【2024年度版】事業再構築補助金を徹底解説!概要や申請方法・改定内容まで紹介

2024年度 事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会に対応する中小企業の取り組みを支援する補助金です。
令和6年4月23日に、中小企業庁による「中小企業等事業再構築促進基金及び事業再構築補助金の抜本的見直し」が行われ、制度内容に大幅な変更がありました。

この記事では、制度内容が変更された「2024年度事業再構築補助金」について徹底解説します。

1.事業再構築補助金の概要

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業・業態転換や事業再編などに取り組む中小企業を支援し、日本経済の構造転換を促すことを目的に実施されている補助金です。
「ポストコロナ時代」に対応する中小企業を支援することを目的にスタートしました。
【事業再構築補助金│公式サイト

2.【2024年度】事業再構築補助金の主な変更点

「新型コロナ対策支援」としての役目が終わりつつあることから、令和6年4月23日に「中小企業等事業再構築促進基金及び事業再構築補助金の抜本的見直し」による制度内容の見直し・変更が行われました。

ここからは第12回公募からの主な変更点について解説します。

2-1.制度内容の見直し・変更

2023年11月に行われた行政事業レビューでの、有識者からの指摘を受け、以下の内容が変更となりました。

・支援枠を6枠から3枠へ見直し
・新型コロナ対策の特例措置である「事前着手制度」の原則廃止
・すべての申請枠で「コロナ債務を抱える事業者」への加点措置を実施

なお、事前着手制度については経過措置が用意されています。
以下の場合に限り、令和4年12月2日以降に購入(発注)した経費も補助対象として扱うことができます。

”①第10回、第11回公募において、物価高騰対策・回復再生応援枠又は最低賃金枠の補助金交付候補 者として不採択となった事業者が、第12回公募において、コロナ回復加速化枠(通常類型)又は コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)に申請する場合
②第10回公募において、サプライチェーン強靱化枠の補助金交付候補者として不採択となった事業 者が、第12回公募において、サプライチェーン強靱化枠に申請する場合”
【引用│事業再構築補助金公募要領「8.事前着手届出の手続き」より

制度内容の変更・見直しに関する詳しい情報は、中小企業庁公式サイトでご確認ください。
【中小企業庁│中小企業等事業再構築促進基金及び事業再構築補助金の抜本的見直しを行った上で本日から第12回公募を実施します

2-2.審査の改善・体制強化

第12回公募からは、審査の改善・体制の強化として以下の取り組みが行われます。

・AIを活用した採択審査を実施し、類似案件の排除を強化
口頭審査を実施
・客観的な審査実施のため、マスキング処理した事業計画書の提出

口頭審査は、一定の審査基準を満たした場合のみ、オンラインで必要に応じて実施されます。
口頭審査の対象となった場合には、ウェブカメラやマイクが必要です。

詳しくは下記のページをご確認ください。
【事業再構築補助金│【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)

2-3.EBPMの強化

EBPMとは「Evidence-Based Policy Making(証拠に基づく政策)」のことで、目的をはっきりさせたうえで合理的な根拠に基づく取り組みにすることです。
第12回公募からは以下の対策が行われます。

・短期間で成果・効果報告を行っていた「事業化段階報告」を四半期ごとの実施として義務化
・補助金申請データを効果検証に活用し、EBPMの強化を目指す
・補助事業実施後の効果分析、検証を実施し、結果を公表する

事業再構築補助金では、経済産業省が行うEBPMの取り組みへ協力することで、加点措置を受けることができます。

詳しくは公募要領の「加点項目」をご覧ください。
【事業再構築補助金│【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)

3.事業再構築補助金の対象者と事業類型

ここからは、2024年から新たに見直しが行われた「対象者」と「事業類型」について解説します。

事業再構築補助金では、どのような補助事業を実施するかによって申請する事業類型が異なるため、自社の取り組みに応じた事業類型で申請する必要があります。
なお、第12回公募からは事業類型ごとの「対象要件」に加えて「共通要件」を満たさなければ、申請の対象外となります。

共通要件については、下記のページからご確認ください。
【中小企業庁│事業再構築補助金 第12回公募の概要

3-1.事業再構築補助金の対象者

以下のいずれかに該当する企業が補助金の対象者となります。

・中小企業者
・「中小企業者等」に含まれる「中小企業者」以外の法人
・中堅企業など

中小企業者の定義や、みなし企業の扱いについては下記のページをご確認ください。
【事業再構築補助金│【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)

3-2.【2024年版】事業再構築補助金の事業類型

どのような補助事業を実施するかによって申請する事業類型が異なります。
ここからは事業類型についてわかりやすく解説します。

3-2-1.事業類型(A)成長分野進出枠(通常類型)

成長分野への大胆な事業再構築の取り組みを行う企業や、国内市場縮小などの課題を抱える業種・業態の事業者を対象とした事業類型です。

補助金額 【従業員数 20 人以下】100 万円~1,500 万円(2,000 万円)

【従業員数 21~50 人】100 万円~3,000 万円(4,000 万円)

【従業員数 51~100 人】100 万円~4,000 万円(5,000 万円)

【従業員数 101 人以上】100 万円~6,000 万円(7,000 万円)

 ※1()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 ※2廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000万円上乗せ

補助率 中小企業者等 1/2(2/3) 中堅企業等 1/3(1/2)

 ※1()内は短期に大規模な賃上げを行う場合

【引用│事業再構築補助金「【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)」】

補助金額・補助率の引き上げを受ける場合には、「補助率等引上要件」を満たす必要があります。
【事業再構築補助金│【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)

3-2-2.事業類型(B)成長分野進出枠(GX推進類型)

「グリーン成長戦略」の「実行計画14分野」の課題解決に取り組む企業向けの事業類型です。
【経済産業省│グリーン成長戦略(概要)

補助金額 中小企業者等

【従業員数 20 人以下】100 万円~3,000 万円(4,000 万円)

 【従業員数 21~50 人】100 万円~5,000 万円(6,000 万円)

 【従業員数 51~100 人】100 万円~7,000 万円(8,000 万円) 

【従業員数 101 人以上】100 万円~8,000 万円(1億円) 

中堅企業等

 100 万円~1 億円(1.5 億円)

 ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合

補助率 中小企業者等 1/2(2/3) 中堅企業等 1/3(1/2)

 ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合

【引用│事業再構築補助金「【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)」

第1回~第11回公募で実施されていた「グリーン成長枠」で、補助金交付候補者として採択されたことのある事業者は申請することができません。
ただし、「グリーン成長枠」以外で採択されたことのある事業者は、必要要件を満たすことで申請できます。

詳しくは下記のページをご確認ください。
【事業再構築補助金│【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)

3-2-3.事業類型(C)コロナ回復加速化枠(通常類型)

今なおコロナの影響を受けている事業者や、債務の借り換えを行う事業者、事業再生に取り組む事業者向けの事業類型です。

補助金額 【従業員数 5 人以下】100 万円~1,000 万円 

【従業員数6~20 人】100 万円~1,500 万円 

【従業員数 21~50 人】100 万円~2,000 万円 

【従業員 51 人以上】100 万円~3,000 万円

補助率 中小企業者等 2/3(※1)

 中堅企業等 1/2(※2) 

(※1)従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600 万円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の 場合は 1,200 万円までは 3/4 

(※2)従業員数 5 人以下の場合 400 万円、従業員数 6~20 人の場合 600 万 円、従業員数 21~50 人の場合 800 万円、従業員数 51 人以上の場合は 1,200 万円までは 2/3

【引用│事業再構築補助金「【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)」】

この事業類型では「コロナ借換要件」「再生要件」のいずれかを必ず満たす必要があります。

それぞれの要件に関する詳しい内容は、公募要領をご確認ください。
【事業再構築補助金│【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)

3-2-4.事業類型(D)コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)

最低賃金の引き上げが行われたことで、影響を受ける事業者の事業再構築へ向けた取り組みを支援する事業類型です。

補助金額 【従業員数 5 人以下】100 万円~500 万円 

【従業員数6~20 人】100 万円~1,000 万円 

【従業員数 21 人以上】100 万円~1,500 万円

補助率 中小企業者等 3/4(※ 一部 2/3)

中堅企業等 2/3(※ 一部 1/2)

【引用│事業再構築補助金「【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)」

この事業類型では「コロナ借換要件」を満たしていない場合、補助率が一部引き下げられます。

詳しくは下記のページよりご確認ください。
【事業再構築補助金│【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)

3-2-5.事業類型(E)サプライチェーン強靭化枠

ポストコロナの経済社会において、国内サプライチェーンの強靭化や地域産業の活性化に取り組む企業を支援する事業類型です。

補助金額 1,000 万円 ~ 5億円以内 ※建物費がない場合は3億円以内
補助率 中小企業者等 1/2

中堅企業等 1/3 

【引用│事業再構築補助金「【サプライチェーン強靭化枠】公募要領(第12回)」】

サプライチェーン強靭化枠では、最大20者までが連携して申請することが可能です。

詳しくは公募要領「複数の事業者が連携して事業を行う場合について」をご覧ください。
【事業再構築補助金│【サプライチェーン強靭化枠】公募要領(第12回)

3-3.更なる支援措置│上乗せ措置について

サプライチェーン強靭化枠以外が対象の上乗せ措置です。
事業拡大や賃上げに積極的に取り組むことで、補助額または補助率の引き上げが行われます。

上乗せ措置(F)卒業促進上乗せ措置

補助金額 各事業類型(A)~(D)の補助金額上限に準じる。 
補助率 中小企業者等 1/2

中堅企業者等 1/3

上乗せ措置(G)長期大規模賃金引上促進上乗せ措置

補助金額 100万円~3,000万円
補助率 中小企業者等 1/2 

中堅企業等 1/3 

【参照│事業再構築補助金「【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回」

上乗せ措置の補助対象経費は事業類型(A)~(D)と同様ですが、事業類型と上乗せ措置で経費を明確に分ける必要があります。

詳しくは下記のページをご確認ください。
【事業再構築補助金│【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回

4.事業再構築補助金の対象経費

以下は、事業再構築補助金の主な対象経費の例です。
使用した経費が補助金の対象経費になるか、しっかり確認しておきましょう。

科目名 概要
建物費 ・補助事業実施に不可欠な建物の建築・回収に必要な経費

・補助事業実施に必要な建物の撤去にかかる経費

など

機械装置・システム構築費 ・補助事業のために使用される機械装置などの購入、制作、借用費用

・専用ソフトウェア、情報システムなどの購入・構築にかかる経費

など

技術導入費 補助事業遂行のために必要な知的財産権などの導入にかかる経費など
専門家経費 補助事業遂行のために依頼した外部専門家へ支払う経費など
運搬費 運搬料、宅配などの郵送に関する経費など
クラウドサービス使用料 クラウドサービスを利用するためにかかる経費など
外注費 加工やデザインなどの一部を請負または委託する場合の経費など
知的財産権等関連経費 事業化にあたり必要となる特許権など知的財産権取得にかかる弁護士代行費用など
広告宣伝・販売促進費 補助事業で開発または提供する製品の宣伝や販売促進にかかる経費
研修費 補助事業実施のために必要な教育訓練などにかかる経費
廃業費 廃止や解体、原状回復などにかかる経費

【参照│【サプライチェーン強靭化枠を除く】公募要領(第12回)

なお、サプライチェーン強靭化枠のみ対象経費が異なります。

詳しくは公募要領をご確認ください。
【事業再構築補助金│【サプライチェーン強靭化枠】公募要領(第12回

5.事業再構築補助金の申請から受給までの流れ

事業再構築補助金の申請は、オンライン電子申請システムを利用した「電子申請」です。
電子申請には「GビズIDプライムアカウント」が必要となるため、アカウントを取得していない方は早めに登録・取得を行いましょう。
GビズID公式サイト

申請から受給までは大まかに以下の流れとなります。

1.GビズIDプライムアカウントの取得
2.認定支援機関との事業計画策定
3.電子申請システムよりオンライン申請
4.採択審査・審査結果の公表
5.補助金の交付申請
6.補助事業の実施
7.補助事業の実績報告
8.清算払請求
9.事業化状況報告

第12回公募からは、審査に「口頭審査」が追加されました。
口頭審査は必要に応じて行われ、対象になった場合は事務局から受験日時の予約案内が届きます
対象となったにも関わらず口頭審査を受験しなかった場合には、不採択になるので注意しましょう。

6.新しくなった事業再構築補助金の活用は合同会社SCSへおまかせください!

新型コロナウイルス感染症対策としてスタートした事業再構築補助金。
5類感染症に移行したことで、新型コロナウイルス感染症対策としての役目は終えつつあるため、ポストコロナに対応する企業やコロナ負債を抱える企業を支援する制度へと変化しました。
これから事業再構築補助金を活用したい方は、今のうちから情報収集などを行い、自社にあった活用方法を探してみてはいかがでしょうか。

合同会社SCSでは、事業再構築補助金をはじめとしたさまざまな支援制度に関する相談を随時受け付けております
支援制度の活用を検討している方はお気軽にお問い合わせください。

補助金・助成金などのご相談はこちらからどうぞ!
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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に合同会社SCSを設立し独立。

経営者の潜在的な要望を引き出し、事業拡大を実現する「コンサルティング型」によって、1年間で100件以上の補助金申請をサポートし、1憶5千万円以上の採択を実現。

最適な補助金の提案から受給まで、完全サポートしている。