製造業に役立つ補助金12選!│調べ方から申請方法までを詳しく紹介!

製造業に活用できる補助金とは?

製造業といえば、GDPのおよそ2割を占めるほどの日本経済の主要産業です。
しかし、少子高齢化による働き手の不足や、製造設備の自動化に遅れがあるなどの経営課題を抱えている製造業事業主も少なくありません。
経営課題を解決するために、新しい取り組みや事業を行うには資金が必要ですが、どうしたら資金を確保できるか悩んでいる方には、自己負担額を抑えることができる補助金の利用がおすすめです。

そこで今回は、プロが厳選した製造業が抱える経営課題に役立つ補助金12選を紹介します。

1.製造業の【設備投資】に役立つ補助金6選!

製造業に活用できる補助金

現在公募が休止されている「ものづくり補助金」のように、中小企業や小規模事業者が「設備投資」や「システム構築」などをする際に役立つ補助金6選を紹介します。

・【全国】IT導入補助金
・【全国】大規模成長投資補助金
・【長野県】岡谷市│岡谷市カーボンマネジメント支援事業補助金(令和6年度
・【東京都】令和6年度 LED照明等節電促進助成金
・【群馬県】高崎市│高崎市中小企業等機械設備導入支援助成金
・【愛知県】安城市│安城市ものづくりデジタル化推進事業補助金

1-1.【全国】IT導入補助金

IT導入補助金は、ITツールの導入による業務効率化・生産性向上を目指すときに役立つ補助金です。

申請枠名 補助対象者 補助率・補助上限額 補助対象経費
通常枠 ・中小企業

・小規模事業者

1/2以内 ・5万円以上150万円未満

・150万円以上450万円以下

・ソフトウェア購入費

・クラウド利用料

・機能拡張

・データ連携ツール

・セキュリティ対策ツール

・役務費

インボイス枠

(インボイス対応類型)

・中小企業

・小規模事業者

・中小企業:3/4以内

・小規模:4/5

・その他:2/3

・50万円以下

・50万円以下

・50万円超~350万円以下

※企業規模により異なる

・インボイス対応ソフトウェア導入費

・機能拡張などのオプション

・役務費

・ハードウェア購入費

インボイス枠

(電子取引類型)

・中小企業

・小規模事業者

・中小企業・小規模:2/3以内

・その他:1/2以内

下限なし~350万円以下 ・インボイス制度に対応した受発注ソフトのクラウド利用料
セキュリティ対策推進枠 ・中小企業

・小規模事業者

1/2以内 5万円以上100万円以下 ・セキュリティ対策ツール導入費用およびサービス利用料
複数社連携IT導入枠 ・商工団体

・地域振興に取り組む団体

・複数の中小企業・小規模事業者によるコンソーシアム

※グループ構成員人数によって変動 ・基盤導入費

・消費動向等分析経費

・事務費

・専門家費

【参考│IT導入補助金2024公式サイト

2024年公募回から、申請枠の見直し・補助対象ツールの変更が行われ、インボイス制度への対応に特化した「インボイス枠」が新設されました。
これにより、これからインボイス制度に対応しようと考えている企業や、取引先と連携してインボイス制度へ対応したい企業にとっても、より使い勝手の良い補助金になっています。

1-2.【全国】大規模成長投資補助金

中堅・中小企業の「持続的な賃上げ」を目的とした、省力化などの大規模成長投資を支援する補助金です。
工場・倉庫、販売拠点などの新築・増築や、省力化に効果のある設備の購入に利用できます。

補助対象者 補助率・補助上限 補助象経費
・中堅企業

・中小企業

1/3以内 50億円 ・建物費

・機械装置費

・ソフトウェア費

・外注費

・専門家費

【参考│大規模成長投資補助金公式サイト

2024年11月現在、新規受付は終了しています。
再開や終了など、今後の最新情報については公式サイトでご確認ください。

1-3.【長野県】岡谷市│岡谷市カーボンマネジメント支援事業補助金(令和6年度)

製造業者による、「温室効果ガスの排出管理・削減」に向けた取り組みを支援する補助金です。

補助対象者 補助率・補助上限 補助象経費
以下のいずれかに該当する中小企業・個人事業主

・国や県、民間事業者が行う省エネ診断を受けた

・長野県に事業活動温暖化対策計画を提出している

・自社の温室効果ガス排出量を把握している

・長野県SDGs推進企業登録制度に登録している

1/2以内 100万円 ・設備機器購入費

・運搬費

・据付工事費

・設計費

・委託費

・システム導入費

・クラウド利用料

・技術指導の受け入れにかかる費用

【参考│岡谷市カーボンマネジメント支援事業補助金公式サイト

新たに導入する設備が「中古品」や「リース・レンタル」の場合には、補助対象外経費として扱われるので注意しましょう。

1-4.【東京都】令和6年度 LED照明等節電促進助成金

東京都が行う、製造業を営む中小企業向けの助成金です。
企業の節電計画を策定し、計画に必要な設備を導入するときに支援を受けることができます。

助成対象者 助成率・助成上限額 助成対象経費
東京都内で製造業を営む中小企業・中小企業団体のうち、以下のいずれかを受けていること

・対象者要件に定める省エネ診断

・対象者要件に定める省エネコンサルティング

1/2以内 30万~1,500万円 ・LED照明機器

・デマンド監視装置

・進相コンデンサ

・インバータ

【参考│LED照明等節電促進助成金公式サイト

この補助金で「LED照明器具」を導入する場合には、新たな設置ではなく「既存の照明器具を交換する場合」のみが助成対象です。

1-5.【群馬県】高崎市│高崎市中小企業等機械設備導入支援助成金

製造業の、生産性向上や製品の付加価値化の推進を目的とした設備投資を支援する助成金です。
リース契約により、機械設備などの償却資産を導入する場合に利用できます。

助成対象者 助成上限額 助成対象となる契約
・高崎市内に本社を持ち事業を営む法人

・高崎市内に住所を持つ個人事業主

・市税の未納がないもの

リース料総額(税別)×2/3×2.2%×リース日数÷365日

※うるう年は366日で計算

・令和6年1月1日から12月31日までの間に開始となるリース契約

・リース料総額が2億円以下

・所有権がリース先に移転しない

・リース料支払期間に年4回以上の均等分割払いとなっている

・親会社など関連会社に準ずるものの契約でない

【参考│高崎市中小企業等機械設備導入支援助成金公式サイト

多くの補助金や助成金の補助対象外経費となる、「リース契約」を助成対象とした珍しいタイプの助成金です。
この助成金の申請を行うためには、商工振興課への事前申請が必要となります。

1-6.【愛知県】安城市│安城市ものづくりデジタル化推進事業補助金

安城市内の、製造業者のデジタル化促進を支援する補助金です。
機器導入やシステム構築による、「製造現場」のデジタル化に利用することができます。

補助対象者 補助率・補助上限 補助対象経費
・製造業に属する事業を営むもの

・安城市内に本店所在地または住所地を持つもの

1/2 1事業者につき100万円 ・機器購入費

・システム構築費

・機器の稼働または設置に必要な付属品購入費

・機器の設置や改修に必要な費用

【参考│安城市ものづくりデジタル化促進事業補助金公式サイト

申請には、「安城市がんばる中小企業応援事業補助金」に規定される「現場改善相談事業」の交付決定が必要です。

2.製造業の【人材育成】に役立つ補助金・助成金6選!

製造業で活用できる補助金

少子高齢化に伴う働き手の不足や、従業員の能力向上など「人材育成」に役立つ補助金・助成金6選を紹介します。

・【全国】人材確保等支援助成金
・【全国】キャリアアップ助成金
・【全国】早期再就職支援等助成金
・【全国】人材開発助成金
・【東京都】江戸川区│ものづくり人材育成支援事業助成金
・【神奈川県】横浜市│ものづくり魅力向上助成金

2-1.【全国】人材確保等支援助成金

魅力ある職場づくりや雇用の創出による、「人材確保・定着」を目的に実施している助成金です。
企業が行う取り組みごとに、6つの支援コースが用意されています。

支援コース名 支援対象となる取り組み 助成金額・経費助成率
雇用管理制度助成コース

※現在新規受付休止中

・雇用管理体制の改善

・離職率の低下

57万円
中小企業団体助成コース ・労働環境の向上 2/3
人材評価改善等助成コース ・賃金アップ

・離職率の低下

・人事評価制度の整備

80万円
建設キャリアアップシステム等普及促進コース ・雇用環境の整備

・技術の工場

・中小企業:2/3

・その他:1/2

若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野) ・雇用の安定

・従業員の能力開発

・中小建築事業主:3/5

・その他事業主:9/20

・中小建築事業主団体:2/3

・その他事業主団体:1/2

作業員宿舎等設置助成コース(建設分野) ・女性作業員用施設の設置 3/5
外国人労働者就労環境整備助成コース ・外国人労働者の職場定着 1/2(2/3)

※()は賃金要件を満たした場合

テレワークコース ・人材確保

・雇用管理の改善

機器等導入助成

・50%

目標達成助成

・15%

【参考│人材確保等支援助成金公式サイト

この助成金については、以下の記事でわかりやすく紹介しています。
【合同会社SCS│【プロが解説!】 人材確保等支援助成金とは?受給要件から申請方法までを紹介

2-2.【全国】キャリアアップ助成金

労働環境の改善や、雇用条件を見直すときに役立つ助成金です。
5つの支援コースが用意されており、自社の取り組みにあわせた支援コースを利用することができます。

支援コース名 支援対象となる取り組み 助成金額・経費助成率
正社員化コース ・非正規雇用労働者の正規雇用への転換 ・有期雇用から正規雇用

80万円

・無期雇用から正規雇用

40万円

賃金規定等改定コース ・非正規雇用労働者の処遇改善 ・賃上げ3%以上

5万円

・賃上げ5%以上

6.5万円

賃金規定等共通化コース ・非正規雇用者の処遇改善

・キャリアアップ支援

60万円
賞与・退職金制度導入コース ・賞与や退職金制度の導入 40万円
社会保険適用時処遇改善コース ・有期雇用労働者の新たな社会保険適用 ・中小企業:40万円

・大企業:30万円

【参考│キャリアアップ助成金公式サイト

2023年に制度の見直しが行われ、社会保険の適用拡大に伴い、新たに加入対象となる労働者に対して行う取り組みを支援する「社会保険適用時処遇改善コース」が新設されました。
106万円の収入の壁を意識せずに働くことができる職場づくりを重点支援しています。

そのほか、2023年に拡充された制度内容について知りたい方には、下記の記事がおすすめです。
【合同会社SCS│キャリアアップ助成金で拡充された2つのコースとは?【わかりやすく解説】

2-3.【全国】早期再就職支援等助成金

早期再就職支援等助成金は、再就職支援や中途採用の拡大に役立つ助成金です。
再就職援助計画などの対象者を離職後3か月以内に雇い入れ、継続して雇用することが確実である事業主を対象に助成を行っています。

支援コース名 支援対象となる取り組み 助成金額・経費助成率
再就職支援コース ・離職を余儀なくされた従業員への再就職支援 ・再就職支援

委託費用×1/2

・休暇付与

1日8,000円

・職業訓練実施支援

委託費用×3/4

雇い入れ支援コース ・支給対象要件に該当する従業員の雇い入れ ・早期雇い入れ

1人につき30万円

・人材育成支援

賃金助成:960円/時間

経費助成:10万~50万円

OJT実施助成:20万円

中途採用拡大コース ・中途採用の拡大

・雇用管理制度の整備

・中途採用拡大

50万円

・45歳以上の中途採用率拡大

100万円

UIJターンコース ・東京圏から地方への移住者採用 中小企業:1/2 100万円

中小企業以外:1/3 100万円

【参考│早期再就職支援等助成金公式サイト

少子高齢化に伴う、深刻な働き手不足の解消が期待できる助成金です。

詳しい内容は以下の記事でわかりやすく紹介しています。
【合同会社SCS│早期再就職支援等助成金とは?雇用拡大に活用できる助成金をわかりやすく紹介!

2-4.【全国】人材開発助成金

従業員に対して、専門知識や技能を習得させるために職業訓練などを行うときに役立つ助成金です。
訓練にかかる経費や、訓練中の賃金の一部などで助成を受けることができます。

支援コース名 支援対象となる取り組み 助成金額・経費助成率
人材育成支援コース ・人材育成訓練

・認定実習併用職業訓練

・有期実習型訓練

・賃金助成:760円(1時間あたり)

・経費助成率:45%~70.%

※補助事業により異なる

教育訓練休暇等付与コース ・要件を満たす教育訓練休暇制度の実施 ・経費助成:30万円
人への投資促進コース ・高度デジタル人材訓練

・成長分野等人材訓練

・情報技術分野認定実習併用職業訓練

・定額制訓練

・自発的職業能力開発訓練

・長期教育訓練休暇制度

・教育訓練短時間勤務等制度

・賃金助成:760~960円(1時間あたり)

・経費助成率:45%~75%

※補助事業により異なる

事業展開等リスキリング支援コース ・新たな分野で必要となる技術・知識の習得 ・賃金助成:960円(1時間あたり)

・経費助成率:75%

【参考│人材開発支援助成金公式サイト

2024年11月5日より、この助成金における「訓練経費の負担扱い」が明確化され、訓練の負担にかかる留意点が新たに公開されています。

2-5.【東京都】江戸川区│ものづくり人材育成支援事業助成金

江戸川区内における「ものづくり産業」の競争力強化、地域経済の活性化を目的に実施されている助成金です。
区内の製造業者が行う、「次代ものづくり産業を担う人材育成」を支援しています。

助成対象者 助成率・助成上限額 助成対象経費
江戸川区内で製造業を主として営む中小企業者 1/2

10万円

・講師謝礼

・会場使用料

・受講費

・教材費

・受験料

など

【参考│ものづくり人材育成支援事業助成金公式サイト
すでに、国や東京都から「ものづくり」「人材育成」などの支援を受けている場合でも利用できる助成金です。
ただし、支援を受けている場合には、補助額相当が助成金から差し引きされます。

2-6.【神奈川県】横浜市│ものづくり魅力向上助成金

横浜市内の中小製造業者に対する住民の理解促進や人材開発、ものづくりの魅力発信など工業地域が抱える課題の解決に役立つ助成金です。

助成対象者 助成率・助成上限額 助成対象経費
・横浜市内に1年以上事務所を置く中小製造業者3者以上

・一般社団法人横浜市工業会連合会会員地域

・一般社団法人横浜市工業会連合会横浜青年経営者会

1/2

20万円

・魅力発信 人材育成事業

報償費

旅費

消耗品費

印刷製本費

広告料

保険料

委託料

使用料および賃借料

・工業地域課題解決事業

設備設置費

購入費

外注・委託費

・その他必要であると認められた経費

【参考│ものづくり魅力向上助成金公式サイト

製造業が抱える課題の解決に利用できるだけでなく、地域の製造業同士での連携や活性化につながる取り組みにも利用できます。

3.製造業が補助金などの支援制度を利用するときに気を付けたいことは?

製造業で補助金を活用する際の注意点

補助金を活用する際の注意点については、下記記事をご参照ください。
【合同会社SCS|助成金には税金がかかる?|助成を受けた際の会計処理と確定申告について徹底解説!
【合同会社SCS|【補助金の申請】併用はできる?複数申請は?事例も紹介!
【合同会社SCS|公的助成金とは?自社の成長に役立てるために知っておきたい4つのポイント

4.製造業が補助金や助成金の申請・受給を受けるまでの流れ

製造業で補助金を活用する際の流れ

補助金申請の流れについては、こちらからご確認ください。
【合同会社SCS|補助金を知る

5.製造業に役立つ補助金の探し方

製造業で活用できる補助金の探し方

製造業に役立つ補助金は「支援制度検索サイト」で探すことができます。

【おすすめの支援制度検索サイト一覧 】
J-Net21
補助金ポータル
スマート補助金
助成金なう

地方自治体が独自で行う支援制度については上記サイトで探すことができますが、最新情報などを得たい場合には「地方自治体公式サイト」のチェックがおすすめです。
また、自社にあった補助金や助成金を有効活用したい方は「プロへの相談」を検討してみてもよいでしょう。

【おすすめの相談先一覧】
・商工会議所
・商工会
・税理士
・公認会計士
・社会保険労務士
・中小企業診断士
・補助金コンサルタント

合同会社SCSでも補助金のプロである「補助金コンサルタント」がみなさまからのご相談を随時受け付けております。
少しでも補助金活用に興味のある方はぜひお声がけください。

6.補助金を上手に活用して「製造業」の更なる成長を図ろう!

補助金を活用している製造業のスタッフ

高い技術力で「ものづくり大国」と呼ばれるまでになった日本ですが、少子高齢化による「働き手不足」や「物価高騰」による影響を受け、経営課題や問題を抱える企業も少なくありません。
そのような企業は、補助金や助成金などの支援制度を活用することで、自己負担額を抑えながら企業成長・課題解決に取り組むことが可能です。

より有効的に補助金を活用したい方、支援制度を利用して更なる企業成長を目指す方はぜひ合同会社SCSへご相談ください。

補助金・助成金などのご相談はこちらからどうぞ!
お問い合わせ
補助金・助成金無料診断
友だち追加

監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に合同会社SCSを設立し独立。

経営者の潜在的な要望を引き出し、事業拡大を実現する「コンサルティング型」によって、1年間で100件以上の補助金申請をサポートし、1憶5千万円以上の採択を実現。

最適な補助金の提案から受給まで、完全サポートしている。