最大1,250万円!ものづくり補助金についてプロが解説!【2022年度最新版】

ものづくり補助金【最大1,250万円】2022年度版をプロが徹底解説!補助金活用支援合同会社
2022年度の公募は終了しました。
最新記事は「《2023年度》ものづくり補助金の拡充部分・採択率アップのコツを簡単解説!」をご覧ください。

革新的な設備投資や新商品の試作開発に対し、一般型では最大で1,250万円の補助が受けられるものづくり補助金。
ものづくり補助金という言葉は知っていても、どのような企業が申請できるのか、どのような投資に補助が出るのか、内容がよくわからない。
そんなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

2022年度には、補助対象事業者の見直しや拡充が行われるとともに、新たに3つの新枠が創設されました。
この記事では、ものづくり補助金についてわかりやすく解説していきます。

1.ものづくり補助金とは?

ものづくり補助金とは、正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。
IT導入補助金や小規模事業者持続化補助金などと並び、申請率が高い補助金です。
申請後は審査があり、採択されると交付を受けることができます。

それでは、ものづくり補助金がどのような制度なのか詳しく見ていきましょう。

1-1.ものづくり補助金の概要

ものづくり補助金は、主に中小企業や小規模事業者が経営革新のための設備投資をする際などに使える補助金です。
申請する枠・類型や従業員数によって異なりますが、補助上限額は750万円~3,000万円で、補助率は1/2もしくは2/3です。

ものづくり補助金の目的は、生産性向上のための設備投資に対し補助を出し経済活動の円滑化を図ることです。
「ものづくり」という名前から製造業のみが活用できる補助金だと思われがちですが、製造業以外の業種でも、生産性向上を目指し、経営革新に取り組む中小企業であれば補助の対象となります。
また、赤字などで業況が厳しいながらも賃上げなどの雇用拡大に取り組む事業者も、支援の対象となっています。

では、どのような取り組み、事業計画が必要なのでしょうか。
次の項目では基本的要件について解説していきます。

1-2.ものづくり補助金の基本的要件

ものづくり補助金では、以下の要件をすべて満たす3〜5年の事業計画を策定・実施する必要があります。

  1. 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
    (付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)
  2. 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
  3. 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

下記のような申請要件が満たされていない場合は、補助金の返還を求められることがあるため注意が必要です。

  • 申請時点で、賃上げ計画を策定していなことが発覚した場合
  • 事業計画終了時点で給与支給総額要件が未達の場合
  • 毎年3月時点で最低賃金が未達の場合

1-3.ものづくり補助金の審査項目

ここでは、ものづくり補助金がどういう観点で審査されるのか見ていきましょう。

1-3-1.審査項目

ものづくり補助金の審査項目は下記4点です。
それぞれの項目の内訳についても見ていきますので、申請書類を作成する際には、ぜひ参考にしてください。

  • 技術面
    1. 取り組み内容の革新性
    2. 課題や目標の明確さ
    3. 課題の解決方法の優位性
    4. 技術的能力
  • 事業化面
    1. 事業実施体制
    2. 市場ニーズの有無
    3. 事業化までのスケジュールの妥当性
    4. 補助事業としての費用対効果
  • 政策面
    1. 地域経済への波及効果
    2. ニッチトップとなる潜在性
    3. 事業連携性
    4. イノベーション性
    5. 事業環境の変化に対応する投資内容
  • 炭素生産性向上の取り組みなどの妥当性
    1. 温室効果ガス削減などに対して有効な投資
    2. 設備投資効果の妥当性
    3. 継続的な取り組み実施

1-3-2.加点項目

ものづくり補助金では、これから紹介する加点項目を多く満たしているほど、採択の可能性がアップします。

加点項目となるのは下記4点です。

  • 成長性加点
  • 政策加点
  • 災害など加点
  • 賃上げ加点など

それぞれの詳しい要件についてはこちらをご参照ください。

2.ものづくり補助金の対象者

ものづくり補助金の対象者となるのは、日本国内に本社および補助事業の実施場所を有する中小企業・小規模事業者などで、業種は問われません。
企業のほかに組合、NPO法人などの特定非営利活動法人、個人事業主も該当します。

対象となる業種は、下記の通りです。

  • 製造業
  • 建設業
  • 運輸業
  • 旅行業
  • 卸売業
  • サービス業
  • 小売業
  • ゴム製品製造業
  • ソフトウェア業または情報処理サービス業
  • 旅館業 など

ただし、資本金や従業員数に規定があるので、申請前に公募要領を必ずご確認ください。

ものづくり補助金はあくまで中小企業向けの補助金であるため、大企業とみなされた場合や財団法人(公益・一般)、社団法人(公益・一般)、医療法人、社会福祉法人および法人格のない任意団体は補助対象となりません。
また、申請締切日前10ヶ月以内にものづくり補助金の交付決定を受けた事業者や課税所得の年平均額が15億円超の事業者も補助対象外です。
応募申請以降、補助事業実施期間終了までに資本金や従業員数の要件を超えてしまった場合も補助対象外となるため、注意が必要です。

詳しくはこちらをご参照ください。

3.ものづくり補助金の対象経費

ものづくり補助金には4つの事業類型があり、事業類型によって補助金の額が異なります
ここでは一般型とグローバル展開型それぞれについて解説します。

参照:ものづくり・商業・サービス補助金 公募要領 概要版(10次締切分)

3-1.一般型

一般型には、2022年度に新設されたものも含め4枠あります。
回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠は2022年度10次締切分より開始されました。

3-1-1.通常枠

革新的な製品・サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資などを支援するのが、一般型の通常枠です。

補助金額
従業員数5人以下:100万円~750万円
従業員数6人~20人:100万円~1,000万円
従業員数21人以上:100万円~1,250万円

補助率
中小企業者:1/2
小規模事業者・再生事業者:2/3

設備投資
単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要

補助対象経費

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権など関連経費

3-1-2.回復型賃上げ・雇用拡大枠

前年度の課税所得がゼロなどで業況が厳しいながらも賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者に対して、生産性向上を支援するのが「一般型の回復型賃上げ・雇用拡大枠」です。
常時雇用の従業員がいる事業者のみが対象で、補助率は一律2/3と通常枠より高くなっています。
給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標を達成することが条件であり、達成できていない場合には、補助金交付額の全額の返金を求められます。

補助金額
従業員数5人以下:100万円~750万円
従業員数6人~20人:100万円~1,000万円
従業員数21人以上:100万円~1,250万円

補助率
2/3

設備投資
単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要

補助対象経費

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権など関連経費

3-1-3.デジタル枠

一般型のデジタル枠は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービスの開発やデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善を行う事業者に対して、支援を行うための申請枠です。
補助率は通常枠より高く、一律2/3ですが、下記要件を満たす必要があります。

  • 経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有するなどの自己診断を実施し、なおかつ自己診断結果を独立行政法人情報処理推進機構に対して提出していること。
  • 法人情報処理推進機構が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を行っていること。

補助金額
従業員数5人以下:100万円~750万円
従業員数6人~20人:100万円~1,000万円
従業員数21人以上:100万円~1,250万円

補助率
2/3

設備投資
単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要

補助対象経費

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権など関連経費

3-1-4.グリーン枠

グリーン枠の申請要件は下記4点で、生産性向上に必要な設備・システム投資などを支援します。

  • 温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発であること。
  • 炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善であること。
  • 3~5年の事業計画期間内に、事業場単位での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること。
  • これまでに自社で実施してきた温室効果ガス排出削減の取り組みの有無を示すこと。取り組みが有る場合はその具体的な内容を提示すること。

補助率は通常枠より高く、一律2/3で、補助金額も最高2,000万円と他の枠よりも高く設定されています。

補助金額
従業員数5人以下:100万円~1,000万円
従業員数6人~20人:100万円~1,500万円
従業員数21人以上:100万円~2,000万円

補助率
2/3

設備投資
単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要

補助対象経費

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権など関連経費

3-2.グローバル展開型

海外拠点での活動を含む海外事業の拡大・強化を目的とした設備投資などを支援するのが、「グローバル展開型」です
グローバル展開型には4つの類型があり、申請するにはいずれかに該当する必要があります。

  1. 海外直接投資型
  2. 海外市場開拓型
  3. インバウンド市場開拓型
  4. 海外事業者との共同事業型

それぞれがどういった内容なのかは、こちらをご覧いただくか、補助金活用支援合同会社へご相談ください。

グローバル展開型は、補助金の上限額が3,000万円と一番高いのも特徴です。
海外への旅費も補助対象となります。
グローバル展開という特性から、実施期間は12か月以内と一般型よりも長い事業実施期間が設定されています。
一般型の事業実施期間は10ヶ月以内です。

補助金額
1,000万円~3,000万円

補助率
中小企業者:1/2
小規模企業者・小規模事業者:2/3

設備投資
単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要

補助対象経費

  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権など関連経費
  • 海外旅費

4.ものづくり補助金の申請から受給までの流れ

ものづくり補助金の応募申請は、インターネットを利用した「電子申請」です。
申請の際には、事前に「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。
まず初めに「GビズIDプライムアカウント」の取得をしましょう。

4-1.提出書類・添付書類

ものづくり補助金で必要な提出書類や添付書類は下記の通りです。

  1. 事業計画書(10ページ以内)
    その1 補助事業の具体的取り組み内容
    その2 将来の展望
    その3 事業計画における付加価値額などの算出根拠
  2. 賃金引上げ計画の誓約書【様式1】
  3. 決算書(個人事業主は確定申告書、創業まもない会社は設立事業計画書)
  4. 法人事業概況説明書または所得税青色申告決算書などの従業員数の確認資料
  5. 労働者名簿
  6. 「再生事業者」に係る確認書(再生事業者のみ)
  7. 課税所得の状況を示す確定申告書類(回復型賃上げ・雇用拡大枠のみ)
  8. 炭素生産性向上計画および温室効果ガス排出削減の取り組み状況【様式2】 (グリーン枠のみ)
  9. 海外事業の準備状況を示す書類 (グローバル展開型のみ)
  10. 提出することで加点される追加資料
    • 経営革新計画承認書
    • 開業届または履歴事項全部証明書
    • デジタル技術の活用及びDX推進の取組状況【様式3】
    • 事業継続力強化計画認定書または連携事業継続力強化計画認定書
    • 特定適用事業所該当通知書

4-2.申請の流れ

ものづくり補助金の申請から確定までは、おおまかに下記の流れで進みます。

  1. 公募開始
  2. 申請受付
  3. 採択通知
  4. 交付申請・交付決定
  5. 補助事業実施期間
    • 事業実施
    • 中間検査
    • 実績報告
  6. 確定検査(交付額の確定)
  7. 補助金の請求
  8. 補助金の支払い
  9. 事業化状況報告・知的財産権などの報告

第10次応募締め切りは、2022年5月11日(水) 17時です。

5.ものづくり補助金でサービス向上を目指すなら補助金活用支援合同会社へ!

ものづくり補助金は、経営革新のための設備投資に対して一般型でも最大1,250万円もの補助金の交付が受けられ、中小企業にとって大きなサポートとなる補助金です。
ものづくり補助金の審査では事業計画書の内容が非常に重視されます。
また、毎年応募する企業も多く、申請したからといって必ず交付される補助金ではないため、少しでも採択率が上がるよう、事業計画書は工夫をして作成しなくてはいけません。

補助金活用支援合同会社では、さまざまな補助金の申請書類を作成したプロがサポートいたしますので、申請をご検討中の方はぜひ一度ご相談ください。

補助金・助成金などのご相談はこちらからどうぞ!
お問い合わせ
オンラインコミュニティの参加
補助金・助成金無料診断

監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。