東京しごと財団では、従業員の育業取得に積極的に取り組む企業を応援するための支援制度として「働くパパママ育業応援奨励金」をスタートしました。
「育業」とは、東京都が定めた「育児休業」の新しい愛称のことです。
これまでの愛称である「育休」に付きまとっていた「休む」というイメージを刷新するために、「こどもスマイルムーブメント」の一環として新しい愛称が決定されました。
「働くパパママ育業応援奨励金」は、育児休業を「育児という大きな仕事へ取り組む」という発想へ転換することで、男女問わず誰もが育児休業を取得しやすい社会の実現を目指しています。
今回は、従業員の育業取得に活用できる「働くパパママ育業応援奨励金」についてわかりやすく解説します。
目次
1.【東京都】働くパパママ育業応援奨励金の概要
働くパパママ育業応援奨励金は、公益財団法人東京しごと財団が実施している奨励金制度です。
男性従業員の育児休業取得や、育児中の女性従業員の就労継続に関する取り組みを積極的に行う企業への支援が行われています。
令和6年4月1日からは、奨励金額が引き上げられ、育業を支える従業員への評価・手当支給の実施が加点項目として扱われるようになりました。
【公益財団法人東京しごと財団│働くパパママ育業応援奨励金】
2.【東京都】働くパパママ育業応援奨励金の対象者
東京都内に勤務している常時雇用従業員の人数が2名以上かつ、6か月以上継続して雇用している「都内で事業を営む企業」が対象です。
ただし、申請するコースによっては企業規模に制限があるため、募集要項や公式サイトで要件を確認する必要があります。
また、働くパパママ育業応援奨励金では「東京都パートナーシップ宣誓制度」の証明を取得した方も、一定の要件を満たすことで申請が可能となります。
詳しくは公式サイトまたは応募要領でご確認ください。
【公益財団法人東京しごと財団│働くパパママ育業応援奨励金】
3.【東京都】働くパパママ育業応援奨励金の支援コース
働くパパママ育業応援奨励金には、4つの異なる支援コースがあります。
ここからは、それぞれのコースについて、概要・奨励金額・加算となる取り組みについて詳しく紹介します。
3-1.働くパパコースNEXT
令和6年度から「働くパパコース」の制度内容変更にともない、名称が「働くパパコースNEXT」へと変更されました。
働くパパコースNEXTでは、東京都と連携して、男性従業員に15日以上の育業取得をさせ、育業しやすい環境整備を行う中小企業などを支援しています。
ただし、令和5年度に「働くパパコース」で奨励金を受給した企業は申請できません。
対象となる企業規模 | 従業員300名以下の中小企業等 |
奨励金額 | 25~330万円 ※加算取り組みで最大410万円 |
対象となる取り組み | ・合計15日以上の育業
・育児・介護休業法に基づく環境整備を1つ以上実施 |
加算となる取り組み | 従業員の育業を後押しする取り組みを1つ実施 |
このコースでは、加算となる取り組みを実施することで、奨励金額が最大410万円まで引き上げられます。
加算となる取り組みについて、詳しくは募集要項をご確認ください。
【働くパパママ育業応援奨励金│働くパパコースNEXT「募集要項」】
3-2.働くママコースNEXT
「働くママコース」も制度内容が変更されたことにより、名称が「働くママコースNEXT」へと変更されました。
働くパパコースNEXTと同様に、令和5年度に「働くママコース」で奨励金を受給した企業は申請できません。
働くママコースNEXTでは、女性従業員に合計1年以上の育業取得をさせ、就労継続しやすい職場環境整備に取り組む企業を支援しています。
対象となる企業規模 | 従業員300名以下の中小企業等 |
奨励金額 | 125万円 ※加算取り組みで最大165万円 |
対象となる取り組み | ・合計1年以上の育業
・面談・情報提供の実施 ・育児・介護休業法に定める制度を上回る取り組みについて令和6年4月1日以降に就業規則を整備 |
加算となる取り組み | 従業員の育業を後押しする取り組み1つ実施ごとに20万円加算 |
このコースでは、育業を支える従業員への応援評価や表彰制度の整備が加算の対象となります。
育業を取得する人だけでなく、支える周囲の従業員に対する取り組みも行いたい企業におすすめの支援コースです。
【働くパパママ育業応援奨励金│働くママコースNEXT「募集要項」】
3-3.パパと協力!ママコース
「パパと協力!ママコース」では、仕事と家庭の両立に向けた取り組み計画を策定した企業の支援を行っています。
過去に、働くパパママ育業応援奨励金を受給したことがない企業が対象です。
対象となる企業規模 | 従業員300名以下の中小企業等 |
奨励金額 | 100万円 |
対象となる取り組み | ・合計6か月以上1年未満の育業
・育業促進などに関する計画の作成 ・パパとなる従業員の合計30日以上の育業 |
「パパとなる従業員の合計30日以上の育業」は、取得が予定されている場合でも対象となります。
詳しくは募集要項をご確認ください。
【働くパパママ育業応援奨励金│パパと協力!ママコース「募集要項」】
3-4.もっとパパコース
もっとパパコースでは、育業が取得しやすい職場環境の複数整備や、複数の男性従業員に育業を取得させた企業への支援が行われています。
申請要件で「企業規模は不問」とされているため、対象となる企業であれば誰でも申請できる支援コースです。
対象となる企業規模 | 不問 |
奨励金額 | 合計30日以上の育業取得 2名:80万円
(3人目以降5人目まで1人につき30万加算) |
対象となる取り組み | ・複数の男性従業員がそれぞれ合計30日以上の育業
・令和6年4月1日以降に「育児・介護休業法」に基づく職場環境整備を複数実施 |
対象となる「男性従業員」の人数によって奨励金額が加算され、最大で170万円が支給されます。
育児・介護休業法に基づく職場環境整備の内容について詳しくは、募集要項でご確認ください。
【働くパパママ育業応援奨励金│もっとパパコース「募集要項」】
4.【東京都】働くパパママ育業応援奨励金の申請から受給までの流れ
働くパパママ育業応援奨励金は、郵送での申請または電子申請となります。
ただし、電子申請システムは現在準備中なので、申請の際は公式サイトをチェックしましょう。
申請から受給までの大まかな流れは以下の通りです。
2.郵送または電子システムから申請
3.審査
4.書面にて審査結果の通知
5.奨励金請求書兼口座振替依頼書、印鑑証明書を郵送
6.助成金の受給
申請に必要な書類や募集要項は、公式サイトからダウンロード可能です。
申請期間は、企業ごとに異なるため、公式サイトで公開されている「申請期限日一覧」を確認し、期日を守って提出しましょう。
5.【東京都】働くパパママ育業応援奨励金を活用して企業の「育業推進」を目指そう!
従業員の育業取得に積極的に取り組む企業を応援するためにスタートした「働くパパママ育業応援奨励金」。
この奨励金をきっかけとして、企業の「育業促進」を目指し、誰もが育業を取得しやすい職場環境づくりをすることが可能です。
東京都以外でも、「従業員の育業取得」に取り組む企業向けの支援制度が数多く行われています。
企業所在地で行われている支援制度についても一度調べてみてはいかがでしょうか。
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