公的助成金とは?自社の成長に役立てるために知っておきたい4つのポイント

これから新しく事業を始めたり、新たな商品やサービスの開発に取り組んだりしたいと考える企業も少なくありません。
そのためには膨大な資金が必要となることもあるでしょう。
この資金を確保するために銀行などからの融資を考えるケースもありますが、公的助成金を活用するのもおすすめです。

公的助成金であれば、融資と異なり返済する必要がありません。
ただし、受給するための条件などがあります。
今回は、この公的助成金を受給するまでの流れや条件・申請時のポイントなどを解説していきます。

1. 公的助成金とは

公的助成金とは、企業が自社の成長のために新しい事業に取り組むにあたり、必要となる資金を支援する助成金のことです。
1万以上もの種類がある公的助成金ですが、そのほとんどが中小企業を対象としています。
融資とは異なり、返済の必要がない公的助成金を利用することは、これから事業を始めたりサービスや商品を開発したりする企業にとって非常に大きなメリットといえるでしょう。

1-1. 助成金と補助金の違い

助成金と補助金に大きな違いはなく、どちらも国や地方公共団体によって支給されるお金です。
ただし、補助金は募集期間が短かったり審査が厳しかったりするケースがあるので、助成金の方が受給しやすい傾向にあります。
また、助成金は応募条件を満たしていれば受給できる確率が高いのですが、補助金は応募倍率が高く採択される枠も限られているので、審査に落ちるということも珍しくありません。

1-2. 中小企業の定義

ほとんどの公的助成金は、以下の通り中小企業基本法で定められた中小企業が対象となります。

中小企業基本法
第一章 総則
第二条 この法律に基づいて講ずる国の施策の対象とする中小企業者は、おおむね次の各号に掲げるものとし、その範囲は、これらの施策が次条の基本理念の実現を図るため効率的に実施されるように施策ごとに定めるものとする。

一 資本の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

二 資本の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの

三 資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの

四 資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの

2 この法律において「経営の革新」とは、新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入、新たな経営管理方法の導入その他の新たな事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ることをいう。

3 この法律において「創造的な事業活動」とは、経営の革新又は創業の対象となる事業活動のうち、著しい新規性を有する技術又は著しく創造的な経営管理方法を活用したものをいう。

4 この法律において「経営資源」とは、設備、技術、個人の有する知識及び技能その他の事業活動に活用される資源をいう。

5 この法律において「小規模企業者」とは、おおむね常時使用する従業員の数が二十人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、五人)以下の事業者をいう。

引用元:中小企業基本法

2. 公的助成金の種類は2つ

公的助成金には「雇用系」と「事業系」の2種類があります。
雇用系は主に厚生労働省が関連しており、定期的に募集しています。
災害が発生して休業せざるを得なかったり高齢者などを雇用したりする場合に、雇用関係助成金や特定求職者雇用開発助成金などを受給することが可能です。

一方の事業系は、経済産業省や外郭団体がメインで関わっており、3,000種類以上の助成金があります。
主に、新しいサービスや商品の開発に携わっている企業が対象です。
雇用系と異なり、年に1度しか募集していないことが多いので、事業系の公的補助金を受給する場合は、公募を見逃さないようにしましょう。

3. 公的助成金を受給するまでの流れ

公的助成金を受給するまでには、全部で4つのステップがあります。

  • 実施計画の作成・申請
  • 計画の実行
  • 受給申請
  • 支給

それぞれについて、見ていきましょう。

3-1. 実施計画の作成・申請

まずはどのような目的で公的助成金を受給するのかを明らかにするために、実施計画書を作成します。
誰が見ても内容が理解できるよう、専門用語を使うのは控えてなるべく詳しく書きましょう。
実施計画書を作成したら、公的助成金の申請を行います。

3-2. 計画の実行

実施計画に記載した内容を実行します。
実地計画書に記載した内容と実際の計画に相違があると、受給できない可能性があるので注意しましょう。

3-3. 受給申請

無事に計画が遂行されたら、完了報告書を作成して公的助成金受給の申請を行います。

3-4. 支給

申請内容に問題がなければ、規定の金額が支給されて手続きは完了です。

4. 公的助成金を受給するための条件

公的助成金は雇用保険の一部が財源となっているため、受給するためには雇用保険を適用している事業所の事業主でなければいけません。
さらに、公的助成金を受給するためには調査に協力する必要があります。
公的助成金は国や地方公共団体の支援によって成り立っているからです。
実際に計画書の内容が行われているか、不正受給していないかなどの調査があった場合には快く引き受けましょう。

また、いかなる理由であっても申請期間を過ぎてしまった場合には、公的助成金を受給することができません。
2年以上労働保険を滞納していたり、過去3年以内に不正受給を行った経験があったりする場合にも受給できないので注意しましょう。

5. 公的助成金を申請するなら覚えておきたい4つのポイント

公的助成金を申請するのであれば、以下の4つのポイントは覚えておきましょう。

  • 公募は国や自治体で行われている
  • 申請は事業の準備中に行う
  • 費用全額が対象になるわけではない
  • 事業が完了した後に受給となる

5-1. 公募は国や自治体で行われている

公募は主に国や自治体が行っています。
雇用系の公的助成金は定期的に募集していますが、事業系は年に1度しか公募されていません。
どちらを利用する場合であっても、経済産業省や中小企業庁の公式サイトは逐一確認しましょう。

5-2. 申請は事業の準備中に行う

公的助成金の申請は、事業期間中のみを対象としています。
既に事業を開始している場合には申請しても対象外となるので注意が必要です。
また、公的助成金を利用する事業には期間が設けられており、その期間内に使用した費用のみが対象となるので覚えておきましょう。

5-3. 費用全額が対象になるわけではない

公的助成金は、事業にかかる費用の全額が対象になるわけではありません。
商品を開発する際に必要な機械設備費や人件費・外部に業務を委託する委託費など、対象となる費用はある程度決められています。
公的助成金の対象となる費用の中でも受給できる金額や割合などが決められているので、申請する前にチェックしておきましょう。

5-4. 事業が完了した後に受給となる

公的助成金は事業が完了した後に受給となります。
事業開始前に受給できるわけではないため、予算が不足しないように計画を立てておく必要があります。

6. 公的助成金の一例

公的助成金の中には、新型コロナウイルスなどの影響によって事業規模が縮小し、従業員の雇用を維持するのが難しくなった場合に適用される「産業雇用安定助成金」や、障害者に対して職業能力開発訓練事業を実施する「人材開発支援助成金」などがあります。

ほかにも、以下のような助成金が挙げられます。

  • 中途採用等支援助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 地域雇用開発助成金
  • 通年雇用助成金

そのほかにも数々の公的助成金があるので、厚生労働省の公式サイトをご覧ください。

7. 公的助成金を活用して自社を成長させよう

公的助成金は企業を成長させるための支援金なので、活用するメリットが大きい制度だといえます。
これから新しい商品やサービスを開発したり人材育成に力を入れたりする場合には、積極的に活用しましょう。
しかし、「公的助成金の申請方法がわからない」、「どんな公的助成金があり、自社にどれが適切なのかがわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

そんなときには補助金活用支援合同会社にお任せください。
補助金活用支援合同会社では、自社で活用できる助成金があるかわからない場合などに活用できる助成金の無料相談を行っております。
申請までのサポートも承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。