所あたり100人まで、申請回数は1年度1回のみとなります。

加算措置

加算措置については、こちらをご参照ください。

2-4. 賃金規定等共通化コース

賃金規定等共通化コースでは、労働協約または就業規則の定めるところにより、有期契約労働者等に関して、正社員と共通の職務に応じた賃金規定などを新たに作成し、適用した場合に助成金が支給されます。

支給額

賃金規定等共通化コースの支給額は、下記の通りです。

【中小企業】
1事業所あたり  570,000円<720,000円>

【大企業】
1事業所あたり  427,500円<540,000円>

※<>は生産性の向上が認められる場合の支給額

申請できるのは、1事業者あたり1回のみです。

加算措置の廃止

令和4年4月以降からの変更点として、2人目以降の対象労働者に係る加算が廃止されました。

2-5. 賞与・退職金制度導入コース

賞与・退職金制度導入コースでは、有期雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を導入し、支給または積立てを実施した場合に助成金が支給されます。
なお、賞与・退職金に関して、正社員と同額または同一の算定方法である必要はなく、非正規雇用労働者に対する「賞与」と「退職金」の制度新設のみで助成可能となります。

支給額

賞与・退職金制度導入コースの支給額は、下記の通りです。

【中小企業】
1事業所あたり  380,000円<480,000円>

【大企業】
1事業所あたり  285,000円<360,000円>

※<>は生産性の向上が認められる場合の支給額

申請できるのは、1事業者あたり1回のみです。

加算措置

「賞与」と「退職金」を同時に導入した場合には、下記の支給額が加算されます。

【中小企業】
1事業所あたり  160,000円<192,000円>

【大企業】
1事業所あたり  120,000円<144,000円>

ただし、賃金規定等共通化コース同様、2人目以降の対象労働者に係る加算は廃止されました。

2-6. 選択的適用拡大導入時処遇改善コース

※本コースは、令和4年9月30日で廃止されます。
非正規雇用労働者に社会保険のニーズ把握などの取り組みを行い、非正規雇用労働者を新たに社会保険の被保険者とした場合に助成金が支給されます。

支給額

選択的適用拡大導入時処遇改善コースの支給額は、下記の通りです。

【中小企業】
1事業所あたり  190,000円<240,000円>

【大企業】
1事業所あたり  142,500円<180,000円>

※<>は生産性の向上が認められる場合の支給額

申請できるのは、1事業者あたり1回のみです。

加算措置

加算措置については、こちらをご参照ください。

2-7. 短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者労働時間延長コースでは、短時間労働者の週所定労働時間を延長するとともに、処遇の改善を図り、新たに社会保険の被保険者とした場合に助成金が支給されます。

支給額

短時間労働者労働時間延長コースの支給要件は、下記の2通りあります。

短時間労働者の週所定労働時間を3時間以上延長し、新たに社会保険を適用した場合
【中小企業】
1事業所あたり  225,000円<284,000円>

【大企業】
1事業所あたり  169,000円<213,000円>

労働者の手取りが減少しないよう週所定労働時間を延長したうえで基本給を昇給し、新たに社会保険を適用させた場合
【中小企業】
1時間以上2時間未満:1人あたり 55,000円<70,000円>
2時間以上3時間未満:1人あたり 110,000円<140,000円>

【大企業】
1時間以上2時間未満:1人あたり 41,000円<52,000円>
2時間以上3時間未満:1人あたり 83,000円<105,000円>

※<>は生産性の向上が認められる場合の支給額

1年度1事業所あたりの支給申請上限人数は、45人です。
※令和6年9月30日までの間は、上限人数が緩和されています。

上記以外にもいくつか細かい要件がありますので、詳しくはこちらをご参照いただくか、補助金活用支援合同会社へご相談ください。

3. 【全コース共通】キャリアアップ助成金の対象となる事業主

キャリアアップ助成金の対象となる事業主について、ご紹介します。

3-1. 対象となる事業主

キャリアアップ助成金の全コース共通の受給要件として、次の5点を満たす必要があります。

  1. 雇用保険適用事業所の事業主であること
  2. 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
    ※キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできません。
  3. 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
    ※「キャリアアップ計画書」は、取り組み実施日の前日までに提出していることが必要です。
  4. 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況などを明らかにする書類を整備している事業主であること
  5. キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

3-2. 対象外となる事業主

下記のいずれかに該当する事業主は、キャリアアップ助成金を受給することができません。

  • 支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主
  • 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
  • 性風俗関連営業、接待をともなう飲食等営業、またはこれらの営業の一部を受託営業する事業主
  • 暴力団と関わりのある事業主
  • 暴力主義的破壊活動を行った、または行う恐れがある団体などに属している事業主
  • 支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主
  • 支給決定時に、雇用保険適用事業所の事業主でない事業主
    ※雇用保険被保険者数が0人の場合や事業所が廃止されている場合
    ※吸収合併などによる統廃合や雇用保険の非該当承認を受けている場合

4. キャリアアップ助成金受給までの流れ

キャリアアップ助成金の申請から受給には、「正社員化コース」と「正社員化コース以外」の2パターンがあります。

キャリアアップ助成金の申請には、事前に「キャリアアップ計画」の作成・提出が必要です。
この「キャリアアップ計画」は、非正規雇用労働者を正社員に転換、または直接雇用とするする前日までに提出するようにしてください。
提出後、申請手続きを経て、助成金の受給となります。

申請書類は、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできます。

では、それぞれの受給までの流れを見ていきましょう。

4-1. 正社員化コースの場合

キャリアアップ助成金の「正社員化コース」の手続きは、下記の通りです。

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 就業規則などの改定を実施
  3. 就業規則などに基づく、正社員や直接雇用への転換
  4. 転換後6か月の賃金支払い
  5. 支給申請

参照:キャリアアップ助成金 支給申請までの流れ

4-2. 正社員化コース以外の場合

キャリアアップ助成金の「正社員化コース以外」の申請方法を紹介します。

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 取り組みの実施
  3. 取り組み後6か月の賃金支払い
  4. 支給申請

手続きの流れはどのコースもほぼ同じですが、コースごとに提出する書類に違いがあります。
申請するコースに合わせて、書類をご準備ください。
申請書類についてよくわからないという方は、補助金活用支援合同会社へご相談ください。

参照:キャリアアップ助成金 支給申請までの流れ

5. 従業員のやる気アップに助成金を上手に活用!補助金活用支援合同会社におまかせ!

従業員にとって働きやすい環境を整え、キャリアアップをサポートしてくれる「キャリアアップ助成金」は、企業・労働者ともにメリットのある助成金です。

従業員のモチベーションが上がると、「仕事の質や生産性がアップする」「離職率が低くなる」など、メリットが多数あります。
優秀な人材を育成、確保していきたいなど、非正規雇用労働者の処遇の見直しや改善を検討されているのであれば、キャリアアップ助成金を活用してみてはいかがでしょうか。

キャリアアップ助成金を申請した際、提出書類や作成した就業規則などに不備があると申請が却下されるケースがあるので、プロの手を借りて手続きをするのもオススメです。
効率的に申請手続きを進めたい方は、補助金活用支援合同会社の「補助金申請サポート」にぜひ一度ご相談ください

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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。