【SWOT分析とは?】メリットや具体例、やり方とコツを徹底解説!

企業戦略の要である経営計画書を作成する際に、SWOT分析を活用する企業が増えていることをご存じでしょうか。
ビジネス市場が激しく変化する影響もあり、金融機関からSWOT分析を添付した「根拠のある経営計画書」の提出を求められるケースも出てきています。
また、2021年よりスタートした「事業再構築補助金」の申請においては、SWOT分析を用いた内容の記載が求められています。

本記事では、SWOT分析のメリットや手順、導入の際の注意点、そして分析を活用した経営計画書の作成方法についてご紹介するので、ぜひお役立てください。

目次

1.【SWOT分析】とは?

SWOT分析とは、ビジネス市場における自社の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」、取り巻く環境である「機会(Opportunity)」、その環境によりもたらされる「脅威(Threat)」を探るフレームワークです。

分析する際に用いる4つの項目の頭文字をとって、「SWOT分析(スウォット分析)」と呼ばれています。
英語の発音の揺れの影響で、カタカナ読みにすると「スワット」と表記されることもあるため、場合によってはSWAT分析と表記されることもあります。

1960年代ごろのアメリカで生まれたといわれており、古くからマーケティングの手法として活用されてきた、SWOT分析。
近年では、就職活動中の自己分析に用いられたり、病院内の看護環境の向上を目的として用いられたりするなど、ビジネス以外にも活用される機会が増えています。

SWOT分析は、自社の持つブランド力や生産能力などの「強み」や「弱み」を内部的要素、今後のチャンスを探る「機会」や、それに伴う「脅威」を外的要素として整理していきます。

4つの項目の具体的な内容については、3.SWOT分析の手順にて詳しく説明します。

2.SWOT分析を導入するメリットとは?

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企業がSWOT分析を導入することには、4つのメリットがあります。

2-1.メリット①:自社の「強み」や「弱み」を整理できる

SWOT分析には、自社が持つ「ヒト・カネ・モノ・情報」の4大経営資源を、メンバー同士で話し合いながら書き出す作業があります。

その過程で、生産能力やサービスの品質といった、ビジネス市場における自社のプラス要因である「強み」、逆にマイナス要因である「弱み」を、多角的な視点で分析、把握することになります。
自社の現状をわかりやすく、そして客観的に理解できる点は、SWOT分析の大きなメリットです。

2-2.メリット②:市場の変化に合わせた経営戦略を立てられる

日々変化するビジネス環境においては、短いサイクルでの事業計画の修正、場合によってはサービスからの撤退、といった経営判断を迫られる場面が増えています。
このような状況下では、3年前に立案した経営戦略は、3年後には意味をなさないものになっている可能性があります。

SWOT分析は、今現在のビジネス状況を踏まえて自社の分析を行うため、変化が著しい場合であっても、ニーズからズレることのない戦略立案が可能なのです。

2-3.メリット③:「従業員エンゲージメント」が向上する

「従業員エンゲージメント」とは、会社全体の目標を社員間で共有し、社員それぞれがその目標を達成するために自発的に行動しようとする意欲を持つことを目指すものです。
「従業員エンゲージメント」が高い企業は社員の離職率は低く、業務のパフォーマンス力も高い傾向にあります。

社員一人一人が同じ方向を向くためには、はっきりと示された行動指針が必要です。
その行動指針のエビデンスとなるのが、SWOT分析によりもたらされる、課題チャンスです。

自社の課題について、社員共通の認識を持ち一丸となって取り組むことは、激化するビジネス市場を生き残るために、組織にとって不可欠といえるでしょう。

2-4.メリット④:必要な人材の採用を効率的に行える

SWOT分析により、自社において現在不足している資産やスキルが見える化されます。
そのため、採用活動の際に採用条件が明確になり、効率的な採用活動が行えます。

3.SWOT分析の手順


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SWOT分析を行う際に、どの要素から分析を始めるかについてのルールは特にありません。初めてSWOT分析を行う中小企業の場合は、「機会(O)」と「脅威(T)」の書き出しから始めるのがオススメです。
「機会(O)」と「脅威(T)」は、世の中の情勢変化に影響されやすいので、チャンスを逃さないためにも、この2つから分析をはじめましょう。

ここからはSWOT分析の手順について詳しく解説します。

3-1.手順①:経営目標の設定

SWOT分析に入る事前準備として、経営目標を明確化する必要があります。
目標の内容によっては、分析結果に大きな違いが出ることもあるため、何を目的としてSWOT分析を行うかを事前に議論しておきましょう。

また同時に分析対象となる顧客の層競合他社についても、メンバー間でしっかりと共有しておくと安心です。
これらの前提条件がそろっていることが、SWOT分析成功の鍵となります。

3-2.手順②:外部環境【機会(O) ・脅威(T)】の分析

外部環境【機会(O) ・脅威(T)】の分析を行う際は、経済動向やIoTの進歩、少子高齢化など、社会全体で起こっている事象と、顧客や取引先など自社の周りで起こっている事象の2つに分けて考えていきます。

3-2-1.機会(O)の分析

機会(O)とは、顧客のニーズを探り、売り上げアップや新規顧客獲得につながる要素のことです。
近年は、SNSやサブスクサービスなどといった新しいビジネス手法も生まれており、それらのサービスをどのように活用するかを考えるのも機会(O)の分析になります。

3-2-2.脅威(T)の分析

脅威(T)とは、時代の流れや、新規参入による市場の激化など、売り上げ低下や顧客の流出を引き起こすような企業にとってマイナスとなる要素です。
脅威については、「今後ライフスタイルはどこまで変わるか」「クラウドサービスの普及で、顧客ニーズはどこまで変わるか」など、この先も見据えて分析を行う必要があります。

3-3.手順③:内部環境(強み・弱み)の分析

内部環境【強み(S) ・弱み(S)】の分析を行う際は、単純に自社の良い点・悪い点をあげるのではなく、「戦略的に有効な資源とは何か」「今後戦略上ネックとなる事項は何か」など、あくまで経営目標達成のために必要な分析を行っていきます。
また会社側の視点だけではなく、顧客や競合他社の視点からも考えることで、より客観的な分析が可能となります。

3-3-1.強み(S)の分析

強み(S)とは、「自社製品のどの点が市場ニーズにマッチしているのか」「他社と差別化が図れる技術は何か」など、自社が市場に対して優位性のある要素です。

3-3-2.弱み(W)の分析

弱み(W)とは、「新規開拓を行う上で不足しているスキルは何か」「他社製品に比べて劣っている性能は何か」など、自社が改善努力を行えば解決できる問題を指します。

注意したいのが、外部要素である脅威(T)との混同です。
外部要素の脅威(T)はあくまで「一企業の力では変えられないもの」なので、しっかり区別しておきましょう。

4.SWOT分析の事例


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SWOT分析をよりイメージしやすくするため、中小企業医療法人の事例を使って説明します。

4-1.◎中小企業の場合◎

地域の小学校に紅白まんじゅうの納品を行っている和菓子メーカーを、中小企業の例として紹介します。

4-1-1.外部環境【機会(O)・脅威(T)】の分析

▢機会(Opportunity)
・駅近くに直営店舗を持っている
・直営店舗と同じエリアにコンビニやカフェが少ない
・工場の近所に大型のスポーツジムがある

▢脅威(Threat)
・地域の小学校は毎年生徒数が減少している
・若者の和菓子離れが進んでいる

4-1-2.内部環境【強み(S)・弱み(W)】の分析

▢強み(Strength)
・先代から続くあんこの味を求めるリピート客が多い
・社員の中に管理栄養士の資格を持つ従業員がいる

▢弱み(Weakness)
・羊羹やまんじゅうなど和菓子の定番商品は揃えているが、目玉となる商品がない
・直営店舗の来店者数が少なく、売り上げが伸び悩んでいる

4-2.◎医療法人の場合◎

町中にある内科クリニックを、医療法人の例として紹介します。

4-2-1.外部環境【機会(O)・脅威(T)】の分析

▢機会(Opportunity)
・予防医学への関心が高まっている
・近所に女性専用のフィットネスジムがある
・広い待合スペースがある

▢脅威(Threat)
・クリニックの近くに大きな総合病院が移転してきた
・目の前に停まっていた地域の循環バスが廃止されてしまった
・70歳以上の高齢者の医療費負担が2割に引き上げられた

4-2-2.内部環境【強み(S)•弱み(W)】の分析

▢強み(Strength)
・通常の内科診療に加えて漢方外来も行っている
・医院長が10キロ近い減量に成功した経験がある

▢弱み(Weakness)
・クリニックを利用する患者さんが高齢者に偏っている
・ITスキルや広告について知識があるスタッフがいない

このように、それぞれの要因を特定して、書き出していくことで、戦略立案の材料をそろえていきます。

5.SWOT分析を導入する際の注意点


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自社の状況を的確に判断できるSWOT分析ですが、導入にあたって注意すべき点もあります。

5-1.分析するだけで終わる場合がある

SWOT分析の手順でも説明しましたが、SWOT分析をする目的を明確にしなければ、メンバー間での前提条件がズレてしまい、情報を集めるだけで終了してしまう場合があります。
「何のために分析を行うのか」を十分議論した上で、話し合いを進めていきましょう。

5-2.アイディアに偏りが出る

メンバーの価値観が似ていると、抽出される情報に偏りが出てしまい、その結果導き出される戦略の実効性が下がってしまいます。

これを避けるために、メンバー選出の際には、さまざまな部署や立場の社員を候補として、幅広い知識や経験を活かせるようにするといいでしょう。

6.クロスSWOT分析を活用してより明確な事業戦略の立案へ

ここまでSWOT分析について紹介しましたが、その分析結果を戦略に落とし込むのが「クロスSWOT分析」です。

6-1.クロスSWOT分析分析とは?

クロスSWOT分析とは、SWOT分析で用いられる4つの項目をそれぞれ掛け合わせて、戦略を探る手法です。
クロスSWOT分析により、より強力な戦略を見出しやすくなります。

6-2.クロスSWOT分析の事例

今回は4.SWOT分析の事例でも紹介した、和菓子メーカーのSWOT分析を使って解説します。

6-2-1.クロスSWOT分析①:強み(S)×機会(O)

・売り上げの悪い直営店舗を、【鯛焼き×コーヒー】の和カフェに改装して、収益改善を目指す。
強みである「直営店舗の立地の良さ」「競合する飲食店が少ない」という機会を組み合わせて、不採算店舗を改装して、新規事業の飲食業に参入する。

6-2-2.クロスSWOT分析②:強み(S)×脅威(T)

・紅白まんじゅうを卸している小学校に提案し、出前和菓子教室を開催する。
その中で、成長期の子ども達にとって、あんこを使った和菓子はケーキに比べ高タンパク・低糖質であり、とても魅力的であることを伝える。
脅威である「若者の和菓子離れ」を克服すると共に、会社の認知度向上を目指す。

6-2-3.クロスSWOT分析③:弱み(W)×機会(O)

・改装した直営店のカフェにおいて、1つ1つ手焼きをする天然鯛焼きを販売する。
その手焼きの様子を、道行くお客さまが見られるよう、店舗デザインを工夫する。
駅近の好立地=機会を生かし、目玉商品がないという弱みを補う

6-2-4.クロスSWOT分析④:弱み(W)×脅威(T)

・管理栄養士の社員が中心となって、高タンパクで携帯に便利なスポーツ羊羹の開発を進め、その製品を工場近くのスポーツジムに営業提案する。
→健康志向が高い中高年向けの目玉商品を開発することで、脅威である少子高齢社会にマッチした、新しい販売チャネルを獲得していく。
このように、内部要素外部要素を掛け合わせて、それぞれ施策を考えると、おおまかな戦略の方向性が見えてきます。

7.SWOT分析を活用した経営計画書の作成手順


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ここまで、SWOT分析を通じ自社の状況を整理して、次なる一歩を踏み出す材料を集めてきました。
ここからは、そんなSWOT分析の結果を用いた経営計画書の作成方法をご紹介します。

7-1.手順①:SWOT分析の実施

「自社の持つ強みは何か」「取り巻く市場ニーズの状況はどうか」「今後強化していくべきスキルは何か」など、今現在の自社についてしっかりと分析していきましょう。
特に商機につながる「機会(O)」や、活かし切れていない「強み(S)」を探り、戦略を考えていきます。

7-2.手順②:SWOT分析から中期経営計画の策定

SWOT分析を踏まえて、中期経営計画として実行優先度の高い事案を策定します。
さらに、その事案も踏まえた会社全体の戦略目標の立案、数値目標の設定、それらを3カ年で達成するための具体的なスケジュールを考えます。

クロス分析を用いて、「どの分野に設備投資をするか」「商品の販売チャネルはどうするか」「サービス内容をどのように変革させていくか」など、より具体的な戦術を選定するステップです。

またバックオフィス業務の効率化や社員のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上など、売上高以外の目標も明確にしていきましょう。

7-3.手順③:中期収支計画書の作成

策定した戦略を軸とした中期収支計画書を作成します。
現在の推移も踏まえつつ、「3年後の売り上げはどうなるか」「原価や粗利はどうか」「どのような経費がかかってくるか」を予測して記載します。
事業拡大に伴い人材採用を増やす予定がある場合は、人件費についても検討しましょう。

7-4.手順④:今期のアクションプランの決定

ここまでに策定した中期計画について実際の行動計画を立てます。
中期計画の初年度を取り上げ、1年間の達成目標を設定して、さらに月次行動目標に落とし込んでいきます。

このアクションプランが抽象的だと、SWOT分析をしただけ、経営計画を作っただけと、費やした時間が無駄になってしまうので注意が必要です。
具体的なアクションプランを立てて、実効性の高い行動目標を作りましょう。

8.SWOT分析を利用して長く存続する企業を築く


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ますます激化するビジネス環境で会社が生き残るためには、根拠のある経営戦略を立てることは不可欠といえます。
SWOT分析は、ビジネスの選択と集中が必要な中小企業においてこそ、非常に有効的な手法です。

近年は、根拠のある経営戦略を持つ中小企業に対し、IT導入支援やサービス開発支援といった、事業を後押しする補助金制度の運用も開始されています。

今後の経営戦略において、どのような補助金の活用が可能であるか、まずは確認してみましょう。

当社では補助金に関するご相談を承っております。
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監修者プロフィール

補助金コンサルタント 上田 晃生

1977年生まれ神奈川県横浜市出身。
OA機器の営業から飲食業界に入り店長・統括等を経験し、経営コンサルタント会社へ転職。

2021年に補助金活用支援合同会社を設立し独立。