くるみん認定とは?認定を受けることで得られるメリットや申請方法を解説!

くるみん認定とは

「くるみん認定」とは、仕事と育児が両立できる職場づくりに取り組む企業を「子育てサポート企業」として厚生労働省が認定する制度です。

しかし、くるみん認定の内容がわからなかったり、どうすれば認定されるのかわからないという人は少なくないでしょう。
また、認定によって企業価値の向上が見込めたり、公共調達や各種支援制度での優遇措置を受けることができる制度としては、くるみん認定のほかに「えるぼし認定」もあり、わかりにくいと感じるケースも少なくありません。

そこで今回は、くるみん認定の概要や認定基準、えるぼし認定との違いについてわかりやすく解説します。

目次

1.くるみん認定の概要と制定の背景

まずは、認定制度の概要と制定の背景のほか、「えるぼし認定」との違いについてわかりやすく解説します。

1-1.くるみん認定の概要

くるみん認定とは「次世代育成支援対策推進法」に基づいた「一般事業主行動計画を策定した企業」を対象に行われている認定制度です。
一般事業主行動計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たすことで「子育てサポート企業」として厚生労働大臣からの認定を受けることができます。

「くるみん」という名称には、赤ちゃんを優しく包み込む「おくるみ」と、「会社ぐるみ」で子育てをサポートするという2つの意味がこめられています。
認定マークには「くるみん」「プラチナくるみん」「トライくるみん」の3種類があり、企業が行う取り組みによって認定マークの種類が異なります。
【参考│厚生労働省:くるみんマーク・プラチナくるみんマーク・トライくるみんマークについて

1-2.くるみん認定制定の背景

くるみん認定が制定された背景には「日本の深刻な少子化問題」があります。
日本では、婚姻数の減少や子どもを産まない選択をする夫婦が年々増加しており、その原因として「共働き」や「仕事と育児の両立が難しい」ことがあげられます。

共働きが一般的になっている現代社会において、企業が課題解決のためにできる1つの方法として、仕事と育児が両立できる職場環境作りを目指す「くるみん認定」が制定されました。

1-3.えるぼし認定との違い

くるみん認定と混同されやすい「えるぼし認定」ですが、両者は制度の目的が異なります。
くるみん認定は「仕事と育児が両立できる職場作り」を、えるぼし認定では女性活躍推進法に基づく「女性の活躍推進」を目的としています。

どちらの制度も認定を受けることができれば、企業価値の向上が期待できる制度です。
えるぼし認定については、下記の記事で詳しく紹介しています。
【合同会社SCS│えるぼし認定とは?女性の活躍を推進する制度について徹底解説!

2.くるみん認定マークの種類

くるみん認定を受けると、認定段階に応じたロゴマークが使用できるようになります。
認定マークごとに認定基準が異なるため、取得したいロゴマークの認定基準を確認してから、どのような取り組みを行うか検討しましょう。

認定マークの種類 認定マークの概要
くるみんマーク 子育て支援などで一定の基準を満たした企業に与えられるマーク
トライくるみん 2022年にくるみんの認定基準引き上げに伴い新設されたマーク
プラチナくるみん より高いレベルの取り組みを行う企業に与えられるマーク
プラスマーク くるみんなどの認定を受けた企業が不妊治療と仕事の両立に取り組むことで与えられるマーク

【参考│厚生労働省:くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう
【参考│厚生労働省:不妊治療と仕事の両立のために

くるみん認定の認定基準については「5.くるみん認定≪くるみんマーク≫の認定基準」でわかりやすく解説しています。

3.くるみん認定を受ける3つのメリット

くるみん認定を受けることで、企業は以下3つのメリットを得ることができます。

・くるみん認定ロゴマークを利用できる
・公共調達や一部支援制度などで優遇措置を受けられる
・働き方改革推進支援資金からの融資を受けられる

それぞれのメリットについてわかりやすく解説します。

3-1.くるみん認定ロゴマークを利用できる

くるみん認定を受けることで、認定ロゴマークを利用できるようになります。
認定ロゴマークは、企業の公式サイトや名刺などに利用することができるので、自社の取り組みを社外へアピールすることが可能です。

結婚後や産後の仕事について考えている人にとって「子育てと向き合える職場であるか」は、仕事探しでの重要なポイントです。
くるみん認定を受けているということは、社内に子育てに関する制度があり、制度利用が進められているという証になります。

子育てと仕事を両立しやすい環境を整えることは、優秀な人材の確保や企業価値の向上につなげることができます。

3-2.公共調達や一部支援制度などで優遇措置を受けられる

くるみん認定を受けると公共調達や一部支援制度などで優遇措置を受けられます。

<用語解説>
公共調達:政府がものやサービスなどを民間企業から購入すること
【参考│e-Govポータル:公共調達

くるみん認定を受けることで優遇措置が受けられる支援制度は、以下の通りです。

支援制度名 支援制度概要 公式サイト
両立支援等助成金

育児休業等支援コース

(業務代替支援)

育児休業の円滑な取得や職場復帰のための取り組みを行う企業を支援 【厚生労働省】

事業主の方への給付金のご案内

くるみん助成金 仕事と家庭の両立を目指す取り組みを行う企業を支援 【こども家庭庁】

くるみん助成金とは

なお、公共調達の配点などの具体的な支援内容は案件ベースで異なるため、詳しくは個別の調達案件お問い合わせにご連絡ください。

3-3.働き方改革推進支援資金からの融資を受けられる

一定の要件を満たしたくるみん認定企業は、日本政策金融公庫「働き方改革推進支援資金」からの融資を特別金利で受けることができます。

働き方改革推進支援資金では、非正規雇用の処遇改善や従業員の長時間労働の是正などの働き方改革に取り組む企業に、必要な設備資金や長期運転資金の融資を行っています。
くるみん認定を受けた企業は、2億7千万円まで特別利率で融資を受けることが可能です。
【参考│日本政策金融公庫:働き方改革推進支援資金

4.くるみん認定は補助金の加点項目の1つ!

くるみん認定は、補助金の加点項目の1つとしても扱われています。
くるみん認定を加点項目として扱う補助金は、以下の5つです。

補助金名称 補助金概要 公式サイト
事業再構築補助金 新分野展開や事業転換などの思い切った事業再構築を目指す企業を支援 事業再構築補助金
小規模事業者持続化補助金 持続的な経営に向けた販路開拓、業務効率化に取り組む小規模事業者を支援 【商工会地区】

公式サイト

【商工会議所地区】

公式サイト

ものづくり補助金 革新的なサービス開発や生産プロセスの改善などの設備投資支援 ものづくり補助金総合サイト
IT導入補助金 経営課題を解決するためにITツールを導入するための補助金 IT導入補助金2024
事業承継・引継ぎ補助金 事業承継を機に新しい取り組みを行う中小企業を支援 事業承継・引継ぎ補助金

加点項目を満たすと、採択審査において点数がプラスされるため、普通に申請を行うよりも採択されやすくなるというメリットがあります。

補助金の活用に興味のある方は、合同会社SCSへお気軽にお声がけください。
企業状況にあった最適な補助金のご提案や申請までのサポートをいたします。
【合同会社SCS│お問い合わせフォーム

5.くるみん認定≪くるみんマーク≫の認定基準

認定マークごとに基準は異なりますが、ここでは「くるみんマーク」の認定基準についてご紹介します。
プラチナくるみんやトライくるみんの認定を目指す際にも、まずは「くるみんマーク」の認定基準を参考にしてみてください。

5-1.雇用環境の整備について適切な行動計画を策定したこと

くるみん認定を受けるためには、行動計画策定指針の「第六条 一般事業主行動計画の内容に関する事項」で定められている「1.雇用環境整備に関する事項」の項目のうち1つ以上の項目を計画に組み込む必要があります。

“1.雇用環境整備に関する事項
(1)妊娠中の労働者および子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための環境整備
(2)働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備”
【引用│厚生労働省:くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

行動計画に盛り込む事項は、企業のこれまでの実績を踏まえたものを選ぶとよいとされています。
くるみん認定を利用して制度導入を検討している場合には、関連する法令の内容を上回っていないと認定審査の対象外となるので注意が必要です。

5-2.行動計画の計画期間が2年以上5年以下であること

くるみん認定では一般事業主行動計画の策定・実行が求められているため、計画期間が「2年以上5年以下」でなければ認定を受けることができません。
仕事と子育てが両立できる雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員を含め、さまざまな働き方に対応できる行動計画の策定が必要になります。
「どのような働き方を望んでいるか」などの従業員ニーズをしっかりと調査し、行動計画に盛り込むとよいでしょう。
【厚生労働省│くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

5-3.策定した行動計画を実施し、目標を達成したこと

くるみん認定の申請には、計画の目標を達成したことを証明するために、以下の書類が必要です。

・制度導入後の就業規則などの写し
・育児休業を取得した労働者の氏名および休業期間が記されている書類
・両立支援制度について周知した年月日がわかる通知文書などの写し
・実施年月日のわかる研修開催通知、実施結果の写し

このほかにも、取り組みごとに提出書類が異なります。
申請を行う際には、自社の取り組みを証明するために必要な書類をパンフレットで事前に確認しましょう。
【厚生労働省│くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

5-4.策定・変更した行動計画について、公表・周知を適切に行っていること

一般事業主行動計画の策定後や内容の変更後には、一般への公表・従業員への周知を適切に行わなければなりません
公表・周知には、女性の活躍・両立支援総合サイト「両立のひろば」や自社の公式サイトの活用がおすすめです。
なお、認定申請時には公表・周知を行った日付がわかる資料が必要となるため、日付の入っている資料は計画期間終了まで保存しましょう。
【厚生労働省│両立支援のひろば
【厚生労働省│くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

5-5.パンフレットで定められている基準を満たしていること

認定を受けるためには、次の(1)または(2)の基準を満たさなければなりません

“(1)計画期間における男性労働者の育児休業等取得率が10%以上であり、該当割合を「両立のひろば」で公開していること
(2)計画期間における男性労働者の育児休業等取得率および企業独自の育児を目的とした休暇制度の利用率が合わせて20%以上であり、該当割合を「両立のひろば」で公開していること、かつ、育児休業等を取得したものが1人以上いること”
【引用│厚生労働省:くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

なお、従業員数が300人以下の一般事業主には、基準を満たしていない場合の特例基準が定められています。
詳しくはパンフレットでご確認ください。
【厚生労働省│くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

5-6.女性労働者の育児休業等の取得率が75%以上でありポータルサイトで該当割合を公表していること

認定を受けるためには「女性労働者の育児休業等の取得率が75%以上」であることをポータルサイトである「両立支援のひろば」で公表しなければなりません。
なお、従業員が300人以下の事業主で育児休業取得率が基準未満だった場合には、パンフレットで定められた基準を満たすことで特例として認められることがあります。
育児休業等の取得率の計算式、特例についてはパンフレットでご確認ください。
【厚生労働省│くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

5-7.3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者についてパンフレットで定められている制度を講じていること

3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者については、パンフレットで定められている以下の制度を講じる必要があります。

“・育児休業に関する制度
・所定外労働の制限に関する制度
・措定労働時間の短縮措置または始業時間の変更などの措置に準ずる制度”
【引用│厚生労働省:くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

これらの措置は、有期契約労働者を含めたすべての労働者に適用しなければなりません。
また、企業が独自で行う育児を目的とした休暇制度は措置の対象外となるので気を付けましょう。

5-8.計画期間の終了日に属する事業年度においてパンフレットで定められている基準を満たすこと

計画期間終了日に属する事業年度において、パンフレットで定める以下の基準をいずれも満たす必要があります。

“(1)フルタイムの労働者等の法廷時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること
(2)月平均の法廷時間外労働60時間以上の労働者がいないこと”
【引用│厚生労働省:くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

なお、認定申請時にすでに退職している従業員は、どちらにも含まずに計算します。
上記基準の計算式については、パンフレットでご確認ください。
【厚生労働省│くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

5-9.認定基準として定められている3つの措置について具体的な目標を定めて実施していること

くるみん認定では、パンフレットで定められている3つの措置について、具体的な目標を立てて実施しなければなりません。

“①所定外労働の削減のための措置
②年次有給休暇の取得の促進のための措置
③短時間制社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置”
【引用│厚生労働省:くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

上記の措置は、計画を始める前から実施している分についても認定基準の対象となります。
この措置に関する目標は必ずしも行動計画に盛り込む必要はないので、自社の取り組みにあった目標を立てるとよいでしょう。

5-10.法および法に基づく命令とその他関連法令に違反する重大な事実がないこと

くるみん認定を受けるためには、法律に基づいた企業経営が行われていることが重要です。
そのため、以下の法律・関連法令に違反している場合には、申請審査の対象外となります。

・男女雇用機会均等法
・育児・介護休業法
・女性活躍推進法
・労働基準法
・労働安全衛生法

このほか、認定の対象外となる法令違反などについては、パンフレットでご確認ください。
【厚生労働省│くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定を目指しましょう!

6.くるみん認定の申請方法

ここからは、くるみん認定の申請方法について、用語解説を交えてわかりやすく解説します。
認定を受けることで企業価値の向上につなげることができる認定制度なので、ぜひ申請を検討してみましょう。

6-1.一般事業主行動計画の策定出

くるみん認定の申請を行う前に、一般事業主行動計画の策定を行います。

<用語解説>
一般事業主行動計画:次世代育成支援対策推進法に基づき、仕事と子育ての両立を図るための雇用環境整備などの取り組みを行うために、計画期間や目標などを定めるもの

企業の現状や従業員からのニーズを把握し、自社に何が足りていないかを明確にすることで、より実現性の高い一般事業主行動計画の策定が可能です。

【厚生労働省│一般事業主行動計画の策定・届出等について

6-2.一般事業主行動計画の周知・公表

策定した一般事業主行動計画の周知・公表を行います。
一般の方への公表は、「両立支援のひろば」または自社の公式サイトで行うのがおすすめです。
インターネット環境がない場合には、一般の方からの求めに応じて公開できるように事務所へ備え付けるなどの方法を取るとよいでしょう。
自社の従業員への周知は、社内メールや事務所への掲示などを行い、全体へ周知できていることを確認しましょう。

6-3.都道府県労働雇用環境・均等部(室)への届出

一般事業主行動計画の策定から3か月以内に、各都道府県にある「都道府県労働雇用環境・均等部(室)」へ一般事業主行動計画の策定を行った届出を提出します。
郵送・持参・電子申請のいずれかの方法で提出できます。

電子申請の場合には、下記の電子申請専用ページより提出可能です。
e-Gov公式サイト

6-4.一般事業主行動計画の実行とくるみん認定

一般事業主行動計画を実行し、計画期間終了後にくるみん認定の申請を行います。
認定基準を満たした取り組みができた企業は「子育てサポート企業」として認定され、認定マークが付与されます。
さらにレベルの高い取り組みを行うことで、プラチナくるみんへのレベルアップも可能です。

7.くるみん認定を受けて「仕事と育児が両立できる職場づくり」を目指そう!

くるみん認定は、次世代育成支援対策推進法に基づき「仕事と育児を両立できる職場づくり」を行う「子育てサポート企業」を認定し、支援する制度のことです。
認定を受けることで、補助金や助成金などの各種支援制度で優遇措置を受けられるだけでなく優秀な人材の確保にもつながるため、認定を目指してみてはいかがでしょうか。

支援制度や補助金の活用なら、合同会社SCSへご相談ください。
日本全国で行われている補助金のなかから、企業状況にあった補助金をご提案いたします。
さまざまな場面で活用できる補助金がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

補助金・助成金などのご相談はこちらからどうぞ!
お問い合わせ
オンラインコミュニティの参加
補助金・助成金無料診断

監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に合同会社SCSを設立し独立。

経営者の潜在的な要望を引き出し、事業拡大を実現する「コンサルティング型」によって、1年間で100件以上の補助金申請をサポートし、1憶5千万円以上の採択を実現。

最適な補助金の提案から受給まで、完全サポートしている。