小学校や保育所が突然休校・休園になったりコロナに感染したりすると、子どもが急遽在宅になり、保護者は看病やお世話のために仕事を休まざるを得ない状況になることがあります。
そうなれば収入が減ってしまい、経済的な面で不安を感じる人も少なくありません。
そんな労働者のために、助成金を上手に利用してお休みを取得させてあげたい、そう思っている事業主の方も多くいることでしょう。
国では、そんな労働者のために、「小学校休業等対応助成金」という助成金で支援を行っています。
本記事では、対象期間が11月まで延長された「小学校休業等対応助成金」について、わかりやすく解説します。
目次
1.小学校休業等対応助成金とは?【個人申請でも対応】
小学校休業等対応助成金とは、新型コロナウイルスの影響で学校や保育所などが臨時休校したことで在宅する子供の世話のために、保護者が休暇を取得した分の賃金を支援する国の助成金制度です。
臨時休校など以外でも、ワクチンの副反応が出た子どもの看病も対象となります。
この助成金では、助成対象となる休暇日数に対しての賃金相当額を、企業の事業主へ支給します。
支給に際して、事業主の負担は一切ありません。
基本的には事業主が国に申請する制度で、以前は事業主による事前休業確認が申請要件でした。
しかし、労働局からの助成金の活用の働きかけに事業主が応じない場合を考慮し、労働者である保護者からの個人申請の受け付けも可能になりました。
2.小学校休業等対応助成金の助成対象
小学校休業等対応助成金の助成対象について、「どんな子どもが小学校などを休む必要があるのか?」「小学校などに該当する教育施設とは?」「臨時休業に該当するのはどのようなケースなのか?」などについて、見ていきましょう。
2-1.小学校などを休む必要がある子どもとは?
下記のような状態の子どもは、小学校や保育所を休む必要があるとされています。
- 新型コロナウイルス感染症に関する対応として、ガイドラインなどに基づき、臨時休業などをした小学校などに通う子ども
- 新型コロナウイルスに感染した、または感染のおそれがあり小学校などを休む必要のある子ども
- 医療的ケアが日常的に必要な子ども、または新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患などを有する子ども
2-2.小学校などとは?
小学校休業等対応助成金で定義されている「小学校など」とは、下記のような教育施設です。
- 小学校
- 義務教育学校の前期課程
- 幼稚園または小学校の課程に類する課程を置く各種学校
- 特別支援学校
- 不登校の児童をサポートする教育支援センター
- 不登校特例校
- 放課後児童クラブ
- 放課後等デイサービス
- 幼稚園、保育所、認定こども園
- 認可外保育施設、家庭的保育事業、子どもの一時的な預かりなどを行う事業、障害児の通所支援を行う施設など
ただし、障害を抱える子どもについては、「中学校」や「高等学校」も対象に含まれます。
詳しくは、こちらをご参照ください。
2-3.臨時休業などに該当するケースとは?
小学校休業等対応助成金において「臨時休業など」に該当するケースは、下記の場合です。
- 新型コロナウイルス感染症に関する対応として、小学校などが臨時休業した場合
- 自治体や放課後児童クラブ、保育所などから利用を控えるよう依頼があった場合
- 小学校など全体の休業ではなく、学年・学級単位の休業、オンライン授業、分散登校の場合
保護者の自主的な判断で休ませた場合は対象外となるので、注意しましょう。
その一方で、子どもの新型コロナワクチン接種の付き添いやその副反応時の休みも対象になります。
2-4.対象となる保護者とは?
小学校休業等対応助成金の対象となる保護者は、次の通りです。
- 親権者、未成年後見人、その他の者(里親、祖父母など)であって、子どもを現に監護する者
- 各事業主が有給休暇の対象とする場合は、子どもの世話を一時的に補助する親族
業種・職種を問わず、事業主に雇用されている労働者が対象となります。
2-5.対象となる有給休暇の範囲は?
小学校休業等対応助成金の対象となる有給休暇には、以下のようなものがあります。
2-5-1.臨時休校などで休む場合
小学校などが臨時休業などで、そこに通う子どもの保護者が仕事を休む場合は、下記が要件となります。
- 学校の場合:授業日
- 放課後児童クラブなどその他の施設の場合:本来施設が利用可能な日
日曜日や夏休みなどは助成対象外ですが、夏休み期間が延長された場合や新たに夏休みになった期間は助成対象です。
2-5-2.新型コロナウイルスに感染した子どもの看病のために休む場合
新型コロナウイルスに感染した子どもを看病するための休暇の対象は、下記の通りです。
- 授業日であるかどうかにかかわらず、新型コロナウイルスに感染した子どもの世話をするために休暇を取得した日
2-5-3.半日休暇や勤務時間短縮の場合
半日休暇や勤務時間短縮の場合、助成金の対象となるかどうかは下記のように決められています。
<対象となるもの>
- 半日休暇
- 時間単位の休暇
- 年次有給休暇や欠勤、勤務時間短縮を事後的に特別休暇に振り替えた場合※1
- 就業規則などに規定はないが、要件に該当する休暇を付与した場合※2
※1 事後的に特別休暇に振り替えることについて労働者本人に説明し、同意を得ることが必要です。
※2 可能であれば、休暇制度について就業規則や社内規定の整備を行うことが望ましいです。
<対象外となるもの>
- 勤務時間短縮
勤務時間短縮は、所定労働時間自体の短縮措置であり休暇とは異なるため助成対象外です。
3.小学校休業等対応助成金の支給額
小学校休業等対応助成金の支給額は、下記です。
対象労働者1人につき、日額換算賃金額×有給休暇の日数の合計額が支給されます。
4.小学校休業等対応助成金の上限額
小学校休業等対応助成金の上限額は、下記の通りです。
<令和4年3~9月分>
- 原則的な措置:9,000円
- 特例:15,000円
<令和4年10~11月分>
- 原則的な措置:8,355円
- 特例:12,000円
特例とは、緊急事態宣言の対象区域、または、まん延防止等重点措置を実施すべき区域に事業所のある事業主に向けた支給金額です。
5.小学校休業等対応助成金の支給申請の手続き
小学校休業等対応助成金の支給申請の手続きについて、見ていきましょう。
5-1.対象期間と申請期限
小学校休業等対応助成金の対象期間と申請期限は、下記の通りです。
- 令和4年4月1日~6月30日での休暇取得分:令和4年8月31日(水)【受付終了】
- 令和4年7月1日~9月30日での休暇取得分:令和4年11月30日(水)【必着】
ここで注意したいのが、申請期限が「必着」となっている点です。
消印が申請期間内であったとしても、申請書類が都道府県労働局へ到達した日が支給申請期間を過ぎていた場合、その申請は認められません。
令和3年8月1日~令和4年3月31日までの休暇に係る申請受付はすでに終了していますが、やむを得ない理由があると認められる下記の場合のみ、令和4年12月28日まで申請することが可能です。
- 労働者からの「この助成金を自社に利用してもらいたい」などの相談に基づき、労働局が事業主への助成金活用の働きかけを行い、事業主がそれに応え申請を行う場合
- 労働者が相談の結果、労働局から助言を受けて労働者自らが事業主に働きかけ、事業主が申請を行う場合
5-2.申請に必要な書類
小学校休業等対応助成金を申請する際に必要な提出書類は、下記の通りです。
- 支給申請書:様式第1号①
- 支給申請書:様式第1号②
- 有給休暇取得確認書:様式第2号
- 休暇申出書、休暇取得が分かる出勤簿、タイムカード、休暇簿の写しなど
- 有給休暇を取得した月の賃金台帳、給与明細の写しなど
- 通常の賃金が確認できる賃金台帳、労働条件通知書など
- 雇用契約書、労働条件通知書、勤務シフト表、就業規則などの写し(所定労働日や所定労働時間が確認できる書類)
- 通帳のコピー、キャッシュカードのコピーなど(振込口座が確認できる書類)
- 労働保険関係成立届の事業主控、概算保険料申告書など
- 対象労働者の子にかかる小学校などからの臨時休業などのお知らせ(ない場合は様式第2号有給休暇取得確認書に臨時休業等期間を記入)
有給休暇を取得した期間や対象労働者によって申請様式が異なるため、申請したい期間に合わせて、厚生労働書の公式サイトから申請様式をダウンロードしてください。
5-3.申請書類の提出先
小学校休業等対応助成金の申請書類の提出先は、本社などの所在地を管轄する都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)です。
また、提出方法は「郵送」のみです。
6.助成金を上手に活用して急な事態を乗り越えよう!
子どもが通っている小学校や保育園が新型コロナウイルスの影響で臨時休業してしまうと、子どものお世話のために突然仕事を休まなくてはいけなくなることがあります。
これによって大切な有給を使い切り、さらに有給取得可能日数を超えて休む必要がある場合、減給となり生活に困ることもあるかもしれません。
避けようのない新型コロナウイルス関連の急な事態に際しては、今回ご紹介した「小学校休業等対応助成金」などを利用しながら生活を維持していきましょう。
企業側も大切な労働者の生活を守るため、助成金を上手に活用するのがおすすめです。
補助金活用支援合同会社では、助成金の活用方法や申請方法について、お問い合わせいただければわかりやすくサポートいたします。
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